ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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カテゴリ:フィギュアスケート( 133 )

NHK杯、追悼の心

グランプリシリーズの試合はもちろん全部観ていたけれど、書き留める余裕もなく、それから友が亡くなり、大きな穴の底に落ちてしまったような日々が続いた。

最終戦のNHK杯がやってきた。
3日間、全部の予定をキャンセルして、ずっとテレビの前にクギづけになって、ただただ、とりつかれたようにスケートを観ていた。

今年の会場は、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナだった。
実は、私はかなり真剣にこのNHK杯の現地観戦に行こうかと考えて、チケット先行発売を前に計画を立てたほどだった。もちろん、そのときにはこんな気持ちでこの試合を迎えることになるとは思いもしないで。
残念なことに、親子3人で宮城まで観戦に行くと、チケット代込みでとてつもない金額がふっとぶことがわかり(それなら海外行けるよ?と人に言われてしまった)、綿密な計画は妄想のままで終わった。

その計画を立てているとき、会場のセキスイハイムスーパーアリーナというのはずいぶん辺鄙なところにあるんだな…と思った。
そして、どうもその名前に聞き覚えがある気がして、何だろう…何だったろう…と思っていた。

そしてあるとき、はっと思いあたった。
そうだ桑田くんだ。桑田佳祐が震災後にライブをやった会場だ。そしてそこは遺体安置所だったんだ…。

急いでネットで調べてみた。
津波の被害から離れ、広い会場ということで、連日数えきれないほどの遺体が運び込まれ、遺族が詰めかけた場所。
それから半年後、営業再開の第一号イベントが桑田佳祐のライブだったのだ。彼がその場所をライブ会場に選んだことに、いろいろな意見があったようだ。でも、あえてここを選んで復興のスタートを、というのが桑田佳祐らしいな…と思った。
セキスイハイムスーパーアリーナは、そのつらい経緯から、二度と商業施設としては使われずに閉鎖されるのでは、という噂もあったらしい。
でも桑田くんのライブを皮切りに、ふたたびさまざまなライブやイベントがおこなわれるようになった。

今年のNHK杯は、そういう場所を会場にしておこなわれたのだ。


3日間の連戦の中のひとつひとつの競技について、スケーターについて、それはもうたくさんの思いがあるのだけれど、それを書くほどの余力はまだないので、二つだけ書きたいと思う。


鈴木明子選手のフリーの演技。
ショートでたったひとつのジャンプミス、それが結果的に彼女を0.05点差で優勝から退けた。
でもこの演技で、フリーだけで見れば彼女は全選手中1位となった。会場の空気をすべて清浄に染めなおすような4分間。
試合前、七ヶ浜で海に向かい手を合わせていた鈴木選手。宮城は彼女が大学時代を過ごした場所で、第2の故郷。追悼の思いを深くこの演技にこめたのだと思う。
演技が終わった瞬間、震えながら涙を浮かべたあっこちゃんを見ながら、私も泣いた。
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羽生結弦選手、エキシビションの演技。
震災後の故郷で、優勝を。その強い想いが羽生選手をここまで連れてきた。
17歳の華奢な少年のどこに、この強靭さがあるのだろう。
ショートではスケートアメリカの自己記録を塗り替える歴代最高記録。フリーではスケアメの失敗を繰り返さず着実に決めていったが、最後は課題のスタミナ切れで転倒、スピンも崩れてこけた。ところがその直後、さわやか100%のとびきりの笑顔で再び滑り出す。
なんなんだこの子は?と何度思わせられるんだろう。
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そしてすべての試合が終わり、エキシビション。羽生選手は優勝者にだけ与えられる順番、最終滑走だった。
指田郁也の「花になれ」を自分でも口ずさみながらの演技。
こんなに思いを全身にこめて滑ることができる17歳。仙台のリンク上で被災し、苦労と変転を重ねたこの1年半の思いをすべてこめて、そして祈りをこめて彼は滑った。
ゆづるくん、きみはいったいどこまでいくのだろう?


追記:
演技の動画は、NHK杯HP(ここをクリック)の「動画」ページで見ることができます。
鈴木選手のフリー演技は、「動画」の「女子シングル」の「一覧」を開くと見られます。
羽生選手のエキシビション演技は、「動画」の「エキシビション」の中にあります。
動画の中の「空中モーションカメラ」の映像では、リンクでの選手の動き(まるで飛んでいるよう!)を体感し、会場のどよめきも味わうことができます。
文中には書かなかったけれど、高橋大輔選手の演技も、もちろん本当にすばらしかったです。アイスダンスのことも含めて、今度ゆっくり書こう。
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by higurashizoshi | 2012-11-27 00:38 | フィギュアスケート | Comments(0)

すっとびで第2戦、スケートカナダ

なんでこんなに時間がないの~! とバタバタしてる間にグランプリシリーズ第2戦のスケートカナダが終わってしまいました。
観るには観たが書き留めている時間がない悲しさ。と思ってたら、もはや第3戦の中国杯が目前!

