ひぐらしだより
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うにパスタとルーヴル展(その2)
ルーヴル美術館には、いったいどのくらいの収蔵品があるんだろう? たぶん全貌をつかむには途方もない月日がかかるほどの数。美術館というと絵画や彫刻ばかり思い浮かべてしまうが、ルーヴルには考古学的なコレクションも含め8部門にわたる膨大な古今東西の芸術品が収められているそうだ。いつか行ってみたいねとタタと言い合っているものの、当面は単なるあこがれ。
今回の展覧会「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち」は、そのルーヴルのコレクションから《子ども》というテーマでチョイスされた200点あまりが展示されている。
こういうふうに、あるテーマに沿ってルーヴルのコレクション全体(今回はイスラム文化はのぞく7部門)から抽出された展示というのは、とても珍しい企画だそうだ。
実際、古代エジプトの子どものおもちゃの隣に、17世紀オランダ絵画が展示されていたりして、最初はちょっと戸惑う。でも展示を観ているうちに、《子ども》という概念が長い歴史のなかでさまざまにとらえられている多様さが、とても刺激的に感じられてくる。
日本でルーヴル展というとまずはヨーロッパ絵画だろうけれど、今回の展示ではいわゆる有名どころはティツィアーノ一枚、ベラスケス一枚という程度。むしろ、有名無名問わず(名もわからない古代の作者の手によるものも含め)、彫像から遊具からタペストリーや絵画、装飾品などが《子ども》というテーマのみで、どれも同等に展示されているところがおもしろい。
タタやミミが特に心ひかれたのは(『ベルばら』の影響?)18世紀のフランスの皇族や貴族のミニアチュール。ため息が出るほど精巧で華やか。
私が気に入ったのは同じ時代のこの彫像《悲しみにくれる精霊》。誇張された幼児のむちむち感と、意外に大人びた泣き顔のバランスがたまりません。
そして、やはり異彩をはなっていたのは古代エジプト・ラメセス朝時代の《少女のミイラと棺》。これは「死をめぐって」と題された展示の中にあるのだけれど、元来は子どもが死にきわめて近い存在であることを改めて考えさせる展示品のなかで、これには死そのものが閉じ込められている。今から3千年あまり前に死んだ10歳ほどの少女が、おそらく両親の嘆き悲しみの中で埋葬された姿。なんともいえない厳粛で不思議な気持ちがこみあげてきた。
最後のほうはヨーロッパの天使のてんこ盛りに苦笑しながら、ゆっくり3時間ほどかけて全部の展示を観ることができた。
いっぷう変わったこの企画展、まるで高級料亭ルーヴルのお得な幕の内弁当(いや、高級料亭だから松花堂弁当か)にめぐりあったようで、とっても楽しい体験だった。
帰りは、すっかり秋満開の大阪の空をながめながら堂島川を渡って駅に向かい、またまた迷うことなく(方向オンチは帰路にまた迷うのが常識)奇跡的に帰路をたどることができたのでした。
このルーヴル展、ほんとにおすすめですよと言いたいところだけど、書くのに手間取っていたら会期はあと数日(23日まで)!? 関西にお住まいで人ごみに負けない勇気ある方はぜひ観に行ってください…。
今回の展覧会「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち」は、そのルーヴルのコレクションから《子ども》というテーマでチョイスされた200点あまりが展示されている。
こういうふうに、あるテーマに沿ってルーヴルのコレクション全体(今回はイスラム文化はのぞく7部門)から抽出された展示というのは、とても珍しい企画だそうだ。
実際、古代エジプトの子どものおもちゃの隣に、17世紀オランダ絵画が展示されていたりして、最初はちょっと戸惑う。でも展示を観ているうちに、《子ども》という概念が長い歴史のなかでさまざまにとらえられている多様さが、とても刺激的に感じられてくる。
日本でルーヴル展というとまずはヨーロッパ絵画だろうけれど、今回の展示ではいわゆる有名どころはティツィアーノ一枚、ベラスケス一枚という程度。むしろ、有名無名問わず(名もわからない古代の作者の手によるものも含め)、彫像から遊具からタペストリーや絵画、装飾品などが《子ども》というテーマのみで、どれも同等に展示されているところがおもしろい。
タタやミミが特に心ひかれたのは(『ベルばら』の影響?)18世紀のフランスの皇族や貴族のミニアチュール。ため息が出るほど精巧で華やか。
私が気に入ったのは同じ時代のこの彫像《悲しみにくれる精霊》。誇張された幼児のむちむち感と、意外に大人びた泣き顔のバランスがたまりません。
そして、やはり異彩をはなっていたのは古代エジプト・ラメセス朝時代の《少女のミイラと棺》。これは「死をめぐって」と題された展示の中にあるのだけれど、元来は子どもが死にきわめて近い存在であることを改めて考えさせる展示品のなかで、これには死そのものが閉じ込められている。今から3千年あまり前に死んだ10歳ほどの少女が、おそらく両親の嘆き悲しみの中で埋葬された姿。なんともいえない厳粛で不思議な気持ちがこみあげてきた。
最後のほうはヨーロッパの天使のてんこ盛りに苦笑しながら、ゆっくり3時間ほどかけて全部の展示を観ることができた。
いっぷう変わったこの企画展、まるで高級料亭ルーヴルのお得な幕の内弁当(いや、高級料亭だから松花堂弁当か)にめぐりあったようで、とっても楽しい体験だった。
帰りは、すっかり秋満開の大阪の空をながめながら堂島川を渡って駅に向かい、またまた迷うことなく(方向オンチは帰路にまた迷うのが常識)奇跡的に帰路をたどることができたのでした。
このルーヴル展、ほんとにおすすめですよと言いたいところだけど、書くのに手間取っていたら会期はあと数日(23日まで)!? 関西にお住まいで人ごみに負けない勇気ある方はぜひ観に行ってください…。
by higurashizoshi
| 2009-09-19 21:52
| 観る・読む・書く・聴く