ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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ピロスマニに会った日

大阪に、ピロスマニの絵を観にいってきた。

と書いてしまうと、まるで何てことのないような。
でも私たちにとってはいろんな意味をふくめた一大事だった。
ミミはごくふつうに外出していたが、タタと私はこの一年ほど、ほとんど家から出ずに過ごしてきた。
夏になって少し外に出る機会があって、でも電車に乗って遠くに行くなんてとても考えられない。そんな私たちには、大阪は外国みたいに遠かった。タタにとってはたいへんな旅になった。
でも、行って、絵を観て、無事に帰ってこられた。
私の夢を、タタが実現させようとがんばってくれた。
ありがとうと言ったら、「わたしが観たかったから行ったんだよ」とさらりとかわすタタなのだった。

ピロスマニの絵が10点まとめて日本に来るのは稀有な機会、と解説に書いてある。
今回の展覧会「青春のロシア・アヴァンギャルド」は夏に東京のbunkamuraで開催されたとき、くれないさんから教えてもらい、大阪に来るのを待っていたもの。
といっても、ほんとうに行けるとは内心、思っていなかった。
20歳のころから本物を観たいと思い続けていたピロスマニの絵。
それは、これまで画集や映像で観たものとは、やはりまったくちがっていた。


d0153627_2141424.jpg展示の最初の一枚、「イースターエッグを持つ女性」。
これが、私が生まれて初めて実際に観たピロスマニの絵になった。
画像が小さいし色彩も違ってしまうけれど、雰囲気を伝えるためにアップしてみる。

ピロスマニの絵は、印刷でみると、素朴で稚拙にさえみえるものが多い。
でも本物を目にして、そこにある芸術性の深さに圧倒された。
そして、心が洗われていくような美しさに涙がこぼれそうになった。



d0153627_21103084.jpg「ロバにまたがる町の人」

ピロスマニは、人間よりも動物により深い愛着をもっていたと思えてならない。
この絵をみて、あらためてそう思った。もっさりと前方を見るおじさんにくらべ、つややかなロバの瞳のいきいきしていること。誰もが胸をきゅっとさせられるような可憐さだ。




そして、タタとミミが一番好きになった一枚「雌鹿」d0153627_211830.jpg

静かに水を飲んでいる動物は、ピロスマニが繰り返し描いている構図であり、テーマなのだと思う。
無垢な美しさと無力さ。鹿の瞳も体つきも、このうえなく優しく、平和だ。
狩られる動物である鹿が、水を飲んでいる。
あらゆる傷つけられるものと、傷つけるものについて、この絵はことばなく語っている。



ふつうにキャンパスに描かれた絵は一点もない。貧しさからか、自分なりのやり方なのか、厚紙に油彩で描かれた絵は、どれも端がぼろぼろに朽ち、傷ついていた。店の看板のための絵は、鉄板に描かれている。
実物の絵をみていると、その人がそれを描いたときの息づかいや、においが伝わってくる。確かに生きていたその人を感じることができる。
これらの絵を描いて、生きて死んだピロスマニという画家のことを、やっと肌身で感じた。こんな至福のときはなくて、何度も何度も10枚の絵をみては戻り、みては戻った。
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by higurashizoshi | 2008-10-20 21:22 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(10)
Commented by ようこ at 2008-10-21 09:00 x
higurashizosiさん、本物の絵が観られて良かったですね(^^)
私は絵のことはよく分かりませんが、自分が好きなものを生で観た時の感動は分かります。

そして何よりそれを観に行けたこと!

良かったですv(^^)v

少しずつ、少しずつ動き出しているんですね。
Commented by くれない at 2008-10-21 23:17 x
ピロスマニ!
ほんとに実現しましたね♪
本物を見ることって、大事ですね。
息遣いまで伝わってくるようです。
あの黒さって、何だろうって思っていたら、下地が黒い板(?)に描いていたり。

グルジアの映画を観ました。
確か「歌うつぐみがおりました」だったと思うのですが‥
ちょっと古いソ連時代の映画です。
イオセリアーニという監督でした。
まだまだ知らない国ですね。
眉の濃い女性が美しい国のようです。
オリンピックのころ、ロシアとグルジアの南オセチア問題の戦闘が伝えられましたが、どう終結したのか、私の記憶もあいまいです。



Commented by マッシー at 2008-10-21 23:27 x
ピロスマニという名前は記憶になかったんですが、アップされた絵をみて、あれ、みたことあるよ…と思いました(本物じゃないですけど)
印象に残る絵ですね。
本物、見ることができて、本当に良かったですね。大好きな絵に出会えると、震えちゃいますよね。
良かった!良かった!