カップル競技の方は、まだ第1戦のスケートアメリカすら放映されていないので(待ち遠しい…)、ともかくシングルのみ追いかけていくことにして、まずは男子。

パトリック・チャン選手がジャンプの不調で総合2位に終わり、代わりに1位になったのはハビエル・フェルナンデス選手。3位に織田信成選手。
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織田選手はケガで昨シーズン後半を欠場、リベンジの今季初試合。ショートプログラムで4-3のコンビネーションを決め、復調をアピールできたのはよかった。織田くんの涙はほんとに悲しくなるので見たくない!
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フェルナンデス選手。選手層の超!薄いスペインに現れた超新星、といわれて数年。モロゾフからブライアン・オーサーにコーチ変更して以来、滑りがクリーンになって4回転ジャンプの確実性も増し、2種類を鮮やかに軽々と飛ぶ、飛ぶ。あとは表現力…表現力…
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どうしたパトリック…。長年なじんだコーチと振付師を同時に変更して、プログラムもぐっと深みを増してのぞむ今季。でも昨シーズン後半から翳りのみえたジャンプがまだ改善されていない模様。2位なのにこんな言い方されるのも世界王者パトチャンならでは。
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女子はこのような表彰台に。
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鈴木明子選手、ショートで出遅れたのをフリー1位で総合で銀メダル! さすがはあっこちゃん、ほっとしました。今季プロはショートのキルビルもフリーのオーも本当にいいプロで、どうかこれが現役最後のプログラムになりませんようにと祈るばかり。
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村上佳菜子選手。失敗はありつつも3位に滑り込む。伸び悩んだ昨シーズンからたくさんのものを学んだ感じ。ひとつ抜きんでることができるかどうか。
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1位はたぶん誰も予想してなかったケイトリン・オズモンド選手。まだ16歳です。ジュニアのときから目立っていた彼女。アピール力十分だけど、すべてはこれから山あり谷ありと思われる。
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ほかにも触れたい選手がたくさんいるのですが、時間切れ。時間を売ってる100円ショップがほしい。
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by higurashizoshi | 2012-11-02 00:54 | フィギュアスケート | Comments(2)

スケートアメリカ、明暗

すべての角度から大観衆に見下ろされるリンク。
そこで、たったひとり、またはたった一組で戦う―― 
それがフィギュアスケートというスポーツ。

成功すれば、リンクを囲む観衆から、地鳴りのような称賛を一身に浴びることができる。
と同時に、失敗に終わるときも、数千人が凝視するただなかで、ひとつのプログラムが終わるまで逃げることは許されない。
ぶざまに転倒しても、ボロボロになっても、選手は音楽の最後の一音が鳴り終わるまで、滑り切らなければならない。

氷の上で思い切りこけるのは、ときに痛々しいほど格好悪い。
軽やかに滑っているときの優雅さと、対極をなす非情さで、失敗の瞬間はいつも選手のすぐ先にある。

たぶん私がこんなにフィギュアスケートに魅かれるのは、このうえなく美しく優雅な姿の裏側に、いつもこの非情さが張りついているからなのだ。

グランプリシリーズ・スケートアメリカ男子フリー。
前日のショートプログラムで完璧な演技で世界歴代記録を塗りかえた羽生結弦選手が、この日は呆然とした表情で滑り終えたとき、私はそんなことを考えていた。

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フリーの羽生選手は、ショートと同じ選手とは思えないほどの総崩れだった。
冒頭に2つ続けて持ってきた4回転トゥループ、4回転サルコウの両方で転倒。
自信を持っていた4回転のどちらも完全に失敗したことで完全に歯車が狂い、もともとの課題のスタミナ不足が、一番よくない形で露呈してしまった。
後半にはふらふらになっていることが明らかで、3回転フリップも転倒。最後のステップは、ひたすら気力で滑り続けているだけ、いつ倒れてもおかしくないような状態に見えた。

前日の自信に満ちたパーフェクトな出来と、まさに天国と地獄。
衆人環視の中で、ここまでぶざまな姿をさらし続けて最後まで滑り切るのは、いくら子どものころから様々な試合をこなしてきた選手とはいえ、恥ずかしくつらいことだろう。
何より、勝気な羽生選手としては、自分に腹が立ち、くやしくてたまらないだろう。
まして大きな国際試合。今まさに上り調子で、世界中の注目を浴びているさなかでもある。

でも、これでいいんだと思った。これでこそ、フィギュアスケート選手として本当の高みへ向かっていくということなのだ。
もともとぜんそくの持病があり、昨シーズンの世界選手権で右足を痛めて治癒途中でもある羽生選手。今シーズンは初めての外国での生活、スケート環境もすべて変わって、それで今回のショートプログラムの出来みたいにトントン拍子にことが進んでいったとしたら、逆におそろしい。
だって普通ならまだ、ジュニアで戦っている年齢の選手なのだ。身体だってまだまだ大人として出来上がる前だし、課題は山ほどある。ただあまりに早く結果を出して注目されすぎてしまっているだけ。それを自分でどう受けとめて、謙虚にねばり強く成長していけるかはこれからだ。

羽生選手のまさかの崩れで、堅実にフリーも4回転を降り、しっかりと滑り切った小塚選手が逆転優勝した。
小塚選手は今季かなり上に行きそうな予感がする。何より落ち着いて自分を見つめているところが、これまでと違う。あと少しのアピール力があれば…といつも思うのだけど、この真面目で端正な路線を守り続けるところも個性なのかも。

そしてもうひとり、まさかの崩れをみせたのがショート3位だったアボット選手。ジャンプのミスが続きすぎ、顔面蒼白でリンクを降りた。
今季フリーのプログラムは、これまでにも増して情感あふれる、本当にすてきなプロなので今回は残念だったなあ…。メンタルの弱さだけがずっと課題のアボット選手、今シーズンはクリーンな演技が見たいと思う。

アボット選手のかわりに銅メダルをかち取ったのが、ショート4位だった町田選手。
まっちーはフリーだけなら2位というすばらしい結果。大学も休学してアメリカに渡って、すべてをスケートにかけた努力が今シーズンは一気に実り始めた感じ。今季は《化ける》まっちーに注目するべし!

