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ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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四大陸選手権2013(その5)

男子フリー。
考えてみればもはや10日以上もたっているんですねえ。でもJ-sport4で全滑走と演技後のインタビューなど、とてもくわしい内容を観ることができたのはもっと後だったので、記憶が薄れているということはないのですよ。というか、薄れようがないのですよ…

この結果を誰が予想していたでしょう、とよく言うけれど、誰か予想していたらそれはすごい人。
四大陸の表彰台は高橋選手と羽生選手とあと一人は誰か?というのが大方の予想で、その「あと一人」も無良選手という希望的観測が多かったような。4回転ジャンパーのケビン・レイノルズ選手が3位くらいに入るかも?という話はあったものの、金メダルという予想はどこからも聞いたことがなかったよ。


でもそのケビンくん、いってしまいました。金メダル。
四大陸選手権2013(その5)_d0153627_1655216.jpg

バンクーバー五輪では、自国の、しかもホントの地元開催だったにもかかわらず代表入りを逃したケビンくん。
その後努力を重ねて四回転を得意とする選手になったものの、試合ではミスが目立ち、得点は伸びず、なかなか報われなかった彼が、とうとう。

ショートとフリーで合計5つの四回転ジャンプを入れるという超人構成が、まさか実現するとは正直思わなかった。ショートは2回入ったものの若干マイナスがついたけれど、フリーでは3回の四回転をすべて完璧に! 
そしてそれだけじゃなく、これまでなかなか伸びなかったPCS(演技構成点)が今回は高い!
フリーはアンドレ・マテューという現代の(といっても早逝したため故人)作曲家によるピアノ協奏曲第4番。これがとても美しい曲で、その美しい旋律を身体で奏でるようなケビンくん、こんなにステップよかったっけ? 今回はジャンプも含め、女神か天使でもついていたのでは…と思うほどのすばらしい演技でした。本当におめでとう! 
そしてつけくわえるべきは、このプログラムの振り付けが日本の宮本賢二さんだということ。ミヤケンさんもおめでとうございます! 
四大陸選手権2013(その5)_d0153627_16561294.jpg



2位は羽生結弦選手でした。さて、彼がもしジャンプミスをしていなかったら、レイノルズ選手に勝てたかどうか?
少なくとも、ショートもフリーもこれまでと同等の得点であれば、羽生選手が楽に上に来たはず。今回は実力を出し切れなかった。そしてレイノルズ選手は100%実力を出した、ということなんでしょう。
四大陸選手権2013(その5)_d0153627_16562483.jpg

フリーではジャンプのミスはともかく、気になったのはまたもスタミナ切れが目立ってきていたこと。そしてステップにも張りというか集中力が感じられなかったこと。
とにかく結弦さん、もうちょっとしっかりごはん食べた方がいいんじゃないかと。
それから今季のフリーは結局ここまで、《何を表現したらいいのかよくわからないけどとりあえずがんばってる》という印象から脱せていない感じがする。昨シーズンの『ロミオとジュリエット』みたいにわかりやすい少年の熱情+ぐいぐい感で観る側を吸引するという魔法は今季フリーのプログラムでは通用しない。
ただ、もちろんそれもオーサーチームの《ユヅル育成プロジェクト》の戦略なのだろうなあ。これからの展開に期待しよう。


3位がサプライズ。16歳のハン・ヤン選手が滑り込んだ!
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フリーはハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」。あの浅田真央選手のバンクーバーシーズンの、あの曲ですよ。重厚で華やかで、ずんたった、ずんたったと繰り返す、ちょっと取りつかれそうな感じの曲。
これが無表情でぐんぐん滑る、ばっしばっしジャンプを跳ぶハン・ヤンに合っているのかいないのか、なんか私よくわかりませんでした。ていうか、ハン・ヤンに何が合うのかがよくわからない。少なくとも舞踏会には見えんかった。でもすごい滑りだった。
四回転は転倒、それ以外はジャンプ成功。トリプルアクセルはやっぱり《飛行》でした。
これからどんな選手に成長していくのか、予想がつかないところがおもしろい。

メダルの3人。
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で、4位がアメリカの肉食系マックス・アーロン選手、5位が同じくアメリカのリチャード・ドーンブッシュ選手、6位が中国のナン・ソン選手。
無良選手は8位に。けっしてショートもフリーも悪くない出来だったのですが、いまひとつ点が伸びなかった。



さて、ここから話はぐっと暗くなります。
いや、ウソです。これから7位について書くんですが、落ちこんでなんかいません。笑顔、笑顔。済んだことやないですか。

もう10日以上もたって、あの方はとっくに前を向いて猛練習を再開してはりますやん!
数日前には大阪の「臨海スポーツセンター」のリンク存続の寄付金1億5千万円の目録を府知事に届けに行った映像がニュースで流れて、大ちゃん元気そうな顔で笑ってたし。
それにしてもリンク存続になってほんとによかった。いったいあの巨額の寄付金って誰が送ってくれたんかなあ…

