ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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スペインへの旅 4 あこがれのトレド

《あこがれのトレド》、と書いたものの、その《あこがれ》歴はそんなに長くはない。
エル・グレコが好きになってから、トレドという町が彼の後半生のホームグラウンドであったことから、どんなところなんだろうな~というくらいの興味はあった。
それが、2年前の日本での「エル・グレコ展」に行ったときに会場にでトレドの大きな地図を見て、そこで初めて具体的に、古い城壁に囲まれた中世そのままのトレドの町の様子と、その町なみのあそこにもここにもエル・グレコの絵を有する教会や美術館があることを知った。
城壁に閉ざされた古都がまるごと昔の姿をとどめている、というのにも魅かれたし、なんといっても小さな町の中にこれほどたくさんエル・グレコの作品があるということに感動した。
そのときは、「ここに行ってみたい!」という強いあこがれの思いと同時に、「一生こんなところには行けないだろうな…」と思ったのをよくおぼえている。
当時の私にとっては、海外に旅をするなんてことが、この先自分の人生にあるとはまったく思えなかったから。


そんな私が今、トレドに向かう列車に乗っている。
あのときの「エル・グレコ展」の図録に載っていた、当時から何度も何度も眺めたトレドの地図のコピーをバッグに入れて。
想像だけだったトレドのカテドラル(大聖堂)も、エル・グレコ美術館も、サント・トメ教会も、エル・グレコの墓のある修道院も… 地図上にせっせとマルをつけた教会や美術館を、これから本当に訪れるのだ。
…ひえー、どうしよう? 考えると緊張して、逆に現実感がなくなってくる。深呼吸、深呼吸。
そうでなくても、昨日の出発以来テンパってばかりなのだから、このままではトレドに着いたら、着いたという事実だけでパタリと倒れてしまいかねない。落ち着け私!


たった30分の車中はあっという間に過ぎさり、実にアッサリとトレドに着いた。
「トレド~、トレド~」
いやいや、そんな放送はなかったけど、なんかそんな感じがするくらい、しみじみ~っとした駅に降り立った私たち。
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こっこれが、うわさに聞いたトレドの駅舎か! ええ感じやねえ。

と思ったらいきなり、ホームですでに、どどどーんと来た!エル・グレコ様。
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実は、今年2014年はエル・グレコ没後400年にあたるということで、マドリードやトレドでは今年一年にわたって、大々的にエル・グレコを回顧する展覧会や各種イベントがワンサカおこなわれているのである。(没後400年記念イベントのHPはこちら

まさかそんな年に自分がスペインに行くことになるとは思ってもなかったので、旅の下調べの途中にそれを知ったときはびっくりした。すでに旅程はきまっていたので、ちょうど私たちが来る直前に終わったプラド美術館での展覧会には間に合わなかったものの、トレドの美術館ではまだエル・グレコの特別展を開催中のはず。
そんなわけで、もしかしてトレド中はエル・グレコ愛好家ですごいことになっているのではないか…と思ったりしたけど、没後400年企画の大半は夏に終わっているみたいで、実際はトレド、わりと静かでした。よかったよかった。

トレド駅のホームに展示してあったグレコ作品巨大ポスターのひとつ、これは「オルガス伯の埋葬」の下部分。世界的名画をちょん切っちゃっていいのかね。
この作品は、どう考えてもサント・トメ教会から外に出ることはないだろうと思われるので、トレドを訪れなければ観ることはできない。
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この絵をこのあと実際に観るんだ… と思うと、
「きょ、今日? このあと? わわわわどうしよう」
と、またまたいまさらながら、心の準備ができてません私。

自分で「行く!絶対トレド行く!」って子どもの前で子どもみたいに宣言したくせに、それで旅の行き先がスペインに決まったようなもんなのに、いざそのときを前にすると頭が真っ白に…。ああ、がんばれ私の神経細胞!

