ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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カテゴリ:詩( 10 )

ひさびさに

しばらく、ごぶさたしてしまいました。
なんとも隙間なく忙しいと同時に、ちょっと気持ちが書くことから離れていたような。
その間にも、たくさんの方がここを訪れ、古いものも含め多くの文章を読んでくださっていて、なんだかそのたびに不思議の念にうたれていた私。
私がどこぞに行っている間にも、私の書いたものはここで人を待ち、人に読まれ、何かを感じてもらっている。
一度も会ったこともない、どこにいるかも知らない誰かが、つぎつぎと私に触れている。
そんな気分です。

今日は私の誕生日。
そして、偶然にもほんとうにひさびさに一日家にいられる日なので、朝から深呼吸をして空をながめ、近所を歩き、パソコンの前に座りました。

今日は私の誕生日であると同時に、
私にとって大切な友の誕生日でもある。
その人はもうこの世から旅立ってしまったけれど、ずっとずっとこの日は誕生日でありつづける。
彼の笑顔を思いながら、この日を過ごします。

最近、心をしずめたいとき、詩を声に出して読むことがあって、
その時間がとても好もしい。
ああやっぱり私には詩が、ことばが、必要なんだなと思う。
彼もことばを綴る人でした。ことばを生きようとする人でした。

4年前、初めての詩集を出したとき、心からよろこんで、大切に読んでくれた彼はもういない。
4年がたち、人から「次の詩集はいつ?」という声をかけていただくことも増え、でも私の心はどこか眠ったまま。
起きたくないよと、駄々をこねていた。

そんなところから、ゆっくりとふたたび動きだそうという気持ちが、ちょっとだけ芽を出したかな。
だいぶ前の作品ですが、今日ここで。


*****


a book


本をひらくと
はじまり
本を閉じると
おわってしまう

おそらく
僕もひとつの本であり
誰かがそれを
手に取って
いるのだろう

そのずっと外に
人間のいない深い森や
海や
天体があるのだ

それらを視ることは
できても
僕はそんなに遠くには
行くことができない

僕という本の
手ざわりを
誰が何を思い
味わっているのか僕は知らない

それでも
僕はすでに開かれて
読まれていることは
知っているのだ

それはとても痛く
だのにやさしい明るさを
もたらす

音や 声や ぬくもりを
舌で感じて
ときにはほほえんでいられる

いつか本は
予告なく
ぱたんと閉じられてしまうだろう

本をテーブルに置き
誰かが部屋を出て
ため息をひとつつき
朝食をとるために台所にむかう

窓の外には かわらず
深い森や
海や
遠く天体も存在している

いくつも昼夜がすぎ
置き去られた本の上に
厚くほこりがたまっていくとしても

いつか誰かが
ふと本を見つけ
何の気もなしにほこりをはらって
開いてみるかもしれない

痛みに目覚め
瞳をひらいて
世界のありとあらゆるところを視る
どこにも行けなくとも
ふたたび僕は生きはじめるのだ

そう夢想して
秋のある日
僕は誰かにページを繰られながら
ひっそりと
ほほえんでいる
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by higurashizoshi | 2015-06-04 12:51 | | Comments(2)

一月三日


つぶれるような思いに胸をおされ
目ざめる

あたたかいお茶をいれ
窓ごしの空を見て
まだ雲が
空にうつくしくいるのをたしかめて
新聞を読む

昨日死んだ人のことや
昨日たのしかったできごとが書かれている

政治はゆらゆらゆれて
ちいさな争いは大きく書かれている
子どもが親にだめにされていることや
大人が金を払って他人に話を聴いてもらっていること
B級グルメの大会について書かれている

絶望はいろいろなかたちでひとをとりこみ
ちいさな喜びは胸をつまらせながらかすかにいる

湯のみの中のお茶は澄んだみどりいろで
しずかに湯気を立てて私に吸われる

新しい年が明け
三度目の朝
胸にそっと手のひらをあてながら
幸せについて私は考えている

あの雲のように
刻々とすがたを変えながら
それでも空にうつくしくいるものについて

新聞をたたみ
今日をすごすために必要なすこしの勇気と
これからもずっとつづいてゆくかなしみを
テーブルのはしに立てかけて

一月三日の私はゆっくりと立ちあがる




***
みなさん、あけましておめでとうございます。
少し遅くなってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いします。
昨夜書いた詩を載せました。
年賀状のかわりにするには、少しさびしいけれど。
生きていてよかったと思う瞬間が何度もあるような、そんな年になりますように。

