ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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トリノ・エジプト展

d0153627_23525658.jpgイタリアのトリノ…荒川静香さんが金メダルを取ったところ。そんな記憶ぐらいしかない? 
えっへん、トリノには世界有数の古代エジプトのコレクションを誇るトリノ・エジプト博物館があって、その中でも門外不出のお宝が今回日本にやってきたのですぞ。
といったって、実は私もそんなの初耳で、とぼしい歴史の知識はとっくにタタに追い越されているので、ただただ面白そうという興味だけで行ってきました、トリノ・エジプト展

会場の神戸市立博物館は、ただいまオンエア中の『龍馬伝』で今まさに描写されている勝海舟の海軍操練所跡地のすぐそば。そして神戸の中華街・南京町のすぐそばでもある。
というわけで、展覧会を観るまえに、まずは南京町で腹ごしらえ。広東粥のランチでおなかいっぱいになったら、ウーロン茶の専門店を物色して、あらかわいい中国小物のお店ができてるわ、薬味入れ安いから買っちゃおう…。「そろそろ博物館へむかいましょうか?」と同行のKさんからやんわり言われなかったら、あと数軒はうろうろしてたであろう私。
そぼ降る雨のなか、博物館へ。それからたっぷり2時間あまり、古代エジプトの世界をただよい、夢見心地で現世に帰ってきたのでありました。

古代エジプト関係の展覧会は何度か観てきたけれど、今回新鮮だったのはやっぱり大きな彫像の迫力と、初めて実際に見た「死者の書」など、古代エジプト人たちの死と再生の思想をあらわした資料。

d0153627_23592074.jpgポスターにもなっているアメン神とツタンカーメン王の巨大な石の彫像は威厳にみちてとても美しく、ツタンカーメンの少年らしい体躯がアメン神によりそい、肩を抱いているその指先がくっきりと浮き出しているところはドキッとするような艶めかしさ。
神殿への参道を守っていたといわれる山羊の巨大な頭の像や、顔はライオン、身体は女性の報復の女神の像、暗い会場内に照明でそれぞれの彫像が浮き上がるような演出効果もあいまって、なんだか古代というより宇宙の異空間を歩いているような心地。
そしていよいよ死後の世界と、そのさらに先の再生の世界へ。

d0153627_23574485.jpg「死者の書」は埋葬品の重要なひとつで、霊魂が肉体をはなれて死後の世界に行くまでの過程が記されている。その途中には審判があって、死者の心臓を秤にかけ、現世で真実をまっとうしたかを問われる。もし偽りを現世でおこなっていたことがわかったら、その心臓は怪物に食べられてしまうのだそうだ。おそろしや…。
この「死者の書」のあとに、いくつもの棺とミイラが展示されている。ミイラはいつ見てもなにか荘厳なパワーを感じるものだけど、今回は人型の棺の精巧な細工に吸いこまれるように魅了されてしまった。贅をつくした棺の中で、ミイラはさらにたくさんの護符に守られている。とにかく死後の世界に無事に行きつかなければいけないのだ。なかでも心臓は、大事な審判で必要なので体内に残されている。その心臓の位置の上にかならず護符がある。なんと、心臓が審判のときに嘘をつかないように封じるためなのだそうだ。心臓が、その持ち主を出し抜いて嘘をつく!

古代エジプト人にとって、死は人生の終末どころかひとつの大きな通過点にすぎず、無事にこの通過点をすぎれば、オシリス神という冥界の神の支配する平和な死後の世界で暮らすことができた。しかもその世界は極楽や天国のような場所ではなく、ナイル川ぞいの現世のエジプト世界をそのままそっくりうつしたような世界だと考えられていたのだそうだ。
だからミイラというのは彼らにとっては絶対不可欠なことで、肉体を保存しなければ次の世を暮らしていくことはできない。最高の技術をつぎこんで、次の世を生きるための準備をするのである。
なんだか今のわたしたちの人生観が、とてもせまく、薄く感じられてくるくらいの圧倒感で、展示を見終わるころにはくらくらとめまいが…。

