ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

<   2012年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧

アジョシ

d0153627_0521722.jpg
2010年韓国
監督・脚本 イ・ジョンボム
出演 ウォンビン キム・セロン キム・ヒウォン キム・ソンオ タナヨン・ウォンタラクン




韓国との関係がなんだか難しいこのごろ、とはまったく関係なく、キャンプ後の残務整理の中で一抹の空虚さなども感じつつ(私、すぐ空虚になるのが得意技なんです)、
「映画観たいなー」とツタヤに出かけていって、
「おお、これ観たかったんだった」
と借りてきた一本。

かつて「親切なクムジャさん」を何の気なしに観てドギモを抜かれて以来、バイオレンス系の韓国映画は相当な覚悟をもって観ないといけないことを肝に銘じており、この「アジョシ」もいちおう《そのつもり》で観たのでした。
しかし、やっぱりそこはそれ、韓国ダークサイドの麻薬取引、殺人のみならず、子どもも含めた臓器売買の実態が、リアルというより関西弁でいうところの「えげつない」描写でドンドン出てくるため、

「これいったい韓国本国ではどのくらいの年齢から観てるんやろ…?」 
「ウォンビン目当てで映画館行った若いお嬢さんとか卒倒しないのかしらん…」
「いや、韓国女子はそんなヤワじゃなくて、この程度の描写に慣れてはるのかしらん…」

などと隣国に思いをはせてしまうのだった。

d0153627_0563777.jpg


で、物語は《韓国版『レオン』》とか《韓国版『グロリア』》とかいわれてるように、
「暗い過去を持つ孤独な一匹狼の男(女)が、わが子でもないひとりの子どもを守るために命をかけて戦う」
という、まいどあり!な定番ストーリー。
ウォンビンが初めて登場するシーンはこんな感じだ。
全身黒っぽい服装のウォンビン、上着のフードですっぽりと頭をおおって力なく歩いている。その姿がスクリーンに出現した瞬間、
「哀愁」「孤独」「断絶」等の文字が脳内にダダダと点滅する。
フードの陰からちらりとのぞくウォンビンの飢えた小鹿のような眼!
しかも彼はその直後、白い菊の花束を買う!
「過去の悲劇」、点滅開始。

そして、やがて初めて裏組織の男たちと対面したとき、目にもとまらぬ早業でナイフを奪うウォンビン。
「昔はその手の人やったんや!」
このわかりやすさ。もうワクワクしてしまう。
もはや頭の中は『レオン』『グロリア』だけでなく『ボーン・アルティメイタム』や『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『イースタン・プロミス』などがぐるぐる。
もうこれから何が起きるのかはわかる!わかるよ!

脚本が緻密さに欠けるとか、子どもにそんなにセリフで説明させるのはどうだろうとか、闇組織の親玉がそろってギャグマンガのキャラクターみたいだとか、文句をつけるところはいろいろある。あるのだが、少女を闇組織に奪われてから全身発火、顔半分をおおっていた長髪を剃刀で切り落とし、殺意の鬼と化してたったひとり戦いにおもむくあたりから、
「おおおー! かっこいいやんかウォンビン!」
お姿もかっこいいのだが何といっても声がいい。
私、『母なる証明』も観逃していて、昔の映画も観てないので実は初ウォンビン。
弟キャラなかわいらしいタイプの人だと思っていたけど、この抑揚のない深く低い声、よろしいなあ。

d0153627_0595927.jpg

そしてアクションシーンが半端なく凄いではないか! 何という動きの美しさでありましょう。
マンガチックな親玉たちと違い、ウォンビンと一騎打ちを繰り返す殺し屋(タイの俳優さんだそうです。ええ眼力をしてはります)との戦いが特にすばらしい。
しかし目玉…目玉…! これは日本のアクション映画にはまず出てこないシーン。観た方にはわかります。これもお国柄というのでしょうか。
いやしかし、もはやウォンビンの声とアクションのかっこよさ、暗い哀愁に満ちた表情の連続にくぎ付けとなり、些末なことなど頭から飛んでいき、一気にラストまでなだれ込むのでした。はー、おなかいっぱい。

アクション映画がけして好きというわけではなく、暴力描写、残酷シーンは苦手。そういう映画でスカッとする、という人の気持ちがいまいちわからない私。
しかしウォンビン、かっこよかったです。
そして隣同士の国は、やっぱり似ているところと違うところがあるね。
違うところはすごく違うということをよくわかりあうと、もっとわかりあえるね。
と思った次第でした。
[PR]
by higurashizoshi | 2012-08-30 01:02 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

終わりと始まり

今年も猛暑、酷暑といわれても、なぜか去年までのようなすさまじい暑さを感じなかった私。トシのせい? 鈍くなった? それとも… などと考えていたら、お盆過ぎた途端いきなり来た。

