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ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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3冊の著書

11月15日午後1時45分。
その日その時間のあと、彼のいなくなった世界で私は生きている。
自分のまわりの、生きて動いている人たちを不思議に感じ、この長い夢から早くさめたいと思っている。

きっとこれから時間がたって、これが夢でなく現実であることを私はゆっくりと認めていくのだろう。

彼は3冊の著書をのこした。

3冊の著書_d0153627_13493142.jpg





浅田修一との対談。1998年9月、ぼっと舎刊。
《なまなましくも、嘘(ことば)の「私」――右足のない男と、腫瘍をもつ男が震災後の神戸で、身を削るように語り明かした魂の記録》



3冊の著書_d0153627_13273330.jpg



1999年4月、河出書房新社刊。
《愛する家族の死がくれた、「書く」という習慣。かつて傾倒した西東三鬼の俳句や散文に同質の波長を感じとり、三鬼と戯れながら書き続けた、母と二人の弟たち、そして自分自身への鎮魂歌。第5回蓮如賞佳作受賞作品》

これだけは絶対に書かなければならない、その気迫のもとに書き上げた作品が賞を受け、出版されることになって、祝杯をあげたときのことを鮮やかに思い出す。


3冊の著書_d0153627_149576.jpg


2005年9月、ミッドナイトプレス刊。
《入院生活で、生きてあること、死んでいくことについて痛いような教訓を得た。それを糧にして今後の日々を大事に生きてみようと思っている-。『詩の雑誌midnight press』に連載された「高崎通信」をまとめる》

何度目かに倒れた前後、父の死もはさみながら綴った文章。心身ともにつらい状態での連載を一冊にしたもので、もっとまとまったいいものを形にしたいんだと口にしていた。


あたりまえのことだけれど、その人がこの世から消えても、書いたものは何ひとつ変わらずに残る。
まるでロールプレイングゲームさながらに、次々と襲いくる痛みや手術や喪失とひとつひとつ格闘しながら、最後までブログを書き続け、mixiの日記も続けていた。(ブログ「点景」)
3冊の本とともに、彼の生きたあとが、そこには消えずに残って私たちを見ている。
by higurashizoshi | 2012-11-23 14:22 | 観る・読む・書く・聴く

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