ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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四大陸選手権2013(その3)

国際大会どころか、競技会そのものを生観戦するのが初めてだったので、当日はすべてが新鮮で、男子ショートが始まるころにはやっと気持ちが会場の空気に慣れてきたかな…という感じだった。

テレビと違うのは肌で感じる会場の熱気。
選手の演技に呼応して湧きおこる、ときには怒涛のような歓声。
日本の観客は礼儀正しく温かい、ということで日本での試合やショーを楽しみにする海外の選手がとても多い、という話はよく聞いていたけど、なるほどなあと思った。
男子ショートでも最初のほうに滑るオーストラリアやフィリピンなど、ランク的にはまだまだこれからの選手たちに対しても、みんな惜しみなく拍手を送り、手拍子で応援し、すばらしい演技には何度でもスタオベ(スタンディングオベーション)でたたえる。選手の国籍によって反応が変わるということもなく、純粋にその選手の演技を楽しんでいることに感心させられた。
海外の試合はテレビで観ているだけだけど、ここまでフレンドリーな観客席というのはなかなかないんじゃないかなあと思う。

初めの回で書いたように、とにかく観客のほとんどが女性で、しかもたぶん学習熱心で知識豊富なフィギュアスケートファンが多いと思う(でないとこんなチケット代出せません!)から、すべての選手に対する思いやりというか、おふくろ愛というか、
「あんたもあんたもあんたも、みんながんばってる! おかあちゃん知ってるで!」
という無償の愛情、プラス研究熱心だけに演技の良しあしへの《わかってる度》が高くていらっしゃるのだろうと思う。

私としても、四大陸名物の美少年、オーストラリアのブレンダン・ケリーくんとか(今回三回転×三回転を成功させてびっくり!)、フィリピンのがんばりやさんクリストファー・カルーザくんなど、毎年テレビでその成長を観てきた選手の演技をこの目で観られてワクワク。
今回初出場の、フィリピンのマイケル・クリスチャン・マルティネスくん16歳もとっても魅力的な選手でした。彼のパーフェクト演技で大歓声とスタオベが巻き起こり、そこから会場のヒートアップが始まったように思う。
完璧なビールマンスピン!
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さて、先を急いで第3グループ。ここからぐわっとランクが上がってきます。
アメリカのロス・マイナー選手。テレビで観ても丁寧で美しいスケーティングだったけど、生で観るとさらに柔らかくてきれいです。けしてスケールの大きなタイプではないけれども、このところグランプリシリーズでも全米でも確実に結果を出してきている彼。ただし今回は…トリプルサルコウのミスが痛かった。
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カザフスタンのアブザル・ラキムガリエフ選手。この人の名前、なかなか覚えられなかったけどもう早口言葉でも言えます。
コーチはしばらく前からモロゾフ。モロゾフといえばリンクサイドでのムーブメント(演技中の選手よりオーバーアクション)が有名。と思って楽しみにモロゾフコーチの動きも見てたのに、ラキムガリエフくんの演技中、彼はコソとも動きませんでした。うーむ。
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アダム・リッポン選手がケガで欠場となり(泣きました…)、急きょ繰り上がり出場となったアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手。
昨シーズンは不調に沈んだ彼も、今シーズンは復調のきざし。今回のショートはいい出来でした。ロス・マイナー選手と同じように、スケーティングが柔らかく、スピンが上手。アメリカン草食男子たちという感じ。
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で、こちらはアメリカのひさびさ肉食系マックス・アーロンくん。どういうつもりや、というくらいのスピードで飛ばす、飛ばす。
今季の全米でいきなり優勝してみんなをアッといわせた20歳。ヤグディンとかストイコとか、往年の武闘タイプと引き比べられてるけど、それだけの器かどうかは未知数なり。
全米と違って今回はトリプルアクセル転倒などミスあれこれ。
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中国のナン・ソン選手。なぜ最近日本では中国や韓国の選手も名前→苗字の順で呼ぶのか不思議です。ソンナンええやんか、とか言いたくなる。キムヨナはヨナ・キムとはあまり呼ばないのにね。
さてソンくんは4回転ジャンパー。羽生選手が世界ジュニアチャンピオンになったとき2位だったのが彼。好不調の波が激しかったけれど、今季はやる気です。なにせ振り付けがジェフリー・バトル。これまでのちょっとあか抜けない(失礼)ソンくんとは違う。
と思ってたら中国杯のウォームアップ中にアダム・リッポン選手と激突、棄権…。
今回の四大陸が復帰戦でした。そして4回転×3回転コンビネーションを含めパーフェクト、すばらしい出来!客席も大スタオベで大歓声、ソンくんはリンクで喜びを爆発させました。
どかーん!
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興奮さめやらないリンクにインしたのは無良崇人選手。あの激戦の全日本を勝ち抜いてつかんだ四大陸と世界選手権の、3枚目の切符。これまでは緊張が強くてミスしてしまうことが多かった無良くん、今回は大人びて、落ち着いているように見えました。
硬かったスケーティングもなめらかになってきて、4回転も高い! コンビネーションの着氷でステップアウトが惜しかった~。でも世界のトップ選手の中で見劣りしなくなってきたことを実感。
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いよいよ最終グル―プの6分間練習が始まる前から、すでにリンク入口に集まっている選手の後ろ姿を食い入るように見ていました。(めちゃくちゃ遠いけど目をこらして。)
細っこい首のJapanジャージは結弦くんだ! テンくんがいる、ミーシャがいる、ケビンくんがいる。そして新しい青い衣装の大ちゃんが見えたときには胃がぎゅっと…。
作ったばかりの新しいショートプログラム、みんながあっと驚くほどうまくいくとはどうしても思えない。どんなプログラムなのか楽しみというより、不安の方が強かった。
ああもうちょっと、どんとこい状態になれないもんだろうか。自分が滑るわけでもあるまいに。