とか頭の中でひとり戦いをくりひろげつつ、さてこのあとはどう動いたらいいんでしょうか…と思いながら駅舎の中へ。
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風情ある建物だなあ。
「古都トレドの玄関口にふさわしい駅舎を作るのだ」という意気ごみで作られたんだろうな~ということが伝わってくる。
(この駅舎は築100年近くらしいが、これがトレドでは「新しい建物」と言われてることをあとで知った…。確かに、このあと目にしたトレドの旧市街はほんとに《別時代》の世界だったから、さもありなん)

駅舎を抜けて、駅前に出る。
しみじみとした通りに、可愛い黄色いヤツ。
なるほど、スペインでは郵便ポストは黄色いのだ。
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さてバスが来て、フツーに乗ると、トレドのフツーの人たちがたくさん乗っていて、まあ駅前は別にフツーの町並みなんですが、しばらくぐいぐいと坂道を上がっていくと、おお。独特の赤みをおびた茶色の、石造りの世界が目に入ってきた。これが旧市街を取り巻く城壁らしい。
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バスの中から撮ったビサグラ新門。ここを通れば旧市街の中。
「新門」っていっても16世紀建造。トレドはそういう世界なのだな。


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門をくぐり、旧市街へ。ここにもエル・グレコ様! しかも手フェチ部分画!
(あっすいません。グレコ画の手の描写って、特にすごく妖しい魅力があるんです。宗教画だから本来そんなこと考えちゃいけないんだろうけど。でもこんな《手だけ》展示があるってことは、同じように感じる人が多いのか?)

ものすごく狭い道をぐりぐりぐりと回りながら、バスはあっという間に町の中心部、ソコドベール広場へ。
ここはなんだか人がわんさといて、ツーリストのたまり場みたいになってるらしく、大型バスは行き来するは、マクドナルドもあるし、わりかし俗な感じ。ふーん、やっぱりトレドって一大観光地なんだなあ。周りからいろんな言語が聞こえてくる。
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とりあえず宿に行って荷物を預かってもらおうと、ソコドベール広場からすぐのホテル「アルフォンソⅥ」に向かう。
おお、トレドっぽい良い感じのホテル。こういうのを期待していたのよ。
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フロントには、思わず見ほれるほどものすごい腹回りと、二重あごが見事なホテルマンのおじさんがいて、「オラ」と低い声であいさつしてくる。笑顔はなし。
「オラ」だけ返したら、あとは英語でいくしかないので、
「日本から予約してるひぐらしですけど…」
にあたるらしき英語を発してみると、ああ、わかったわかった、という感じですぐに部屋のカギを渡してくれた。
あれ、もうチェックインできちゃうの? 時刻はまだ午前。荷物預かってもらうだけと思ってたのに、助かる~!
「グラシアス」と笑顔で言ったら、二重あご氏は口の端で「にょ」と笑ってくれた。

ホテル内は古くてしみじみした感じ。期待通りにエレベーターは「ごっとん、ごっとん、がっちゃーん」と動くし、扉は手で開けるし、階段の踊り場に甲冑はあるし。ええやんええやん。
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部屋もいい感じでした。落ち着いたダークブラウンの室内に、白とワインレッドのインテリア。
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いわゆる高級ホテル的な宿にはまったく食指が動かない(いやもちろん、動かせないのだけどね!)私たち。マドリードとバルセロナは厨房つきの安いアパートメントホテルを、ここトレドでは雰囲気のある古いホテルで便利な場所を、という選択をしたのだけど、結果的にこれは大正解だった。

部屋のセーフティボックスの使い方とか、wi-fiのつなぎ方とか、またフロントに聞きに行ったり、窓からの景色を鑑賞したり。目の前はアルカサル。
(下の方にちいさく写っているおもちゃの電車みたいなのが、私たちは乗らなかったけどツーリスト用に町の周囲を走っているソコトレンという乗りものです)
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どの宿のバスルームにも必ずあったビデ。最後まで誰も使い方わからず…
しっかり広い浴槽があったのはうれしかった。
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さて、ようやくおもむろに出かけましょうとなり、まずは何をおいてもトレドの中心、カテドラル(大聖堂)へ。

といっても、トレドの町は一歩出ると迷宮のよう。すべてが石造りの高い建物でできていて、その建物にはさまれた細い道が縦横無尽に走り、地図で見て「あっちだ」となっても、そう簡単には行きつけない。
とにかく道に迷う町だ、とは聞いていたけど、旧市街は地図で見たらすごく狭いので、迷うといっても大したことはないだろう、と思っていた。この感じは、ちょっと日本にいる間には想像がつかなかったなあ。

それでも、カテドラルはとにかくけた外れに大きいので、そんなに苦労せずたどり着くことができた。
次回はカテドラルほか、この日訪れたサント・トメ教会、エル・グレコ美術館の様子を。



いや~なかなか進まないダラダラ旅行記、道は遠いけど楽しみながら書きますので(しかし忘れないうちに!)引き続きおつきあいください。
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by higurashizoshi | 2014-10-29 02:16 | 旅の記録 | Comments(0)
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