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by higurashizoshi | 2011-01-04 14:20 | | Comments(4)

ちぎれてしまうほど

外では梅が咲いているのだという
いずれ風もあたたかくなって
桜もひらくね

寒いときは寒い心がとてもうずく
だれかの足に自分の足をからめて
暖をとる

からりと晴れて今日は小春日和という
テレビではそう言っている
気象予報士は笑顔で日本のあちこちを指さす

その地図のあちこちで自分の肩を抱いて
くらい眼をしている人がいる
海のそばでは切りたつ風を見つめ
立っている人がいる
北方の山地では雪にまみれ
いっしんに仕事に向かう人がいる
赤んぼうは地図のどのところでも
生まれた不思議に瞳をひらいている

僕はきみの布団にそっともぐりこみ
やすらいだ寝息を聴いている
ちぎれてしまうほど冬に耐えたら
また春はやってくる
やわらかい足に僕の足をからませたら
すこしずつ僕もあたたかくなる

もうすぐと
どれだけの人が想っているだろう
間に合えばいいな
また春はやってくる


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by higurashizoshi | 2010-02-23 15:22 | | Comments(4)

明日生まれる

環状線が
ぐるぐるまわりながら
深い夜中に
ふと切れるところ

その場所をだれも
知らない

路線図をにぎりしめ
そこにむかう
君がいる

合図はとてもひそかで
母さえも気づかなかった
布団からそっと
ぬけでた

痛いほどの寒気に
どっとおそわれて
君は上着のえりを
立てる

きりたった山地が
ふと切れてやさしくなる谷のそば

君の吐く息が銀に凍り
かりかりとほおを切る

路線図のなかに白く光る場所が
ここだ

眼をこらし
闇のなかをじっと立っている
きっと聴こえはじめるかすかな響きを
待っている

そのようにして君は
明日生まれる
この世をはじめて受けいれた
泣きさけぶ赤ん坊になって


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***
初めての場所なのに、ふしぎになつかしく感じたり、初めての人なのに、ずっと知っているように感じたりすることがあって、それはもしかするとはるか以前に出会っていたせいなのかもしれない。生まれるよりずっと前のどこかで。
そんなことをゆうべ夜中に考えていた。

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by higurashizoshi | 2010-01-08 11:50 | | Comments(4)

夏の中へ

日常が肥えてくると
心はすこし ほそくなる
激しく打たれているあいだは
見えなかった
ちいさな痛みが芽を出す
このごろ背中がちくちくするのは
きっと そのせいなんだね

だいじょうぶ
やさしく自分にふれることができるくらい
私の腕はちゃんと
長いから
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***

おーい 子ども
湿った畳の上を どこまで行く
ちいさな足を踏みはずしてしまったら
どこまでも深い
海なのかも しれないよ

おうちって
そんなところかも しれないのに

おーい 子ども
ずんずんと どこまで行く
追うのがせいいっぱいで 私
まぶしくてやっと眼をひらいて
いるよ


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by higurashizoshi | 2009-07-10 11:51 | | Comments(0)

WARNING

かたむけると
やけどするおそれがあります
と 書かれているポット

なおすことより
おそろしい副作用が書きつらねてある
くすりびん

おちるはずないといわれながら
おちることを想定して配備される
迎撃ミサイル

の そなわった国のちいさな街で
ポットをかたむけながら
紅茶をいれる私

さやさやと春の風が吹いて
私の手にこぼれおちる
熱湯
に 気づきもせず

赤んぼうが泣いているから走りより
くすりびんに手をのばしてふと外をみると

空はいってんのくもりもなく
ただれた手はすこしも痛みはなく
赤んぼうは泣きやんで眼をひらく

あざやかな桜がまねく
いくどもまたたきする雪柳

おちるはずのないミサイルは
軌道をはずれて ゆっくりと
罰のように落下する 私へ。
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by higurashizoshi | 2009-04-04 00:00 | | Comments(0)

