ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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五島列島 小値賀島・野崎島への旅 2

さて、目的の野崎島に渡るには、事前に予約が必要ということで、「おぢかアイランドツーリズム」にメールで申し込んでいた。
とっても素敵なHPを完備して小値賀島や野崎島の魅力をアピールしておられる「おぢかアイランドツーリズム」さん(HPはこちら↓)

現地では、小値賀港ターミナルの中に窓口兼事務所が。
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現在は無人島である野崎島。昭和40年代までは長きにわたり、数は少ないけれど住民がいた。過疎による集団離島のあとも最後の最後まで残っていた方が島を離れたのは平成13年というから、完全に無人島になったのは意外に最近なのだ。
島内には3つの集落があり、そのうち2つが元々潜伏キリシタンの人たちが住む場所だったそうだ。
私の目指す「旧野首教会」は、島の中央あたりにある野首集落というところに建っている。

いよいよ、町営船「はまゆう」で野崎島へ出発。
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ぐるっと野崎島の周りをめぐっていくので、島の様子がよくわかる。船のスタッフが、「あれが王位石(おえいし)ですよ」と教えてくれる。
「王位石」というのは、野崎島に飛鳥時代(!)に建てられたという冲ノ神島神社の後ろにそびえ立つ巨岩。不思議な形に積まれていて、考古学的にも謎が多いらしい。8世紀にはすでにこの小さな島に神社や建造物があったのか…。

途中、予告なく別の島に立ち寄る。ここはドコ? あとで聞いたら、すぐそばにある六島(むしま)という島で、ここには住民が3人だけ(!)いるという。だから日用品を運んだりインフラを整備したりする必要があるのね。
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いよいよ野崎島に上陸。
この町営船が、小値賀島と六島とこの野崎島を、1日2便で結んでいる。
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港には、人がここに上陸する予約が入っているときだけ小値賀島から来る管理人さんが待っていてくれた。
実は、予約の段階ではこの日野崎島に渡るのは私ひとり、泊まるのも私ひとりになっていた。オフシーズンだけに、無人島をひとりじめ!と思っていたのだが、この前日がひどい暴風雨で船は欠航。そこで足止めをくった旅行者2人が予定変更してこの日に渡航することになり、島に渡る人数は3人となった。管理人さんを入れて4人だけが、この一夜を野崎島で過ごす人間となる。

みなさんひとり旅で独立心ある人ばかりで、基本バラバラに行動したのでストレスはなかったし、むしろ後になってからは、もし予定通り島にたったひとりだったら相当こわかっただろう…と思う場面も多々あった。

港に降り立つと、3つの集落のひとつ、野崎集落が目の前に。
住民の離島から長い年月がたち、すでに崩壊寸前の廃屋が並んでいる。
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島の樹木が、人の積んだ石垣を深く食んでいる。
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かつて集落の中心だっただろう神社も、石段をあがると社殿は完全に崩落していた。
こういう景色を見るとどうしても東日本大震災の被災地を思い出してしまう。人が長い年月いつくしんだ大切な日常が、断ち切られ朽ちていく光景。
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島のいたるところに群生していた、鮮やかな黄色の花。
朽ちゆく人工物を背に、植物たちはのびのびと咲きほこっている。
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意外だったのは、港から島の中心部へ向かって、大きな電柱が並んで電線が延びていること。
無人島とはいえ、宿舎に人を泊めるためにこうして電気を運んでいるわけだ。

野崎島の平地部分は、ほんとうにわずか。あとで歩いてみてよくわかった。
その貴重な狭い平地、このあたりはきっと畑だったのだろう。
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その後は山道の急勾配を、息を切らせつつのぼっていく。
たちまち高みへとやってくる。絶景の予感。

視界が開けた!
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おおー。
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これが野首海岸。
目に沁みるほど真っ白な砂と、群青の海。
あたりまえながら、誰も、誰もいない。
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海岸を見下ろしつつ、山道をさらに進む。
港から20分あまり来ただろうか。目の前に谷があらわれた。野首集落。
あれだ。小さく見える、レンガ造りの建物。
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このあたり、私テンパりすぎてほとんど写真撮ってません。
あこがれた教会がすぐそこにあると思うと、ドキドキしすぎて頭まっしろで、ひとりで「ああー」とか「はー」とか言いながら近づいていった記憶が。
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見上げるところまでたどり着いた。
のぼっていく。
人の手でひとつひとつ積まれたであろう、ごつごつの石垣と石段。
はげしい勾配。
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のぼっていく。
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見上げる。
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見上げる。
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振り向けば、眼の前は海。
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旧野首教会は、この教会周辺に住んでいた17世帯の信者が、生活を切りつめて持ち寄った資金で1908年(明治41年)に建てられた。今のお金にして数億円ともいわれる材料費と建築費を、たった17戸の家庭が知恵をしぼり、力を合わせて捻出したのだ。
かつて潜伏キリシタンとして厳しい弾圧の時代を生き抜いた野首集落の人たちにとって、この美しい教会はいわば信仰の証、夢の実現だったのではないだろうか。

多くの教会建築で知られる鉄川与助が最初に設計・施工したレンガ建築の教会とのことで、とても小さいけれど端正で、素朴にして完成された美しさだ。
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内部もまた美しかった。
撮影はできなかったが、つつましやかな祭壇、やわらかな色味の木を基調としたリブ・ヴォールト天井のなんともいえず親密であたたかな雰囲気の空間。ここに17世帯の信者たちが集い、祈りをささげていたと思うと敬虔な気持ちになる。
そしてこの教会を置いて島を出ていくとき、信者の方たちはどんな思いだったかと想像してみる。
(内部の写真はこちらで見ることができます↓)
教会の裏手にのぼってみる。
実に、この教会は建物の美しさだけでなく、周囲の状況がドラマチックなのだ。
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教会の周りにも家があり、畑があったらしい跡が広がっている。
この海風の吹きすさぶ、傾斜のつよい土地を耕して暮らしていくのはどれほど大変だったことだろう。

あちこちにアザミが咲いていて、うっかりそこらに腰を下ろすと鋭い葉でおしりをチクリと刺される。
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野首海岸に降りていく。
ほんとうに真っ白な砂。きめこまかいパウダー状で、足がめりこんでいくほど。
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夕景を見に、古いダムを越えて向かい側の海辺へ。
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キリシタン墓地があるのが遠く見える。
すっかり荒れてしまっている。
鹿や猪よけのフェンスも傾いたまま。
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波の音と、風の音しか聞こえない夕暮れ。
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野崎島唯一の宿泊施設、自然学塾村。
管理人の前田さんが作られたユニークなアートがいろいろと並ぶ。
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ここは、かつて人が住んでいたころの小中学校分校跡。
子どもたちがここで学び、前庭は集落総出の運動会の開かれる校庭だった。
今はきれいに整備され、畳も敷かれて意外に快適に泊まれる。自由に使える厨房もある。ムカデ、ネズミに注意、外には鹿と猪、というワイルドさはもちろんあるけれど。
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夜。
前日の暴風雨のなごりの強風が吹きすさんでいて、ものすごい音で宿舎が揺れる。
外は漆黒の闇。
電気もついて、建物にも守られているのに、ひしひしと何か強いものが迫ってくるように感じる。
「ここは、死と隣り合わせよ。」
昼間聞いた、前田さんの言葉が思い出される。なかなか寝つけない。
明日は教会にのぼって夜明けを見よう。

次回、野崎島2日目です。

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by higurashizoshi | 2017-04-26 12:35 | 旅の記録 | Comments(0)

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