ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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ソチ五輪男子ショートプログラム

オリンピックは何が起きるかわからない、ということは十分わかっていた。
でもやはり、起きたのは予想以上のことだった。


ソチ五輪男子ショートプログラム。

まず最初は、彼。
第2グループの最初に滑走するエフゲニー・プルシェンコ選手に、すべての眼は集まっていた。
けれど、当日の公式練習をたった10分で切り上げたこと、ジャンプをほとんど跳ばなかったこと、そしていよいよリンクインしての6分間練習での異様な雰囲気…。腰に手を当て、苦しげな表情を浮かべている。ミーシンコーチと言葉をかわし、何か諦念するようなうなずきを重ねるのが見えた。
そして彼の名前がアナウンスされ、「ジェーニャ!ジェーニャ!」の大歓声の中、彼は静かにリンクの中央を通り抜け、ジャッジ席へと向かった。
この瞬間、長く長く君臨した帝王の競技生活は終わりを告げた。
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あとのインタビューで、一年前に手術した腰の状態が団体戦で悪化したこと、直前の練習でさらに痛めてしまい、今はジャンプが跳べる状態ではないことを語っていた。
この数年で、プルシェンコは腰と膝を12回手術したという。
何度も何度も引退を宣言してはそれを取り消し、競技の場へ帰ってきた。ボロボロの身体でも強固な意志とプライドで王者の地位を譲らなかった。
今回の五輪も、若手を押しのける形で代表になったことに疑問の声は多かった。それをあの団体戦での絶対的存在感ではねつけたあとの、突然の幕切れだった。
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彼にあこがれ続けた羽生選手が頂点へと駆け上がったこの五輪で、プルシェンコはキャリアを終えた。この象徴的な出来事はフィギュアの歴史に刻まれるだろう。
プルの前にプルなし、プルの後にプルなし。と団体戦のときに書いたとおり、いろいろな意味で後にも先にも現れることがないだろうスケーター。15歳でシニアデビューして以来16年間、彼の存在がフィギュア界に与え続けた影響はすさまじいものがあった。
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ああ、それにしても。
あまりに突然のことでボーゼンとするほかなく、しかし五輪のリンクの上でこうして皆に別れを告げて終わるのは、実は帝王らしい最後なのかも、と思ったりで、そしてそう思う間にも次の選手はリンクインして、男子ショートの滑走は予定を早め、よどみなく遂行されていった。




ショートは、最終2グループの中で注目選手のみ、滑走順に書きます。
ほかに触れたい選手は、フリーのときに。

その前に、ひとりだけ。
アメリカのジェレミー・アボット選手をおそった不運と、そのあとのことを。
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冒頭の4回転トゥーループでジェレミーは激しく転倒、フェンスにぶつかり動けなくなりました。
あまりに長く立ち上がれないので、ケガをしてしまったのか?このまま棄権?今季で引退なのに、ここでこんなふうに終わってしまうの?と頭の中をめまぐるしく不安が巡りました。
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でも、ジェレミーは… やがてよろよろと立ちあがり、そして再び滑り始めた! 客席からは悲鳴のような応援が降りそそぎます。
どう考えてもあの強打のあとは激痛があるはず。しかも音楽には10秒以上は遅れている。
でも彼はあきらめなかった。しかもそのあと、3×3を、そしてトリプルアクセルもみごとに跳んでみせるというミラクル展開!
メンタルが弱い弱いと言われ続けてきた彼が、この五輪で不運にみまわれたあとに見せた奇跡的な底力でした。
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点数はやはり低く、15位発進になってしまったけど…
この日のヒーローのひとりは、確実にジェレミー・アボットでした。
この転倒がどうか、フリーに影響しませんように。



第4グループ。
日本、羽生結弦選手。
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団体戦のときより、さらによかった。ひとつの疵もなく、ひとつの弱さもなく、最後まで攻め続けた演技でした。
このメンタルの強さはどこからくるのだろう。おそらくこれまでの日本人選手の歴史の中で、間違いなくメンタル選手権ナンバーワン。雑念がないのね彼は。まだまだ追われる本当の怖さも経験していないし。
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出てしまいました、ついに100点越えです。
この時点で、結弦くんがメダリストになることは確定した、といっていい。
しかし、プロトコルを見るとやっぱりスケーティングスキル、トランジション、高すぎないだろうか?とあとで思った。ジャッジも人の子、彼の演技は点を出させるのだやはり。

で、日本スケート連盟の小林さんとのキスクラが凄い。
前人未到の101.45点が出た瞬間。
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スペイン、ハビエル・フェルナンデス選手。
彼のいいところより、よくないところが多めに出たショートでした。
とはいっても、ジャンプは悪くない。押しも押されぬ4回転ジャンパーのハビー、肝心のところで詰めが甘い傾向があり、今回も着氷が複数回乱れました。
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でも3位発進。しかし後続がすごいのでまったく安泰ではない。