あ、それともうひとつ、展示物で印象的なものがあった。それは手ぼうき。生活品のひとつとして展示されていた、ごく簡素なほうきだ。うしろで誰かが「これ、どっかで売ってそう」と言っていたけど、ほんとにそう思えるくらい、古びて変色してはいるけど、今の日本でも田舎の雑貨屋さんに行ったらぶらさがってそうな、ちょいとガラスケースから出したらそこらのほこりをぱぱっと掃けそうな感じなのだ。
ところがこれが紀元前1000年くらいのものだというんだから、なんと三千年前のほうき! いくら乾燥地帯とはいえ奇跡的な保存状態。
だのにあまりにもフツウのほうき然としているから、いかにも古代エジプト!という展示物の居並ぶなかで、かえってとてもリアルに感じられた。
この手ぼうきを握って床を掃いた手は、どんな手だったんだろう? その人はなにを思いながら掃除をしたんだろう、その背後にはどんな暮らしがあったんだろう…となまなましい想像がふくらんでいく。
こうなると頭がトリップを始めてしまう私。一日たった今でも、あの手ぼうきにまつわる想像がぐるぐるとめぐっている。
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by higurashizoshi | 2010-05-13 00:03 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(4)
Commented by ゆっこ at 2010-05-13 12:20 x
とても楽しそうな1日を過ごされたましたね!
今となっては用事で神戸に行くばかりになってしまった私なので
今日のようなブログはとても嬉しいかぎりです。
先日も三宮で下車しましたが???の状態です。
(ただ妙に道だけはわかっているので始末がわるいのですが…)
ところで10年前に4大文明展というのを日本で開催されていることがあって、それでエジプト文明展を観にいったことがあるのですが、本当におもしろいですよね。じつはタロットカードに描かれている象徴がいっぱいあって当時必死でみていました。
今回のほうきは不思議☆ですね。ウイッチが使うものの原形ですか〜?なんていい加減なことを言ったら怒られそう…。しつれいしました!
Commented by かっぴょん at 2010-05-15 10:03 x
トリノ・エジプト展、神戸の次は静岡にやってきま~す!
6月から、うちのすぐ近くの県立美術館で開催です。

静岡県立美術館では、毎年1回、海外の古代文明の作品展をやるんですよ。
それだけは、欠かさず見に行っていて、今年はエジプトだから楽しみだねって、娘と話していました。
以前シルクロードのシブーイ仏像の時があって、来館している人も、ジジババばかり・・・
仏像もそれなりにはよかったけど(笑)、やっぱり黄金のマスクとか、ミイラとか、派手なものの方がおもしろい。

higurashizoshiさんの話聞いたら、ますます楽しみになっちゃいました。
噂のホウキ、探しちゃいそうです(笑)
Commented by higurashizoshi at 2010-05-16 12:28
ゆっこさん
そうか、タロットカードってこのへんにも関係してるんだよね!
今度エジプト関係の展覧会があったら、一緒に行っていろいろ
解説してもらいたいな~
古代エジプト、もともと自分でそんなに興味があったわけでは
なくて、タタにつきあって…ということが多かったのですが、
ちょっとずつ面白くなってきて、今回はかなりわくわく観ること
ができて楽しかったです。
神戸もそのうちゆっくり遊びで回れるチャンスが作れたらいい
なぁ…。
Commented by higurashizoshi at 2010-05-16 12:29
かっぴょんさん
そういえばそうでした、神戸の次は静岡だった!
今回は展示方法もなかなかドラマチックで、いいですよ~
アメン神とツタンカーメン王の彫像は、ぜひうしろにも回って
王の指先を見てくださいね。
ほうきもぜひぜひ、実物をごらんください。

古いものを見るときに、作った人や、それに触れた人の息づかい
というか実体感が伝わってくると、急にいきいき見えてくるん
ですよね。その瞬間が好きです。
かっぴょんさん&娘さんの感想、そのうち聞かせてね。

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