というわけで、スケートアメリカ男子の表彰台はこういうことに。国内大会みたいな図。大ちゃんも織田くんもいないのに。
しかしまあ、あの大失敗のあとでこの天使のような笑顔。ゆづるくん、これでまたファンを増やすのですな。

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相変わらずカップル競技の放映は、ありえない彼方に追いやられ…
このスケートアメリカのペアとアイスダンスも、11月に入ってからやっとBSのみで放映。この格差、なんとかしてもらえないだろうか。結局そこまで待ちきれずにリザルトを見てしまうし、youtubeのちっこい画面で動画を観る… いや待て… でも… と、アイスダンスファンとしてはストレスのたまることたまること。


と、気を取り直して女子の結果。
1位は、圧倒的強さだったアシュリー・ワグナー選手。
ここぞというときにミスが出ていた過去はもう捨てた!とばかりに、コーチ変更(ミシェル・クワンを育てたニックスコーチ)以来、昨シーズンから目をみはる躍進ぶり。
「強い」プログラムがこんなに似合う選手だったとは。ジャンプだけでなく、演技すべてに自信が満ちあふれております。今季もガンガン行くで!という感じ。
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今回は日本から唯一出場した今井遥選手は、フリーで健闘して5位。
今井選手もアメリカに渡り、佐藤有香さんのもとでがんばっているので、これからどんどん伸びてきてほしいなあ。
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女子の表彰台。
2位に入ったクリスティーナ・ガオ選手は18歳。オーサーコーチから離れ母国に戻ってからも、とてもいい感じに成長しているようだ。今回はショート、フリーともノーミスの快挙!
3位は、ロシアの天才少女アデリナ・ソトニコワ選手。シニアに上がってからちょっと苦戦している彼女。でもまだ16歳なんだよね…。豪快ジャンプとミラクルスピン、これからどんな大人の選手になるんだろう。
ロシア女子はアデリナの後ろにも続々と天才少女がいるのであります。おそろしいほどです。
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しかし私、このあとグランプリシリーズが毎週あるっていうのに、こんな調子で追いかけて書けるのであろうか。
来月に入るとまたがぜん忙しくなるので、なんとかかんとか時間を作ってがんばりましょう。
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by higurashizoshi | 2012-10-24 16:55 | フィギュアスケート | Comments(0)

シーズンが始まったのだ

待ちに待ったフィギュアスケートのシーズン開幕。
テレビではやらない国際B級試合をネットの動画で追いかけ、そうしてるうちにとうとうジャパンオープン。そして今日ついにグランプリシリーズ開幕。まずはスケートアメリカからで、今日は男子ショートプログラムをBSで生中継。ぎりぎりで帰宅してがっつり見せていただきました。

ジャパンオープンでは何といっても高橋大輔選手の今季フリープログラムの初披露に動悸が止まらず。
オペラ「道化師」。実にひさびさのクラシック、実にひさびさのモロゾフ色の選択。このモロロシアな衣装を見よ。
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この数年、タカハシ的お洒落な衣装ばかりだっただけに「あちゃー」と一瞬思ったけれど、プログラムの内容、そして高橋選手の演技はやっぱり圧倒的。
このフリープログラム、振り付け後まだ1カ月もたってない状態での演技とは到底思えないほど自分のものにしているところはさすが大ちゃん。
解説の八木沼純子さんの「会場を総(す)べた、という感じですね」という言葉が、演技後の観衆の空気を表していた。

もうひとつ楽しみにしていた鈴木明子選手のフリー、これも初めて観ることができたシルク・ド・ソレイユの「オー」。鮮やかな美しい衣装、印象的な音、エレメンツが美しく溶けこんだ凝った構成、これはあっこちゃん史上かなりの名プログラムと見た! 
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このジャパンオープンでは非常にめずらしいことに途中スピンの出の方向を間違えてしまい、後半ジャンプが乱れてしまったのが残念。でも今後プログラムに慣れてきたらすばらしい演技が見られると思う。


そしてやってきましたスケートアメリカ。グランプリシリーズ初戦、男子はファイナル?と思うほどの豪華なメンバーで、誰が勝つか予想がかなり分かれるところ。
そして今日のショートプログラムで、大変なことが!
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17歳羽生結弦選手、なんと世界歴代最高得点を叩き出しました…
思わずテレビの前で、タタとミミと3人「えーっ? えええええー!!」と絶叫。
ちょっと点、出すぎでない? 確かに4回転トゥーループ、トリプルアクセル、3回転×3回転コンビネーションとジャンプは完璧に成功、しかも今シーズンから規定変更で後半のジャンプに加点がつくことをめいっぱい利用した構成。スピンもステップもレベルが取れて、どこもミスのないクリーンプログラムではあった。にしても…
昨シーズンのあれよあれよという大躍進で世界選手権でメダルまで獲ったあと、仙台からカナダ・トロントに渡ってブライアン・オーサーにコーチ変更して、環境ががらりと変わった羽生選手。
じっくりスケーティングから見直しているという話だったから、今シーズンはさすがにちょっと修業期間かな~と思っていたのに、結果出るのが早すぎじゃありませんか?
自己ベスト更新はめでたいけど、一気に12点以上更新なんて、聞いたことないよ!

思うに羽生選手って、ジャッジに《点を出させてしまう力》が突出しているのではないかな、という気はする。もちろんこの年齢でこの技術の高さ、メンタルの強さプラス勝負強さ、それはもう大器としかいいようがない。順調にこのまま成長すれば、間違いなく世界の頂点に立てる人だ。
ただ、今はまだ17歳。細かなスケーティングや表現力はまだまだこれから。確かにオーサーコーチに変わった今シーズン、滑りはきれいになった印象だが、そう一足飛びに変化するわけじゃない。
そんな彼にジャッジの皆さん、しょっぱなからここまで出すか?と思う点を出してしまうのは、何かえもいわれぬ羽生選手の《思わず点を出させてしまう》魔力みたいなものがあるような気がしてならない。もちろん、これは情状でジャッジングしているとかいうことではなくて。
最近の大ちゃんにはこの、ジャッジの心をかっさらう力が高度にそなわっていると思うけれど、羽生くんはまた別のタイプとしての「かっさらい度」を持つ選手なのだなーと思う。
ああ、日本の男子選手にこんな人たちが出てくる時代がやってくるとは…
(遠い眼)


そして今日は小塚崇彦選手、町田樹選手も大健闘。
小塚選手は昨シーズンの不調を払拭するような、のびのびとしたノーミス演技で自己ベスト更新。大ガッツポーズが出て首位になったところを羽生くんにあっという間に追い抜かれてしまったが…。今季は小塚くんらしい演技をたくさん見せてほしい。
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町田選手は昨シーズンからものすごい勢いで進化していて、ランビエール振り付けのショートをやはりノーミスで滑りきった。演技後の自信に満ちた、不敵ともいえるまっちーの笑みにしびれた!
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3位発進になったジェレミー・アボット選手はジャンプミスがあったものの、毎シーズン玄人好みのすばらしいプログラムが楽しみ。今季ショートはまたすごくかっこいいプロです。
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応援しつつも「あーもうちょっとなんだけどなあ」といつも思わせられるミハル・ブレジナ選手。今日もジャンプミスが続いてしまった。新しいショートはかなり斬新なプロで、ジャンプが成功すれば相当いけるはず!
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おお、このお写真はえらくまたかっこいい!