って、まだ7位の話から目をそむけたい自分がいます。
もちろんね、誰にだって思わぬ不調はあって、しかも彼は来年のソチを目標に長期計画を立てて臨んでるのだから、ここは単なる通過点。失敗も糧にして次へ歩を進めればいいわけで。

そう言い聞かせるはしから、よみがえるインタビューのひとこと。
「応援してくださってる方たちに、本当に申しわけない」

自分で「最悪の最悪。練習でもこんなひどいのはすることがない」という今回のフリーの演技の直後、彼の口から出たことば。
これが痛かったな。ファンとして痛かった。すでに呆然の状態になっているときに、こんな思いやりを示されてしまったら、どうしたらいいんだろう。
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フリーのジャンプ8本のうち、完全に成功したジャンプは1本しかなかった。
4回転トゥーループは2本とも両足着氷。トリプルアクセルはショートに続きまた転倒。コンビネーションもひとつしかできなかった。まさに悪夢のようなマイナス連鎖。
ジャンプの失敗に引きずられ、ステップにも焦りが見えた。あの落ち込んだ中国杯のときより滑り自体はましな気はしたけれど、もちろん本来の彼の表現、彼の滑りには程遠かった。

フリーの得点は140.15。全日本の奇跡のフリーの得点192.36から、なんと50点以上低かった。こんなことが起こりうるとは。こんなことも起こりうるのだ。
表彰台を逃したどころの話ではなく、6位以内にすら入れなかった。「慢心があった」と本人は言うけれど、それは彼の謙虚さの表れで、やっぱりショートを急に作り直した影響が出ているのではと考えてしまう。どこかで不自然な無理をしているのではと思ってしまう。

がっかりした、とかショックを受けた、というのではなく、フリーを観終わったあとは何というか…悲しかった。そして不安だった。
彼は、選手としては年齢の限界に挑戦する時期に入っている。しかもソチに向けてぎりぎりに身体を絞り、鍛え、禁欲的に一本道を走っている。それは逆にいえば、何かが、どこかがピンっと裂けるだけで倒れてしまうのではないかという不安と隣り合わせでもある。
しかも若い選手と違い、彼にはもうゆっくりとやり直す時間はないのだ。あと一年を切った、わずかな時間しか彼には残されていない。

…と、元来ペシミストな私のマイナス思考はどんどこどんどこ穴を掘り、
「このまま不調が続くんじゃないだろうか…」
「これでさらに無理な練習をしてケガをしたり…」
などなど、勝手に《大ちゃんもうだめかも伝説》を作り上げそうになっていた。


ところが、このたびJ-sport4で放映された男子フリーでもう一度大ちゃんの演技を観たら、「あら…?」

観るまでは「あ~観たくないな。あ~でも観なくちゃな。もう一回ちゃんと観なくちゃ。あ~でも観たくないな」と、タタとミミに「うるさい!」と言われるくらいグダグダ言ってたのに。
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確かにジャンプミスは半端なく、そこから生じる焦りもどんどん加速。オレいったいどうしちゃったんだよ?ともがく『道化師』になっている。なっているのだけど、
「やっぱりすごい…すごいよこの人は!」

こんなしっちゃかめっちゃかな出来なのに、どれだけスケーティングが綺麗なの! なんて繊細で音をとらえたステップなの! こんな足さばき誰にできるってゆうねん! とにかく、とにかく、やっぱり美しい! 技術とか、表現力とか、そういう分け方じゃなくて。
こんな美しいスケートができる人はいない、いないぞー!

と心で叫んでしまった。もううるさがられたくないから、口は黙ってたけど。
だからね、思ったんです。ああだこうだと心配したり、不安がったり、そんなことは置いといて、これからは彼のスケートの美しさをただ楽しもうと。
この稀有な選手の現役時代の最後を、リアルタイムで見届けられる幸福を感じながら、その演技を眼をこらして見つめていこう。たとえどんな結果であっても。

そう考えてすっきりした! ハハハ、もう怖くないぞ。
と思いながら、でもふと気がつくと世界選手権のタイムスケジュールをチェックしている自分。

『月光』もうちょっとええ感じになってるかな? とか思ったりして。
衣装、変えてくんないかな?とか。
もっとすっきりしてるのがいいよね。フリーの衣装みたいに… フリー… 
フリー復調…してるよね? してるよね? してるよね?(永久運動)

なかなか簡単には吹っ切れません。


しかも、もうさすがに今回で四大陸の話は終わらんと、と思っていたのに、アイスダンスのフリーが残ってますわな。
ほかのこと何にも書けないし、読んでる方も「まだ続くんかいな」と耳などほじりたい気分になっていることでしょう。
でもアイスダンスを書かないと区切りがつかないので、四大陸のお話、最終回ということで書かせていただきまする。
by higurashizoshi | 2013-02-21 17:07 | フィギュアスケート

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