6人の最終グループがリンクインすると、会場は一気に!異様な興奮状態に入っていきました。さっきまで温和な、ええ感じだった客席の女性たちがどわわーと絶叫を始める!

 だいちゃーん、だいちゃーん、だいちゃーん!
 ゆづー、ゆづー、ゆづー!

うおおお、すごい。声の火花が散っている。
少し空席があったはずのスタンド席を見渡せば、いつの間にか満員に!(関係者席はけっこうガラガラでもったいないと思ってしまった…)
しかしリンクを縦横に滑ってウォーミングアップする6人を見ていて思った。

結弦くん、足、長すぎ。
大ちゃんはさあ、新衣装のせいでよけいちっちゃく見えるよ?

緊張のあまり雑念しか湧いてこない状態…。


最終グループ第1滑走は、カザフスタンのデニス・テン選手。
バンクーバー五輪のときはわずか16歳だったテンくん。カザフスタンから単身アメリカにやってきて、苦労を重ねながら世界のトップにのぼってきた彼。ずいぶん大人っぽくなり、今季のプログラムは映画『アーティスト』の世界をショートとフリーの両方リンクして表現するというもの。
このところずっとジャンプに苦しんでいたので、今回は最近の中ではいい出来だった。ステップの熱い表現も、ひさびさに《火の玉小僧》テンくんが戻ってきた感じ!
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中国のハン・ヤン選手。まだ16歳、今季からシニア参戦、まだジュニアとのかけもちの選手。昨シーズンの世界ジュニアチャンピオン。
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テレビではジュニアの試合で二年前から見ていたヤンくん。ものすごい子が出てきたなと思っていた。ものすごいジャンプ、ものすごい滑り、ものすごい無表情。羽生選手とはまったく違うタイプの天才。
生で観た彼のジャンプは…初めて羽生選手のジャンプを生で観たときに匹敵する衝撃度でした。スケートのジャンプというより、飛行、という感じ。
助走なく、スピード落ちず、すごい飛距離でまさに《飛ぶ》。しかもスケーティングが美しい。ディープエッジでためらいなく楽々と滑っていくのを見る快感。
しかし、シャイなんでしょう。スタオベの嵐の中、大型スクリーンに映し出されたヤンくんはやっぱり無表情。キスクラで高得点(85点越えの、どえらい得点が出た)を目にしたときは、さすがに笑顔が出てたけど。
あとは表現力だな。どこまで大人になれるかだな。技術力でいえば、羽生選手を脅かす次世代になること必至と見た!


ウズベキスタンのミーシャ・ジー選手。実は日本でものすごく人気があるんですよ、彼。私もジュニアの頃から注目してました。さっきのハン・ヤンくんとは反対に、表現力がすごいんです。ジャンプやステップの足元など技術面は世界のトップにはまだ距離があるけれど、スケートに対する、そして表現すること、踊ることに対する情熱がすばらしい。
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ミーシャのステップが始まると、待ってました!って感じでもう客席はやんややんや。いや~やっぱりええわミーシャ!