写真、もう少し小さくしたいんですけど、その手間かけてる時間がなく、みなさんばーんと載せてしまいました。

というわけで、明日は明け方に女子ショート、昼に男子フリー。どちらも生中継は時間的に観られないので、録画して夜にじっくり観ることにします。
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by higurashizoshi | 2012-10-21 00:06 | フィギュアスケート | Comments(0)

臨海スポーツセンターチャリティイベント(その3)

臨海スポーツセンターのチャリティ、大詰めのところまでいくのに何日かかったことか…
読んでくださってる方、申しわけない。
しかしどうしても時間が作れない間も、脳内リピートは続いていた!(ほんとか?)

今、名実ともに日本の男女トップ選手といえばこの二人。
(とっても仲良しだそうです。写真がとってもちっちゃいけど、ほのぼのしてるから許してね。)
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それなのに(前から言ってますが)なぜか華々しく取り上げられることの少ない鈴木明子選手。
そのつつましい存在感が個人的にはまた良いのだけど、特に昨シーズンの快進撃、しかも出場した国際試合すべてでメダルを持ち帰るという偉業、しかも普通はジュニア時代からでないと身につけられない3-3のコンビネーションジャンプに、26歳にして初めて挑んでみごと体得、という常識破りのスゴイ人なのだ。

この3月で27歳になり、これからは引退の文字がいつ出てくるか、ファンにはずっと気がかりが続く。
でも実は鈴木選手のピークは今なのではないかと思えるほど、すごい成長を遂げているし、本当に選手としてスケールが大きくなったと思う。

彼女の滑りはどうしてもこの眼で観たいと思っていたから、この日の《生あっこちゃん》は本当に楽しみだった。
あっこちゃんといえば、大ちゃんと同じく「化ける」選手。妖艶なタンゴをものすごい目力とディープエッジで滑って観客を巻き込むかと思うと、弾けるような愛らしいキャラクターを演じてみせる。

この日のプログラムは「ラベンダーの咲く庭で」。
これは銅メダルに輝いたこの世界選手権の前に、もし上位に残ってエキシビションに出られたら…という思いで新しく作っていたプログラムだそうだ。
その謙虚に秘めた思いがあふれるようなエキシビションをテレビで観て感動していたので、これを観られてよかった。
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ラベンダー色の美しい衣装のあっこちゃんが位置につき、音楽が鳴り出し、彼女が動き始めた瞬間、さあっと周囲の空気が変わった。
やわらかいオーラが氷の上から広がって、優しくあたたかい気持ちにみたされていく。
ジャンプに少し乱れがあったものの、スピンやスパイラルが本当に気品があって綺麗で、いつまでもこの空気の中にひたっていたい、という幸福感でいっぱいになった。
今シーズンのプログラムも本当に楽しみ。どうか最後の競技プログラムになりませんように…!


そして最後に登場。客席は騒然。神戸のチャリティのときと同様、このために来ていた大ちゃんフリークの方たちの熱気がすごい!
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できれば今話題の新しいエキシビション「ピアソラのタンゴ」をと思っていたが、神戸に引き続き「ロクサーヌ」でした。

なんと濃いのでしょう。なんと音のひとつひとつと、からみあっているのでしょう。なんで首をあんなふうに動かして滑れるのでしょう。
リンクを降りるとあんなにボッとした青年なのに、まるで悪魔みたいです。
「やっぱりこら、すごいわー」
と、思わずおっさんのような吐息が出てしまう。演技が終わるまで、息を止めてたんですね。

宣言しているソチ五輪後の引退まで、あと2シーズン。つまりあとたった4つしか、この人の競技プログラムを観られないんだな、と思うとなんだか厳粛な気持ちになる。
モロゾフなんか(失礼)とまた組んで、大丈夫なんだろうか。という心配もあるけれど、ともかく思うのはケガなく健康で、納得のいく最後の2年を滑りきれること。それを観られること。
と、これはもはやおっかさんのような心境になっているぞ。

演技終了後、臨スポで練習するたくさんの子どもたち、大人たちのスケーターが氷上に入ってきて、選手たちはそれぞれにリンクの存続を訴えていた。
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副知事はとっくに帰ってたけど、大ちゃんがロクサーヌの悩殺シーン(古い)を維新の会の女性議員の目の前でやったので、議員さんたちが興奮して大変なことになっていたから、その部分では確かな効果があったに違いない(!?)
まだまだ道は遠いようだけど、どうかこの大事なリンクが閉鎖されることなく続いていくことを願って募金をさせていただきました。

募金のときはまた大ちゃんの前に行って話すというトンデモないことを神戸に続いてしてしまい、あっこちゃんも間近でちょっとだけお話しさせていただき、もはや眼がきらきらに耐えかねて閉じられないような気持ちでございました。


というわけで長々おつきあいいただきました臨スポチャリティ。
明日から私、2週間ほど別世界に行くことになっているので、その間ひぐらしだよりは休業いたします。
コメントはすぐ返せないけど、ちゃんと読ませていただきますのでウエルカム。
もちろんそのあと、しっかり復活しますからね。うんうん。
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by higurashizoshi | 2012-07-27 02:44 | フィギュアスケート | Comments(2)

