ひぐらしだより
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高橋大輔、世界選手権欠場
今日は朝イチで出かけて3つの用事や会議をハシゴして、夜中近くにやっと帰宅。
その会議の途中にタタからメールが来た。
「大ちゃん、ワールド欠場」と。
そのときは話し合いのさなかだったので、眼は内容を判読したけれど瞬間で心をシャットアウト。何も感じなかった。感じないようにした。
会議の後半、ときどき「ああこの時間が終わると、実感しなきゃいけないんだな…」という思いがよぎった。
帰宅して、どっと重くなった心と体でパソコンの前に座った。
そして、関西大学の高橋大輔選手の公式ブログで世界選手権欠場の発表を読んだ。
「右脛骨関節軟骨損傷による慢性膝関節炎」。
昨日の夜が世界選手権のエントリー締め切りだったので、もしかしてという思いはあったものの、現実を直視するのを避けていた自分がいたんだなと思う。
冷静に考えれば、あの五輪での状態からたったひと月あまりで、次の試合で戦えるコンディションになるはずがない。物理的にも、たぶん精神的にも。
しかもその試合が、人生で最後の競技の場になる可能性が高いというのに。
にもかかわらず、ワールドで演技する大ちゃんが観たいと願ってしまっていた自分は、なんともおめでたかった。悲しいほどに。
数日前に民放で放映された大ちゃんの特集番組が、ファンの怒りを買ってネット上でさまざまなことがあった。
その番組は関西では放映がなく、ネットに貼られた動画もほとんど削除されてしまったため、私はごく一部分しか観ていない。
それは番組のラストにあったインタビューの、一番最後の部分で、そこにはソチのフリーのあと現地でカメラの前に立った大ちゃんが、疲れ果てたのと脱力したのがないまぜになったような眼をしてトツトツと質問に答えていた。
姿は見えないインタビュアーから、「今の日本のエースは?」という質問があった。
大ちゃんは「羽生くん」と答えた。
ただでさえ悔しさと失意のさなかにあったファンにとっては、神経を逆なでする設問であり、番組のこの部分が特に問題にされて炎上したようだった。
まだ現役引退を表明したわけではない。それなのに「世代交代」を強調して、まるで高橋大輔の幕引きをはかるような作りの番組になっていたと、これは私も最後の部分を観ただけだけれど、そのようには感じとれた。
でも、番組の作り方に対して抗議するなら、ツイッターなどでそのテレビ局のみならず、ほかの選手やプロスケーターなどへの怒り、誹謗中傷までもまき散らすのではなく、その番組を制作し放映した側に直接意見を送るべきだと思う。
そんな大騒ぎの中、大ちゃんはファンをいさめるような言葉を残して、自分のツイッターアカウントを削除した。彼がどんな思いでそれをしたのかは知るよしもないけれど、これ以上騒ぎが大きくなってほしくないと願っていたことは確かだと思う。
そしてそのとき、もちろん大ちゃんはワールドの欠場をすでに決めていたのだろう。
ファンというのはわがままだ。大好きな選手が少しでも長く演技をする姿を観たい。活躍してほしい。勝ってほしい。思いのままにずっと観ていたい。もう少し、もう少し…。
私自身がまさにそうだった。今もそうだ。日本で開催される世界選手権に高橋大輔の姿がない。彼の演技が存在しない。それを思うだけで、悲しいし、つらいし、どこかにこの気持ちをぶつけたり吐き出したりしたくなる。
膝の治療のためにはそれが最良の選択だ、そう頭ではわかっていてもそんなふうに言えない自分がいる。ソチまでの長い紆余曲折と血のにじむような努力の果てに、なんでこんな終わりを迎えなければならないのか、こんなふうに終わるような選手じゃないんだと叫びたい自分がいる。
――いや、待て待て自分!終わりなんて言ってはいけない。だってこれが終わりだなんて、まだ彼は言っていない。
「今後も自分の膝とは長い付き合いをしていかなくてはいけない」
「一日でも早く皆様の前でスケートができるよう、日々の体の変化に対応しながら、治療に専念したいと思います」
ワールド欠場を発表した大ちゃん自身の言葉は、こんなふうに結ばれている。
休んで、治療して、氷の上に戻る。
それがいつなのか、どんな道のりを経てのことなのか、どんな形で戻り得るのか、それは大ちゃん自身を含め、今は誰にもわからないことなのだろう。
でも、彼は氷の上に戻りたいと思っている。もうおしまいにしたいなんて思っていない。
だから、待つ。ファンにできることはそれだけ。治癒を祈りながら、ただ待つこと。
そう言い聞かせながら、心を鎮めることにする。もうわがままを言うんじゃない!泣き言をいうんじゃない! 私はただの、ファンなのだから。