その日の扉

もうどんなにしても
前にすすめない と思ったとき 寝床で
あけがた きみの見せる顔に
幾度 はっとさせられただろう

やすらかに眠っている まぶたをとじた
きみの顔に

こんなにきれいなものは ほかになく
こんなにやさしさを思い出させるものは
ない 過去は たくさんの口をあけて
のみこもうとする にくしみ とか
しめあげてくる かなしみなど

さけびだして 人生をこわしてしまっても
ふしぎはない だけど

また立ちもどって 朝はゆっくりと
きみのほほを 光で照らすから
信じる ということばや
笑う という なじみのおこないを
ふたたびよみがえらせてくれる

だれがどんな判断をくだすか
そんなことがなんだろうと
こんなにあずけきった顔を
見つめることにくらべて

ゆっくりときみが目ざめるのを待っている この
あけがた ちいさな扉がまた
ひらく




***
きびしい日々が続くなか、気づいたこと。
たったひとつ、いとしいものがあるだけで、その光を灯台のようにして
歩いていくことができる。弱くてたまらない自分でも。

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by higurashizoshi | 2009-02-11 17:41 | | Comments(4)

海をみにいく

天使がひとつやふたつ
おちてきてもよさそうな 晴れわたった秋のまひる、
胸のポケットにささやかな秘密をいれたまま
海への道をあるいていた。

どこに どこへ どこから
かなしいことはたくさんの飛沫になって とびちり
ほほえましい記憶はうたう、らららと低いこえで。

水平線が この眼まで平らにほそくなびいて
こまかい波のひとつひとつから 笑い声がきこえだす
海はまぶしくて溶けるほど あかるい。

とおくかすむ島のまうえ、あの雲のかたちを
いつかここでみたままに憶えている そのようにまた
今日はおだやかに時に吸われていく。

うしなってしまったもの 絶えず水にうたれる
この崖のはしっこのような ぬれた切っ先を、
しずかにつつむハンカチは どこにおいてきたのだろう。

風のかたちをまねてやさしく
てのひらにそっと落ちてくることば
いつもくりかえし奏でられては そのたび消えていく、
私のなかに折りたたまれた さよならが。





*****
昨日のこと、家から5分のところにある海に、一年ぶりに行った。
時がたったことを忘れるくらい、海は静かでおだやかだった。
帰ってきて、座って、すぐ書いた詩。

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by higurashizoshi | 2008-11-14 15:58 | | Comments(4)

ぶどう

平穏をのぞむ ということは
あたりまえのふちにつかまりながら
奈落を見ないでもちこたえることだ

たとえば今日たったひとふさ残った冷蔵庫のぶどうを
その家にすむ人の数で分けようとして
最後まで笑顔で話し合いをまっとうすることができたら

おっとあぶない というところを
うまく互いにそれあって慎重に ことばをつないだり
部屋のすみにうすく積もるあのくらいものは
見ないようにさらりと視線をずらせたりして
おいしいね

みんな唇のはたにむらさきの汁をつけて
ほんとうのなかよしみたいに向きあってすわっている
小動物みたいに罪なくすわっている

そのかなしいほどのけんめいさを
まやかし というのなら
かたい宇宙のぶあついらせんを手品のように
するする解いてみせておくれ
ぶどうの種よ



*****
なにごとも穏便に。なんて臆病もののセリフだとおもっていた。
昔は。
今夜すこし気持ちがななめになりつつ書いた詩。

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by higurashizoshi | 2008-09-26 21:59 | | Comments(2)

きみを花束にして
きみにおくる
きみのひざのうらのくぼみに
あつまる光を
食卓にのせる
朝 いちばんにきみに会い
ひとばんかかって蒸らした願いを
そっと耳の穴にいれる
きみを足のしたで踏みしだく夢を
あけがた見たことは言わない

いつもつめたい汗がながれ
それなのにおさえがたく幸福なこころ
そこらじゅうをびしょぬれにして
ただやみくもにくりかえす おはよう

こんな朝のひとつひとつが
ホットケーキみたいに ぱん と皿にのって
バターをのせてそれが溶けて
毎日それをたしかめずにいられない

どこまでいけばおしまいか
だれもおしえてくれないので
ぼくは また今日も
きみのくびすじにちかづきながら朝になる



*****
初めて詩をアップしてみた。
今日ふとできた詩、とれたて。

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by higurashizoshi | 2008-09-09 18:02 | | Comments(4)

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