臨海スポーツセンターチャリティイベント(その2)

客席から見るとリンクはこんな感じ。
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観覧ポジションは片面しかなく、向こう側ののリンクサイドにはこの臨海スポーツセンターで日頃練習してる子どもたちがぎっしり並び、プログラムのたびにいちいち大歓声の声援を送るのがほほえましかった。

前回書いたようにフィギュアスケートだけでなく、スピードスケートやアイスホッケーでも幼いころからこのリンクで練習し、オリンピック出場を含めたくさんの優秀な選手が生まれているそうだ。
リンクが閉鎖されれば、そんな多くの子どもたちや成人選手たちが路頭に迷うことになってしまう。
そもそも、これほどスケートリンクの絶対数が少なく、貧困な環境の中で、世界トップクラスのスケート選手を日本が輩出していること自体が不思議なほど。
昨シーズンの世界選手権でペア銅メダルを獲得した高橋・トラン組の高橋成美選手は、日本のリンク環境ではペアの育成ができないので十代で単身カナダに渡り、カナダ人のパートナーを得て今の地位まで上りつめた。シングルの選手たちも、ひとにぎりのトップ選手たち以外は、みんな少ないリンクを行き来し、高いリンク貸切料を費やして、厳しい環境で練習を積んでいる。

今回、もしこの臨スポのスケートリンクが閉鎖されてしまったら、またさらにひとつ、日本の通年リンクが姿を消すことになる。大阪府は文化に徹底的にお金を出さない主義へとひた走っているようだが、今日のすばらしい実演を見て少しは考え直してもらいたいところ。耐震改修費3億円のうち、知事は条件つきで半額出すという約束をしているというが、一般の募金で1億5千万も集めようと思ったらアンタ、えらいことですがな。
この日のイベントの収益や募金を集めても、到底すぐにはそんな金額に届くはずはなく、広報しながら地道に存続活動を続けていくしかないのだろう。

さてプログラムの最初を飾ったのは、フィギュアスケートの吉田行宏選手。この臨海スポーツセンターの練習生とのこと。
全日本で観たことあったかな?ちょっと記憶にない選手だったがなかなか伸びのある美しいスケーティング。神戸出身で、小さいころはこの前のチャリティがあったポーアイのリンクで練習していたそう。ポーアイは冬しかリンクがないので、思い切ってこの臨スポに移ってきたと後のインタビューで言ってはりました。
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まさにこのチャリティの開幕に打ってつけの存在! ジャンプはミスがあったものの華やかに滑り切ってくれ、客席からは大きな拍手。
あ、選手のお写真は、この日の個別の画像がないので、みなさん別のときのものを使わせていただいております(ペコリ)

次は、初めて見るショートトラックとアイスホッケーの模擬試合(どちらもすごい迫力で面白かった!)。特にショートトラックは間近で見ると本当に魔法のようで、キレッキレの角度のディープエッジに眼が吸い寄せられる~。小学校3年生の女の子もすごい技術で競っていてびっくりでした。

そして、いよいよフィギュアスケートの招待選手の登場。
最初は村主章枝選手。30歳を過ぎてもアマチュア続行、年齢の壁の高いこの世界でどこまでもチャレンジし続ける姿勢はすごい。昨シーズンは全日本で見ることができず残念だったけれど、均整のとれた優雅な滑りに見とれてしまう。ジャンプはトリプルなしとはいえ、ステップの身のこなしもさすが洗練されてて綺麗。
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オリンピック4位、世界選手権銀メダルなど輝かしい成績を残す一方、コーチや練習拠点をさまざまに変えながら、苦労して現役を続けてきた村主選手。今シーズンも自分の納得を追い続けてほしいと思う。


次は村上佳菜子選手。ぱっとリンクが輝く感じがするのはやっぱり若さだなあ。若いってまぶしい。まぶしいけどまだまだそれだけやんか…と思いつつ、でも17歳佳菜子さん、ほんとに上手いんだよなあ。生で観るのは2度目だけど、3-2-2の連続ジャンプも実に軽やかでパワフル。少し背も伸びた? 身体の線も大人びて大柄になってきたところで、それを逆にスケールの大きさに変えていけそうな感じ。
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難をいえば、観る側をぐっとつかむ力というか、個性というか、彼女にしかない吸引力みたいなものがまだ見えないことかな。でも、すべてにおいてバランスの取れた選手に育ってきているなあと思う。

さてこのあとはいよいよ、いよいよ…なんですが。
とにかく忙しさがパンパース、じゃないハンパネース、なので高橋選手と鈴木選手については次回!
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by higurashizoshi | 2012-07-19 02:15 | フィギュアスケート | Comments(0)

臨海スポーツセンターチャリティイベント(その1)

この数日は、よいことと悪いことが両方あったので、よいことだけ書いておこうと思う。

4月に神戸のチャリティ演技会に行った話は書いたけれど、またチャリティ。今度は大阪の臨海スポーツセンターのリンク存続のためのチャリティイベント。
ここは高橋大輔選手も十代のころ練習に使っていたリンクなのだそう。老朽化が進み、耐震工事と改修に3億円もの費用がかかるとのことで、「このままでは閉鎖になります!」と今必死で存続に向けての募金活動をしている。

一年中営業しているスケートリンクは日本では貴重で、ここにはかつての高橋選手のように岡山など遠距離から通う選手もたくさんいる。全日本ジュニアの有力選手の田中刑事くんなどもそう。そしてフィギュアだけでなく、スピードスケートやアイスホッケーなどの練習場としても使われているということを、当日のイベントを見て初めて知った。
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うーん、さすがに年月の重みを感じる外観…。
入ってみると、中も大変にしみじみとしています。

イベントの開催は資金集めと行政へのアピールと両方兼ねているらしく、リンクサイドの特別シートには副知事や維新の会の議員などがぎっしり。みんなフィギュアスケートのことなんて知ってはるのかしらん。その席かわってほしいわあ… などと思いつつ、それでも抽選で当たった席はかなり前で、神戸のときよりずっとリンクに近い!

