ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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スピッツ/FESTIVARENA@大阪城ホール

(追記・写真入れ替えあり)

前回の文を書いたあと、嵐の中を舞う木の葉のような日々を過ごしてきた。
木の葉の私は、ブログに文を書く余裕がない、というより、身体も心もまったくそういう次元にいなかった。
今、少し状況は落ち着いたものの、今度は起きてしまったことに対する反芻、後悔、取り返しのつかなさに七転八倒し、眠れなくなった。

一昨日、大阪城ホール。
スピッツの、全国4か所のみの今夏の特別なアリーナライブ「FESTIVARINA」、大阪2daysの一日目。
楽しみにしていた気持ちはどこかに吹っ飛んで、そもそもチケットを自分で使える気がしなかった。それでも状況に助けられて、昨日観に行けたのは奇跡のようなもの。
「行くからには楽しんでくるんだよ!」とタタとミミに送り出され、フラフラと大阪へ。
すでに名古屋と武道館の二か所でおこなわれたライブのレポートを目にすることもなく、セットリストも知らず、ある意味まっさらな、いやまっしろな状態でのぞんだ一昨日の夜だった。

スピッツ結成27年にして初めての武道館ライブあり、ということで「ついに解散?」という噂が出ていたとか、ライブ初演奏の曲目が含まれているとか、そんなことを知ったのは後の話。
実際目の前に登場したスピッツは、解散どころかいつもに増してフレッシュで、まだまだこれから!感に満ちていた。
客席は、いつものライブより男性率やや高め、若いカップルから家族連れ、高校生女子のグループもいれば60代とおぼしき品のいい男女ありと、いい感じのバラけぶり。
楽しそうな親子連れを見れば、うちみたいにちっちゃいころからスピッツを子守唄代わりに育ったんだろうな~なんて想像できてほっこりする。

1曲目は「夜を駆ける」。9.11後の心象を投影したこの曲を、アルバム『三日月ロック』の冒頭で聴いたときの衝撃を思い出す。
ここまで硬質な緊張感と官能性の入りまじった曲はスピッツ史上、類がない。いつかライブで聴けたらと思っていたこの曲がいきなり始まって、心が前のめりに傾斜していく。

と、2曲目はファーストアルバムからの「海とピンク」。まだパンクのしっぽを濃く残したこの時期の(しかも27年以上も前の!)楽曲を、なんの違和感もなくライブに載せられるのも凄いところ。可愛くて気持ち悪くてエロティックな、閉じた世界のスピッツもやっぱり魅力的なのだ。
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そのあと立て続けに新旧とりまぜた曲が、宝箱を開けていくように次々と繰り出され、息つくひまもない。と思うといつもよりMC多め、ちゃんと小休止も用意されてなごませてくれる。なんとなくメンバーもほぐれた雰囲気で、こんな大きな大阪城ホールなのにステージの遠さを感じさせない。
マサムネくんの平常運転なむにゃむにゃトークも、まさかのTOKIOをまねた客席のあおりマネも、高校時代に作った「漢字は書けないけど、おまえに夢中」という歌の披露も…ただただ楽しい。この押しつけがましくない、絶妙の距離感がスピッツなんだなあ。

横浜サンセットはもちろん行けなかったので、今回どんな曲をとりまぜてやってくれるかと思っていたけど、通常のツアーライブではなかなか聴けない、個人的に好きな曲が次々押し寄せてきたのは鳥肌ものだった。
スピッツ楽曲中、もっとも変態的な(マサムネくんもMCで言っていた)「ラズベリー」、コアなファンにはたまらない「プール」、大好きな「フェイクファー」「エスカルゴ」「愛のことば」…。
そしてまさか聴けるとは思ってなかった「正夢」。急に涙が流れてきて、いろんなことが頭をめぐりはじめて、棒立ちになる。

これまで生きてきてここに立つまでのこと、これからのこと。
家族のこと、人との関係のこと。
創作すること、夢見ること、苦しさに耐えること、喜びを受けとること。
自分というちっぽけさを責めて、責めながら誰かに許されることを期待している情けなさ。
それでも生きていくんだと自分に言いきかせる、細くて長い道のはるか向こう。
何か見えるような気がした。でも気のせいかもしれなかった。


「空も飛べるはず」を今の演奏で聴いて、なんて成熟したバンドになったんだろうと思うと同時に、マサムネくんの歌のうまさにうなった。
彼はか細い印象があるけど歌の技巧レベルも声量も、実際に聴くと驚くほど骨太。とにかく美しく、伸びがあって、うまい。こちらの身体の中に澄みわたるような歌声はものすごい快感装置で、これはCDで聴く歌声とはまた別もの。
崎ちゃんのドラム、テツヤくんのギター、リーダーのベース、安定した力をたもち、こうしてピースが全部ぴたっとはまるような気持ちよさでライブを続けられることも、やっぱり奇跡的。誰かひとりでも欠けたらその時点でスピッツは終わりだということはいつもわかっていて、そこにライブではクージーがいつも安心感を添えてくれている。
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ライブが終わるまでは、あまりにオールスターな選曲すぎて《集大成》みたいになっていたらどうしよう、という妙な心配があったのだけど、アンコールの「スカーレット」「不死身のビーナス」というマニアックな選曲で全25曲のライブが終わりを告げたとき、「よし!まだまだ余白あり!」という気持ちになれたのがうれしかった。

心残りなのは、あとで名古屋と武道館のセトリを見ると「スワン」をやっていたのに、この日は抜けていたこと。
最新アルバム「小さな生き物」の中でも、特別に好きな曲。3.11にまつわる死者への歌、と私は思っていて、どうしても生で聴きたいと思っていた一曲だったのに、ちいものツアーではやってくれなかったのだ。せっかく今回は入れたのに、なぜ、なぜ大阪で落とした~!と叫びたくなった。
(追記:なんと翌日の城ホール2日目のセトリを見たら、『スワン』入ってました…。ああ~2days行けばよかったと涙、涙)


ライブが終わり、また日常が戻る。
何センチか、ほんのちょっとだけ、私の心は移動している。
それはほんとにささやかな距離で、何にも変わっていないように見える。
苦しいことも、悲しいことも、どうにもならないことも、変わらない。
でもちょっとだけ、私の心は移動している。
たぶん、ひらかれた方へ。
ありがとう、スピッツさんたち。
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by higurashizoshi | 2014-07-17 10:31 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(2)
Commented at 2014-08-17 04:34 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by higurashizoshi at 2014-08-19 21:30
きのこさん
おおっ?そんなことが!と思ってちょっと調べてみたら、MCでマサムネくんが関ジャニ∞のふんどし話をしたこと、スピッツファンのブログとかでも話題になってました~
いや~奇遇やわあ。というか、なんでもすばるくんのお兄さんがスピファンだとか?

マサムネくんってカタイ人イメージなんだねえ…
実際にはけっこう面白がりというか、特にライブではゴールデンボンバーのものまねしたり、爆笑を誘うゆるゆるトークで楽しませてくれる人ですよ。
それにしても、すばるとマサムネを結ぶ糸!いや~あるもんだねえ、ええ話教えてもらった!

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