カナダ、パトリック・チャン選手。
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「エレジー」の完成形、ソチで見たかったな。
とはいえ、トリプルアクセルの着氷以外、目立ったミスはなかったのです。でも全体にみなぎる力は、はっきりいってこのショートでは結弦くんの比ではありませんでしたね。
97点台まで出るとは、本人も思っていなかった様子。文句なく2位発進。





フランス、ブライアン・ジュベール選手。
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こんなガッツポーズのジュベが五輪で!
もうそれだけで胸がいっぱいです。バンクーバーの悪夢は過去へさようなら。
4×3をばっちり決めて、全編エネルギッシュで、ものすごくかっこよかった!
7位発進、もうちょっと得点出てもよかったなあ。





最終グル―プ。

カザフスタン、デニス・テン選手。
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バンクーバーの火の玉小僧も、すっかりいい男になりました。うん、かっこいいわテンくん。
ジャンプの調子がふるわないまま、五輪に突入してしまったのだろうか。でもステップはやっぱり素敵でした。9位発進。





ドイツ、ペーター・リーバース選手。
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うなぎのぼりというかしり上がりというか、このところ加速度的によくなってます。驚異的です。
ヨーロッパの常連さんなれど、目立たない選手だったんですけどね。ジャンプもスケーティングもすごく安定し、美しくなってます。4×3も軽々! ペーターに何があったんだ。
団体戦に続き、ほぼパーフェクトの演技でした。なんと5位発進。





中国、ハン・ヤン選手。
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何度も思ったけど五輪で観るとなお、これ五輪シーズンにぶつけてくるプログラムかなあと思う。彼のよさを出すプロはもっとほかにあると思うけれど。
まだ17歳、かなり緊張してましたね。アクセルは相変わらず、すばらしい飛距離でした。加点が3点近くあるなんてすごすぎる。8位発進となりました。





日本、高橋大輔選手。
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もう何も言わないで。
誰も何も言ってなくても、そんな気持ちです。

右ひざの状態は、あの全日本選手権の前よりよくなってはいない、と知りました。
その状態で五輪に出てきた彼に、この1か月余りの中での焦り、苦しみ、いろんな感情があっただろうと思い、リンクに出てきたのを見ただけで胸がいっぱいでした。
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万全で滑りたかったろう。
五輪に故障をかかえてきた選手はみんなそうだろう、彼だけが特別ではない。そう思いながらも、彼が《特別》である私は、ただ悲しかった。たくさんの、彼を《特別》と思うファンが、同じ気持ちで見つめていたことでしょう。

でも、彼は果敢でした。
ダウングレード判定になってしまったけれど、4回転を跳び、そしてアクセルを、3×3を、みごとに降りてみせた。
いつものスケーティングではなかった。自信のなさ、不安が出ていた。それでも、ステップはすべて4が揃う評価を受けるだけの滑りを見せつけた。
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最後までまったく気が抜けなくて、息を止めて見ていて、終わったあとはただ涙がこぼれました。よかった。逃げずに戦った。そして負けなかった。
結果は4位発進。ダイスケタカハシへの高い評価が、この順位につなぎとめてくれたと思う。
フリーでメダルをと思う気持ちはもちろんある。
でもそれよりも、ただ思いのすべてを出しきるスケートをしてほしい。そして笑顔で終わってほしい。



日本、町田樹選手。
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最終滑走でした。
冒頭のコンビネーションで4回転のあとが2回転になり、でもそれは大きなミスではなく、トリプルアクセルを美しいランディングで決め、ああこれはまっちー、3位には入るな…とほぼ確信した直後。
トリプルルッツがダブルになりました。

一瞬、何が起きたのかわからなかった。絶対に絶対に、ふだんならありえないミス。特別何か不具合があったとも思えないのに、なぜ?
本人もこの痛恨のミスの原因はよくわからないのかも。いわゆるオリンピックの魔物というやつが、最後にまっちーに襲いかかったとしか考えようがない。
たったこれだけで、まっちーは大きく点数を失い、11位という順位での発進に。



1位の結弦くん101.45点と、2位のパトリック97.52点の差は、4点余り。
この点差なら、フリーの出来ではいくらでも逆転可能。結弦くん、まだ金メダル確定ではないです。
とはいえ、当然もう金メダルと銀メダルは、どちらが上にいくかだけのこと。
頂上をかけた一騎打ちをする結弦くんとパトリックの一方で、たったひとつの銅メダルというチャンスを目がけた熾烈な戦いがフリーで展開します。
なんと、3位のフェルナンデス選手の86.98点から11位の町田選手の83.48まで、9人!9人もの選手が、たった3.5点差という僅差で銅メダルを奪い合うのです。なんという恐ろしいことになったんだろう。

男子フリー開始まで、あと4時間。
ただただ、選手みんなが悔いなく終われるように、そして大ちゃんが笑顔で終われるように祈ります。
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by higurashizoshi | 2014-02-14 20:12 | フィギュアスケート | Comments(0)

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