ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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2017年 11月 16日 ( 1 )

2年と5年

以前から予定を入れずにいた日。
昨日は父の2度目の命日であり、大切な友の5度目の命日でもあった。
不思議な偶然で2人が旅立った日が重なり、あまりにも特別な日になったがゆえに、どんな思いで、どんな姿勢でこの日を迎えるか、考え考えしつつも今年もぐんぐんその日は近づいてきた。

前夜、夢を見た。
霧のような靄のようなものが白く立ちこめた湖の上を私は歩いている。
水の上を歩いているのに沈みもせず何の抵抗もない。
歩いていく先の向こう岸に、誰かがいるように思える。
その姿は白い靄にかくれて、輪郭すらさだかではない。
けれど、そこに誰かが立っているという確信が私の中にある。

どれだけ歩けば向こう岸に着けるのかはわからない。
歩いても歩いても、先に進んでいる実感がないまま、息をしずかに吐きつつ、私は歩いていく。
不安なく、かといって幸福感もなく、ただ胸の中にしんしんとしたかすかな痛みがあった。

目が覚めた。
ああ父と友の命日だと思い、身体はまだ湖の上を歩いている感覚のままでいた。
そのとき、ごく自然に心の中で父に話しかけた。ねえ、これって何だったのと。
そしてしばらくしてから、父が亡くなって以来2年間、私は一度も心の中で父に呼びかけたことがなかったと気づいた。そして今初めてそれをしたと。
友には亡くなってから何度となく心で話しかけてきた。でも父にはそれができずにきたことすら、気がついていなかった。

自分の中で何かがほんの少し、開いたのだと思った。これまで、私は父に心を閉ざしていたのだ。
同じように父を急に亡くした経験のある友人が言っていた。
「亡くなって2年くらいは思い出すのもつらかった。でもその後、話したいときにはいつでも話せる、会いたいときにはいつでも会えるようになった。ただ父のいる場所が、この世から私の心の中に移っただけなのよ」と。

午後、海へ行った。
「どこに行きたい?」と聞くと必ず、
「海が見たいな」と言った父。
車で40分かけてこの海まで何度も連れてきた。
父は最後のころは車椅子の上から、じっと海と空を見つめていた。
昨日、その海は静かだった。雲から太陽の光芒が空へとひろがって美しかった。

父のいなくなった世界で2年。そして友のいなくなった世界で5年も生きた。
世界はこんなにも美しく、人は人を相変わらず傷つけ、同時に救い、支えもする。
海を見ながらふと気がついた。夢の中で感じた胸の中のかすかな痛みについて。
あれは《悲しみ》だったんだと。

泣き叫ぶような激しい悲しみではなく、しずかで呼吸のようなやわらかな悲しみ。けれど決して消えることのない悲しみ。
私はそれに気づいて、深く安堵した。
もうこれからは、父に話しかけることができる。そう思った。

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by higurashizoshi | 2017-11-16 12:09 | 雑感 | Comments(0)

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