わが家3人に、当たったチケットは2枚。まったく譲る気のない大人げない母を許せ…と思っていたら、タタが譲ってくれた。ああ、なんてオトナになったのか。というわけでミミと二人、堺のまだその向こうにある臨海スポーツセンターに電車を乗り継いで来たのだった(反省のかけらもない!?)

どうしても来たかったのは、もちろんもう一度高橋大ちゃんを観られるなら! というのもあったが、ずっと応援している鈴木明子選手が出演するから。

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生あっこちゃん! 今日本の女子選手で一番輝いてる人だけど、何といってもすでに26歳。シーズンオフごとに、引退? 続けてくれるよね? とハラハラ思いながら見ている選手だから、どうしてもこの機会を逃したくなかった。少なくとも今シーズンは続行は決まっているものの、ソチ五輪シーズンをどうするかは彼女の口からは何も出ていないから。


今回は写真も入れてしまいますよー。で、いっぺんに書こうとするとなかなかアップできないので、ちょびっとずつ書いていこうと思うのであります。
イベントの内容については次回からじびじびと綴らせていただきます。
よいことと悪いことの、悪いことのほうについては書きません。書きませんとも…
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by higurashizoshi | 2012-07-14 23:39 | フィギュアスケート | Comments(2)

ライブタカハシ体験

「東日本大震災復興チャリティー演技会2012 ~復興の街、神戸から~」に行ってきた。
高橋大輔選手の演技を生で観るという夢がかなうということで、かなり緊張しつつタタとミミと3人でポートアイランドのリンクへ。

アイスショーではなくあくまで「チャリティー演技会」。売り上げはすべて被災地への募金となる。募金がなかなか被災した方たちに届いていない現状を思うと複雑な気分だけれど、少なくともこういう催しがあることで、震災を忘れず、東北に眼を向け続ける助けにはなると思う。
ショーではないのでライティングはなく素のままの会場。ここはつい先日、タタとミミが生まれて初めてスケートをしに来たリンクでもある! その同じリンクで選手たちがものすごいことをしてくれるのだから不思議な感じ。

発表されたキャストには入っていなかった荒川静香さん。まさか観られると思っていなかったのですごく驚いた。その神々しいまでの美しい滑りは心に染みこんでくるようで、思わず涙がにじんだ。トリノの金メダルの直後に引退して、本当に自分のやりたいスケートをやる道を選んだ彼女。そして今、ここまで美しいとは…とクラクラした。
現役の頃よりジャンプのキレがよくなった?と思う田村岳斗くんは会場を盛り上げたし、わが家では近い将来絶対化ける!と注目している田中刑事選手、もう期待以上の滑りでワクワクした。高橋選手の芸術性のあとを継ぐのは彼だ!と勝手に認定。
急成長中の町田樹選手も、あの楽しいエキシビションプロ(エアギターで大歓声!)をパワフルに演じてくれた。
そして今シーズン不調でフェイドアウトしていた織田信成選手、ひさしぶりの登場。テレビで観ているよりもずっとずっと柔らかい、クリームのような滑り。こんなに美しかったのか!とかなりがく然とする。ジャンプもきっちり成功して、来シーズンにつながる印象だった。
西日本の若手の選手たちが次々素晴らしい演技を続け、最後は大歓声の中、高橋選手がリンクに。

何をやるのかな…今シーズンのショートをやってくれないかな…と思っていたら、「ロクサーヌ」だった。おそらく大ちゃんフリークで相当数埋め尽くされた客席は悲鳴のような叫び。
たぶんファンの中でも人気プロなんだろう…でもショートじゃなかったな…とちょっと残念に思っていたのだが、ロクサーヌ。過去のエキシビションの映像で何度か観たことはあったけど全然違うやん? こんな凄いん? 今の大ちゃんがやるとこんなになるのか! とドンドン驚きと興奮がふくらんでいって、気がついたら完全に魂さらわれ状態。
ジャンプもすべて完璧、指先ひとつ、足さばきひとつにいたるまで官能性と情感があふれ返ってドドーンと客席に打ち寄せ、ぐわーと観客をわしづかみに引き込むものすごいパワー、これか! 今の高橋大輔を生で観るとはこういうことか! と頭まっしろ状態で凝視した。羽生くんなんてまだまだヒヨコちゃんだということがよーくわかった。

あっという間にフィナーレ。最後のあいさつでは、高橋選手はこれからもこのチャリティ演技会を毎年続けていきたいと言っていた。そうであってほしい!
そしてそのあと、出演者全員がロビーに並んで募金活動があり。
なんとこれは、それぞれ募金箱を前に置いた各出演者の前に行って、募金ついでにお話もできるという信じられないことで。
列に並びながらタタとミミと小声で「荒川さんいる、すぐそこにいる、こっこれから話すの?どうしよう何言おうわわわわ」とかなりなパニックに陥りつつ、そこは歳って取るものだなー。いざ前に立つと荒川さんとも織田くんとも刑事くんとも大ちゃんとも、短くだけどしっかりお話しできたのだった。

荒川さんが至近距離で見てもほんとに綺麗だったこと、それより何よりしっかり眼を見て話す誠実さ。「心が洗われました」と言ったら本当にうれしそうに「よかった!」と女神のような笑み。
織田くんはほんっとに構えのない人で、ふわっと自分を開いて他人を受けいれる感じだった。「なんとええ子なんや…」といきなり親戚のおばちゃんの気持ちに。
そして大ちゃんの前に行ったらさすがに緊張したものの、ソチまで続けてくれることへの感謝と、ケガに気をつけてほしいことと、あと「来シーズンはジャズとクラシックですね!」と決めつけたら、「や、まだわかんないです!」と笑っていた。