ソチの空の下で、長光歌子コーチとの写真。
待とう。我慢づよく静かに。
その会議の途中にタタからメールが来た。
「大ちゃん、ワールド欠場」と。
そのときは話し合いのさなかだったので、眼は内容を判読したけれど瞬間で心をシャットアウト。何も感じなかった。感じないようにした。
会議の後半、ときどき「ああこの時間が終わると、実感しなきゃいけないんだな…」という思いがよぎった。
帰宅して、どっと重くなった心と体でパソコンの前に座った。
そして、関西大学の高橋大輔選手の公式ブログで世界選手権欠場の発表を読んだ。
「右脛骨関節軟骨損傷による慢性膝関節炎」。
昨日の夜が世界選手権のエントリー締め切りだったので、もしかしてという思いはあったものの、現実を直視するのを避けていた自分がいたんだなと思う。
冷静に考えれば、あの五輪での状態からたったひと月あまりで、次の試合で戦えるコンディションになるはずがない。物理的にも、たぶん精神的にも。
しかもその試合が、人生で最後の競技の場になる可能性が高いというのに。
にもかかわらず、ワールドで演技する大ちゃんが観たいと願ってしまっていた自分は、なんともおめでたかった。悲しいほどに。
数日前に民放で放映された大ちゃんの特集番組が、ファンの怒りを買ってネット上でさまざまなことがあった。
その番組は関西では放映がなく、ネットに貼られた動画もほとんど削除されてしまったため、私はごく一部分しか観ていない。
それは番組のラストにあったインタビューの、一番最後の部分で、そこにはソチのフリーのあと現地でカメラの前に立った大ちゃんが、疲れ果てたのと脱力したのがないまぜになったような眼をしてトツトツと質問に答えていた。
姿は見えないインタビュアーから、「今の日本のエースは?」という質問があった。
大ちゃんは「羽生くん」と答えた。
ただでさえ悔しさと失意のさなかにあったファンにとっては、神経を逆なでする設問であり、番組のこの部分が特に問題にされて炎上したようだった。
まだ現役引退を表明したわけではない。それなのに「世代交代」を強調して、まるで高橋大輔の幕引きをはかるような作りの番組になっていたと、これは私も最後の部分を観ただけだけれど、そのようには感じとれた。
でも、番組の作り方に対して抗議するなら、ツイッターなどでそのテレビ局のみならず、ほかの選手やプロスケーターなどへの怒り、誹謗中傷までもまき散らすのではなく、その番組を制作し放映した側に直接意見を送るべきだと思う。
そんな大騒ぎの中、大ちゃんはファンをいさめるような言葉を残して、自分のツイッターアカウントを削除した。彼がどんな思いでそれをしたのかは知るよしもないけれど、これ以上騒ぎが大きくなってほしくないと願っていたことは確かだと思う。
そしてそのとき、もちろん大ちゃんはワールドの欠場をすでに決めていたのだろう。
ファンというのはわがままだ。大好きな選手が少しでも長く演技をする姿を観たい。活躍してほしい。勝ってほしい。思いのままにずっと観ていたい。もう少し、もう少し…。
私自身がまさにそうだった。今もそうだ。日本で開催される世界選手権に高橋大輔の姿がない。彼の演技が存在しない。それを思うだけで、悲しいし、つらいし、どこかにこの気持ちをぶつけたり吐き出したりしたくなる。
膝の治療のためにはそれが最良の選択だ、そう頭ではわかっていてもそんなふうに言えない自分がいる。ソチまでの長い紆余曲折と血のにじむような努力の果てに、なんでこんな終わりを迎えなければならないのか、こんなふうに終わるような選手じゃないんだと叫びたい自分がいる。
――いや、待て待て自分!終わりなんて言ってはいけない。だってこれが終わりだなんて、まだ彼は言っていない。
「今後も自分の膝とは長い付き合いをしていかなくてはいけない」
「一日でも早く皆様の前でスケートができるよう、日々の体の変化に対応しながら、治療に専念したいと思います」
ワールド欠場を発表した大ちゃん自身の言葉は、こんなふうに結ばれている。
休んで、治療して、氷の上に戻る。
それがいつなのか、どんな道のりを経てのことなのか、どんな形で戻り得るのか、それは大ちゃん自身を含め、今は誰にもわからないことなのだろう。
でも、彼は氷の上に戻りたいと思っている。もうおしまいにしたいなんて思っていない。
だから、待つ。ファンにできることはそれだけ。治癒を祈りながら、ただ待つこと。
そう言い聞かせながら、心を鎮めることにする。もうわがままを言うんじゃない!泣き言をいうんじゃない! 私はただの、ファンなのだから。
ソチの空の下で、長光歌子コーチとの写真。
待とう。我慢づよく静かに。
by higurashizoshi
| 2014-03-05 01:44
| フィギュアスケート