そしてですよ。最終グループの滑走、残り3人になりました。
カナダのケビン・レイノルズ選手。テレビで見るよりさらに、私と同じ人類と思えないほど手足が長くて顔がちっちゃいケビンくんでした。
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4回転をショートとフリー両方で5回入れるプログラム。あのフェルナンデスくんをしのぐ超人プログラム。まずはこのショートで2回入れます。そんなこと可能なんかい? と思っていたらやってしまいました、目の前で。
しかもステップもこんなによかったか? 音のつかみ方もこんなに感度高かった? ていうかこんないい選手だったの? これまでわかってなくてごめんなさいとひれ伏したくなりました。


でもケビンくんの演技が終わるころには心の半分は別のところに行ってました。だって次ダイスケ・タカハシですよ。心拍数が上がるどころか血流が止まったかと。なんでリンクってこんなに広いんだろう。こんな広いところで、こんなたくさんの人の前で演技。おそろしいことだと思う。いやダイスケタカハシさんはおそろしいなんて思ってないだろうけど。
などとうわごとのように思っていたら「月光」が始まりました。
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最初の4回転をきれいに降りられていたら、そのあとの展開は違ったと思う。
やっと調子が戻ってきていたトリプルアクセルを、転倒することはなかったかも。
そんなことを思ったのは演技後だいぶたってからで、その最中はなんだかものすごく速く過ぎていく夢を見ているようだった。
そしてステップを見ながら、なんだか焦ってる、焦ってる…と感じていた。もちろんそれは、世界で彼にしかできないステップ、彼にしかできない表現だった。でも何か、最初のボタンをかけ違えてどうにもならないようなもどかしさで。

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無理もない、実質2週間しかこのプログラムを練習できてないと聞いた。たったそれだけの練習でこんなことができること自体が驚異的。そしてそれだけの賭けをする判断を彼が自分でしたのだから、ファンは見守るしかないんだ。
でもやっぱり、ちょっと呆然としていた。呆然としてる中で得点が出て、スクリーンに何ともいえない表情の大ちゃんが映し出されて、リンクに目をやると最終滑走の羽生選手がいた。



オーサーコーチのもとからリンクの中央に滑っていく結弦くんの姿を見てまた思った。
きみなあ、足、長すぎ。
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今季世界最高得点を自己更新した「パリの散歩道」。ジェフリー・バトル振り付けの、大人のプログラム。
あああ、4回転トゥーループ。ハン・ヤンの4回転が豪快な《飛行》だとすると、結弦くんのジャンプは鳥のように優雅だ。優雅で、完璧で、やさしさすら感じる。
そしてまた寸分の傷もないトリプルアクセルを飛び、最後のコンビネーション。
「あっ」と…本人も思ったことだろう。いや、こんなことも当然あるよ。これまでのショートが完璧すぎただけ。シングルになってしまったルッツにトリプルトゥループをつけられたのが、むしろすごい。あとのステップも、これまでの試合のときほどの勢いはなかったけれど、思わず見入ってしまう敏捷でうねりのある滑りだった。うまくなった。もっとうまくなるだろう。

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羽生選手の得点が出た。世界最高得点のときより10点近く低い得点ながら、ショート首位発進。2位がハン・ヤン! 3位がドーンブッシュ選手、そして高橋選手は4位発進となった。
(今から思えば、このときはまだ《もっと悪い事態》は知らずにいたのだなあ…)


すべてが終わったのは夜10時。
会場をあとにしながらタタとミミと言い合ったのは、
「これは…クセになるね!」
だった。試合の生観戦は、テレビでの観戦とはまったく別物。なんという興奮と感動でしょう。これを知ってしまったらあなた、チケット争奪戦&高額チケット代地獄にまっしぐらですがな。
しかも来年は日本でグランプリファイナル、世界選手権の両方が開催されるのですよ。関西じゃないけどね!(悪寒)


それにしても四大陸選手権でどれだけ引っ張っていることか。
女子も男子フリーもペアとアイスダンスのフリーもまだ書いてません。リアルタイムで試合終わってどんだけ日がたつのかしら。
でも時間の許す限り書きたいと思ってるので、もう少しおつきあいください。
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by higurashizoshi | 2013-02-16 02:21 | フィギュアスケート | Comments(2)
Commented by hinata at 2013-02-16 18:57 x
おもしろかった~
朝から仕事の合間などに少しずつ読んで、やっと読み終わりましたよ(笑)
コンサートとか行っても思うけど、やっぱり生は違うのね~
また新しい世界に踏み込んでしまいましたね。
続きを楽しみにしています~
Commented by higurashizoshi at 2013-02-18 21:50
hinataさん
これだけあると、読むのも時間かかるよね~。よく書くわと自分でも思う…
でもここまで熱が入るほど、生観戦!すごかったです。
ご愛読ありがとうございます~
もうちょっと書きますです。

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