さっき氷の上であんな魔術のような世界を巻き起こしていた人が、すぐ目の前で普通に立ってるのがなんとも不思議で、いつまでもその不思議さが残った。地上から3センチくらい浮いてるような感覚で帰路についたのだった。
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by higurashizoshi | 2012-04-11 22:11 | フィギュアスケート | Comments(0)

世界フィギュア選手権2012(その2)

今回の男子フリーでは、あれよあれよと見ている間に四回転ジャンプに成功する選手が続出。
応援していたアダム・リッポン選手やジェレミー・アボット選手(なんといってもmuseの楽曲で滑った今季プログラムが素晴らしい)がミスに沈んだのは残念だったけれど、前回触れた羽生結弦選手をはじめ、ずっと不遇だったブライアン・ジュベール選手が、真骨頂の四回転はじめパーフェクトな演技だったのには思わずテレビの前で拍手! フローラン・アモディオ選手もこれまでで一番いい四回転を決め、ほぼクリーンプログラム。
そして男子フリーの最後は、ショートプログラム上位3人を残すだけとなった。今季負けなしのパトリック・チャン選手、若手の実力派ミハル・ブレジナ選手、そして高橋大輔選手。

高橋選手のことを書き出したらまたキリがないのだけど、まず昨年の世界選手権で彼に起きたこと。
フリーの演技中に靴のブレード(歯)がはずれ、中断。必死の修理ののち再開したものの、やはり感覚が違ってしまったのかミスが続き、メダルを取ることができなかった。
この悔しさが逆に、「ソチ五輪まで現役を続行する」という宣言につながって、引退の二文字にヒヤヒヤしていたこちらは胸をなでおろすことができた。
にしても、高橋選手、すでに26歳。個人差はあるものの、早い選手なら競技から退いていく年齢。すでにオリンピックのメダルも手にし、たとえばステファン・ランビエールみたいに早々とプロスケーターになって活躍する道も、彼なら保障されているはず。
そこを「ソチまで」というのは、うーん相当、漢(おとこ)だねえ…というしかない。

高橋選手はバンクーバー五輪シーズンのプログラム「eye」と「道」で、それまでからさらに進化した。で、それ以上どう進化するんだろう?と思っていたら、昨シーズンはマンボ踊りまくりのショートと、ピアソラの「ブエノスアイレスの冬」の精神性の高い素晴らしいフリーのプログラムの対比で「うおー」と言わされた。
そしていったい次は何? と思って待っていた今季のプログラム。
今季のタカハシは黒かった。何が黒いって、衣装が全部黒。ひとつのプログラムにもたくさん衣装を作る人なので、今季も競技会が進むにつれ「あ、また新調した」「あ、また新衣装」と気づき、それがどれも黒、黒、黒。しかもショート、フリーともすべて真っ黒。

原点に返る? シンプルの極みを目指す? 大人の渋さを強調? 
ほんとのところはわからないが、少なくとも今季のプログラムはそんなところがあった。
ショートの「イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ」は瞑想的な楽曲に乗せて、まるで修行僧のようにタイトな、それでいて大人の色香がムンムンというプログラムで、フリーの「ブルース・フォー・クルック」は一転してルーズなブルース。上手くない人が滑ると絶対退屈になる、渋い地味なナンバーを自在に、実に自在に料理するさまはまさに絶品!

今回世界選手権で雪辱が果たせるかどうかは、そのフリープログラムに四回転が入るかにかかっていたといえる。この日は多くの選手が成功させ、高橋選手の出番までにすでにものすごいハイレベルな争いになっていて、けして今では四回転ジャンパーとはいえない大ちゃんがここで成功できるんか? と心臓バクバクで見ていた。
今季の彼の特徴は、氷の上での落ち着いたたたずまい。この世の雑音とは遠く、自分の内側をじっと見ているような。こんなところまで来たんだね、この人は…といつも思う。

だから、演技開始のすぐあと、まるで予定されていたことのように綺麗に四回転トゥループを降りてきたとき、ほっとすると同時になんだかとても納得できる気がしたのだ。
そしてそのあとは、アクセルもほかのジャンプもまったく不安なく降り、ステップは本人が楽しんでいることがわかる余裕ぶり。ここまで音楽をつかみ、踊り、表現できる選手はやっぱりいないよなあ…不世出の人だよ大ちゃん…と改めて思う。(動画はこちら

次のブレジナ選手はショート2位発進で力みが出てしまったようで、本来のキレのいいダイナミックなジャンプが決まらず沈んだ。負けん気とガッツが裏目に出たか…来季がんばってほしい。
そして最終滑走のチャン選手。今季この人は他選手と別世界に生息しているので、もちろん四回転は2回決めるし、そのひとつは三回転とのコンビネーションだし、スケーティングなんてもうバターの上を滑ってるお人形みたい。と思ってたら最後のジャンプの前に転倒、ちょっと人間らしいところを見せてくれた。しかし、今の調子では誰がどう頑張ってもパトチャンの天文学的スコアを超えることなぞ不可能なり。

というわけで、結果はチャン選手金メダル、高橋選手が銀、羽生選手が銅となり、サプライズとしてはやっぱり羽生選手のメダルだった。フリーのロミジュリはyoutubeの閲覧数がえらいことになっているらしく、ちょっとこれからが心配である…。
女子には触れる余裕がなかったけれど、ずっと応援している鈴木明子選手が27歳の誕生日を迎えた直後にみごと銅メダルをとったのは、本当にうれしかった。あっこちゃんおめでとう。まだ引退しないでね。
浅田真央選手には、ともかくゆっくり休んでほしい。それだけ。

肝心のアイスダンスについては、今月中旬の放映を観たら書こうと思っております。
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by higurashizoshi | 2012-04-07 23:30 | フィギュアスケート | Comments(0)

世界フィギュア選手権2012(その1)

毎年、フィギュアスケートの競技シーズンは、開幕したと思ったら嵐のように時が駆け、あっという間に終わってしまう。
ウインタースポーツなのだから仕方ないが、ちょうどシーズン開幕のプロ野球が大々的に取り上げられているのに比べて、一年に一度の世界フィギュアスケート選手権なのに新聞の扱いはこんなに小さいよ? シーズンはもう終わってしまうというのに? こんなすごい試合がおこなわれたんだよ? と思ってしまう。フィギュアファンだったらみんな思うのだろう。