Commented by higurashizoshi at 2008-10-22 10:44
ようこさん、ありがとう!
一歩進んで二歩さがる…みたいなことも多いんですけど、ほんとに
少しずつ、動き出せるようになってます。

もしも、何の困難もなく観に行けたんだったら、ここまで深く心に
しみる出来事にはならなかったかもしれない…と思ったりもします。
思い通りにならないたくさんのことのなかに、たったひとつかなう
願いがあれば、それはほんとにきらきらと輝いてくれるんですね。
Commented by higurashizoshi at 2008-10-22 11:24
くれないさん、そうなんです、実現しました~
ほとんど無理、と思っていたんですけど、夢みたいでしたよ。

印刷だと単調にみえてしまう黒も白も、実物をみるととても深い色合いでした。
素朴にみえて、実はとても緻密に描かれていることがわかりました。
もう、ここを離れたくない! という気持ちで名残り惜しかったです。

イオセリアーニって、名前は聞いたことがあります。
映画を観たことはないのですが、DVDになってるのかな? 観てみたいです。
グルジアの女性はほんと、見とれるほど美しい方が多いですよね。
ロシアとの関係ですが、とても難しくなってるようです。
いったん戦闘が起きれば、憎しみの連鎖になり、ほどくのは容易では
ないんだなとつくづく思います。
この問題が、さらに大きな対立の火種にならなければいいのですが…
Commented by higurashizoshi at 2008-10-22 11:33
マッシーさん、ありがとう!
ピロスマニの絵、とっても印象的ですよね。マッシーさんはどこで観たのかな?
素朴で暖かいといわれることの多いピロスマニですが、実物をみて、私は
むしろ鋭いものを感じました。そして祈りのようなものも。
いつかグルジアに行って、国立美術館にあるというたくさんのピロスマニを
おなかいっぱいになるくらい観たいなーと…
またまた壮大な夢をみています。
Commented by ツネ at 2008-10-23 17:08 x
よかったー!!すごい!
ピロスマニとの出会いももちろんだけど、higurashiさん、タタちゃん、ミミちゃんのはじける心躍りが目に見えるようです。、おめでとう。みごとな一歩だね。
「雌鹿」を眺める6つの瞳がきらきら輝くのがわかる気になったよ。
こちらまでうれし涙になりそう・・・3人が肌身に感じ取った感激が爆発的に花開く瞬間が見える。
本当におめでとう!
Commented by ロックマン at 2008-10-23 17:53 x
higurashizoshさん
長い長いあいだ念願だった絵が見られたんですね。すごい!おめでとう!!

ビロスマニの名前は、higurashizoshiさんの話を聞くまで、知りませんでした。
絵も、たぶん初めて見ると思います(でも、どこかで見たことあるような・・)
ネットからみても、とても印象的な絵ですね。
わたしも雌鹿の絵に惹かれました。

グルジアって、どこだっけ?と、さっそく地図でみてみました。
トルコとロシアの間、黒海のほとりの山岳地帯。
日本では幕末の頃に生まれて、第一次世界大戦の終わりに他界した画家。
その時代のその場所に、生まれて生きていたことを、できるだけ想像してみようと
思うのだけど・・・難しいです。

「いつかグルジアに行って・・」の夢、素敵ですね。
グルジアでビスマロニの絵を見たら、もっとビスマロニに近づけるような気がします。
夢は、あきらめずに口に出していると、いつか叶うとか・・
higurashizoshiさんの夢がかなうよう、わたしも祈ってます!
Commented by higurashizoshi at 2008-10-24 11:12
ツネさん、ともによろこんでくれて、ありがとう!
行きはまずまずスムーズだったのだけど、帰りはタタが調子悪くなって
はたして電車乗ってはるばる帰りつけるのか…と気が遠くなりかけたり。
ほんと、よくがんばったと思います。
でも、今回行って、絵を観られたことは、親子どちらにとってもすごく
大きな経験になったな、よかったな…ってしみじみ思ってます。
自分たちなりの、よちよち歩きでいいんだよね。だからその一歩が貴重で
いとおしいんだし。
Commented by higurashizoshi at 2008-10-24 11:26
ロックマンさん、ありがとう~
行ってきたときはなんだか夢中で、あとから大きな感動がじわじわと
きました。
ピロスマニに囲まれていたときは、もうずっとここにいたいというくらい
吸い込まれるように心地よくて、あんな経験は初めてかもしれないなー。
そんな《魔力》のある絵でしたよ。

うちでも帰ってきてからタタが「グルジアってどこ?」って地球儀を回して
ました。「黒海」っておすもうさんがいてね、グルジア人なんだよ…
なんて話をしました。なんで黒い海なの? って聞かれて、ん? そういえば
なんでだろう、とか…

夢は、あきらめずに口に出していると、いつか叶う!
いいことばだ~ 胸の中にちゃんとしまっておいて、「グルジアグルジア」
とあきらめず口に出してみようっと。

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