今シーズンの競技はあと、国別対抗戦を残すだけ。世界選手権が終わり、しばし怒涛の試合内容をリピートしつつ脱力感。ああ、終わったんだなあ。
去年は震災のため東京開催の予定がモスクワ開催に変更、時期も4月にずれ込んだ世界選手権。今年は例年通りこの時期に、フランスのニースでおこなわれた。
ただし、今年は全米選手権、ヨーロッパ選手権を生中継で放映してくれた素敵チャンネルJSPOTS4が、なんとなんと肝心の世界選手権を生中継しない! しかも録画放映は4月7日からってどうゆうこと!?
それが何を意味するかというと、開催時は地上波でしか観られない。ということは、ほぼ男女シングルしか観られない、ということ。ペアとアイスダンスは地上波放送ではほとんど無視されている(日本の選手が一握りしかいないため)。
あああ…一番待っていたアイスダンスが4月の半ばにならないと観られないとは! それまでに観たければyoutubeのちっこい荒い動画を観るしかないということだ。
ああ、ない金をつぎこんで契約してるのにJSPOTS4よ、こんなところで裏切るとは! もう素敵なんて言ってやんない!

…と、この理不尽にブーイングしつつ、地上波の放映はもちろんばっちり録画オン、かつテレビ前に女3人がかぶりつきで、ともかくも男女シングルをじっくりと見せていただきました。
なんといっても今回は男子でした。特にフリーでした。凄いものを見せていただきましたよ。

今季の最注目は17歳の羽生結弦選手。タタと同い年ということもあってジュニアのときから応援していたが、とにかくケタ外れの選手になりつつある。
去年の震災時は仙台のホームリンクで被災、自宅は半壊、その後夏にリンクが再開するまで各地のアイスショーに出ながら練習してきたという、羽生選手にとって忘れられない厳しいオフシーズンだったと思う。
被災地を背負って、という気持ちもあっただろうし、競技が始まってからはとにかく攻めて攻めて攻めまくる試合内容。この人、顔は優しくて身体は細くてクニャクニャで気が抜ける感じなんだけど、いったんリンクで演技に入ると別人化する。
特に今季のフリープログラム「ロミオとジュリエット」は彼に直球はまりプロで、あるブログで《これではジュリエットの一家全員殺してしまいそう》と言われていた(思わず納得)。
しかも四回転ジャンプの精度がどんどん上がってきて、彼のジャンプはスケールがすごく大きいのでとにかく迫力があり、かつ美しい(これは昨夏に大阪のアイスショーで実物を見ての感想。このときのトリプルアクセルの美しさは衝撃的だった)。

もちろん初出場だった今回の世界選手権、ショートプログラムは気負いが先に立った感じでいくつかミスをおかし、7位発進に。
まあいくら急成長してるとはいえ、まだ17歳になったばかりだし、初めての世界選手権だし、そんなもんちゃう? と思っていたのが大間違いだった。こやつはとてつもなく度胸と根性のある少年であった。おそれいりました。結果はなんとフリーだけなら2位、総合3位、夢の250点越え。羽生選手の細っこい首にメダルが飛んできてしまったのだ(動画はこちら)。

このフリーの内容が凄かった。会場大興奮。なんといってもジャンプ。最初に完璧な四回転を決め、次々に鮮やかにジャンプを成功。しかもそのあと、ストレートラインステップでいきなり転倒! フランスのお客さんが悲鳴をあげ、頭をかかえる! と、ロミオは直後に立ち上がり、何のダメージもなくいきなりトリプルアクセルのコンビネーションを決める! 怒号のようなどよめきと拍手。
最後の渾身のステップでは、確かにジュリエット一家が、いやジュリエットすら逃げ出しそうな(それではだめやんか…)鬼神のごとき迫力で舞い、そしてずっと課題だった、スタミナ切れで失敗してきた最後のトリプルサルコウも何とか成功させ、フィニッシュ。
ものすごいアドレナリン出っ放しの眼力ガッツポーズのあとは、突然別人化が終了。
全てを出し切った少年に戻って涙を流した。ふにゃふにゃになってコーチのところに戻って抱き合う元ロミオ。
このギャップの大きさ、実は意識してやってるんじゃないかと疑いたくなるほど。こういうところも含めて、とにかく人の目を引きつける力がハンパじゃないのである。

最後の右手を挙げて天を指差すガッツポーズは、彼があこがれているプルシェンコ選手を意識したものだと思えたし、これひそかに鏡の前でひとりで練習してたんじゃ…と考えてしまった。
リンクサイドでコーチに持ってもらうティッシュのボックスカバーが必ずくまのプーさんだったり、ドリンクのカバーがプログラムごとの衣装とおそろいで替わっていたりと、これはこだわりなのか、それともキャラクター作りなのか。私が思うのは、彼は実は非常に野心家でしたたかな作戦家であるということ。
あるインタビューで、「世界チャンピオンになるのはもちろんのこと、他の選手を突き放し続けるような選手になりたい」というようなことを言っていたのを読んで、なるほど…と思ったのだった。羽生選手はたぶん、うまくいけば世界で勝てるかもしれない、というこれまでの日本人選手の枠を軽く超えていく。そういう「予定」をすでに持っている。自分をリンク内でもリンク外でもどう「見せる」かについても、よく考えている。
いよいよこんな選手が出てきたんだな、という感慨と、これから実際にはいったいどんなふうに成長し、どこまで行くんだろうという期待と不安。しかもタタと同い年。これはもう来シーズンも眼が離せないなあ。

というところで高橋大輔選手をはじめ、ほかの選手については次回。
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by higurashizoshi | 2012-04-06 21:35 | フィギュアスケート | Comments(0)
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