暑い。暑い。なんじゃこりゃ。
そうそう、夏の盛りってこうだったよね。冷蔵庫を開けるたび、中に入ってるものが全部うらやましい!オラもここに入りてえ! 思わず、しばし頭を突っ込んで涼む。娘たちにバカにされる。

それにしても困るのは、こう暑いと何かをやろうという、覇気ってものがまったく起きないこと。もちろんキャンプ後の虚脱状態もそこに拍車をかけている。やらなきゃいけないことはいっぱいあるんですよ。わかってるけど、ちょっとその手どけてくんない?暑いから。そんな感じ。もう毎日のごはんも、

「きゅうりを切ったものに梅干をまぶしてゴマ油であえただよ」
「長芋を切ったからゆず胡椒をつけて食べたらどう」
「冷ややっこ。昨日もおとといも食べたって、それがどうした!」

という乱暴なものになっている。だいたい、コンロを使うことがすでに犯罪レベルなほど暑いのだ。そんなことをしてはいけないだろう。
しかし朝、寝ぼけまなこ、汗だくでのっそり起きた出した私の目に飛び込んできたのは、すでにキッチンでかいがいしく朝食の用意をしているミミの姿。
乙女の額に清々しい汗をかきながら、ミミはコンロにむかい、

「ほうれん草とトマト入りのスクランブルエッグ、ラタトュイユ添え」

などというものを作っているのであった。
ちゃんと作った料理は、おいしいねえ…と感動、反省しつつ、ミミのいれてくれたアイスティーとともに朝食をとる私。パンはタタが焼いてくれたのね、ありがとね…。

もちろん、このグダグダ状態は家にいられる日限定で、用事で出る日、実家に行く日はシャキーンと働きモードになるのだが、そうするといっそう、そのあとのグダグダぶりがひどくなる。
キャンプの残務というか、あとのお仕事は実はてんこ盛りで、ほっぽらかしてた家の中も気になるところだらけ、ミミの高校問題も本格化してきたし、そうだねえ、ここはひとつ冷たーいパピコでも食べて、フィギュアスケート今季の新プロ検索など…

そんなダラダラした日中、活を入れるかのようにインターホンが。
宅急便でーす!
おお、遠方の友からなんか来た。
開けてみると、こんなすてきなものでした。

d0153627_1385089.jpg



題して、「はじまりのコップ。」
グラス、っていわないところがいいね。
「コップ」という、ふつうの、日常のことばがいい。

とても持ちごこちのいい、宙吹きガラス。やわらかい飲みくち。
さりげなく「BEGINNING」という文字が刻まれている。

ついている説明書きには、こんな言葉。

「終わりのように見えているものは、
生まれたばかりの始まりなんだ。」

そうか、そうか。
なんにも終わっちゃいないんだな。もう、始まってるんだな…

しばらく、じっと落ち着いて、暑さもちょっと忘れて、福島の、あの子たちのことを、お母さんたちの顔を思う。
終わっちゃいない。終わっちゃいない。生まれたばかりの、始まりなんだ。
庭の木にとまった蝉が、精一杯の声で鳴いている。

よーし今夜からはこれでビールだ!
(そういうことか?)
[PR]
by higurashizoshi | 2012-08-21 01:41 | 雑感 | Comments(0)

帰ってきました

福島の子どもたちを招く2週間の保養キャンプが終わって、今日で5日。
ようやく、終わったんだなあという実感と、日常に復帰した現実感がわいてきた。

キャンプまでの準備も加速度的に忙しかったが、実際のキャンプ期間は一部の隙間もない多忙さだった。
去年の経験で覚悟はしていたとはいえ、今年は泊まりも数回入れたので本当にみっしりだったなあ…。

毎朝ワークパンツのあちこちのポケットにデジカメと消毒薬と虫さされの薬とばんそうこう、はさみに輪ゴムにテープにペン、そしてしばしば動画用のカメラも持ち、子どもたちの動きにつれて走り回っていた。
去年は主にお母さんたちとのかかわりが多かったのが、今年はそれに加えて子どもたちとずいぶん仲良くなったのはとてもうれしくて、何人もの子との他愛ないおしゃべりがほんとに楽しかった。どの子もかわいくて、じっくりと話をする時間がもっとほしかった。

スタッフは子ども担当、生活担当、食事担当などに分かれていて、それぞれの現場で皆フル回転で働いているのだけど、私は事務・ブログ担当兼記録係という立場なので、現場では《何でも屋さん》になる。
ブログ用に写真を撮りまくり、記録用に動画を撮りまくりながら、子ども担当や生活担当の手助けに回る。子どもの傷の手当てもするし、子ども同士のケンカの訴えも聞くし、熱が出た子を病院に連れて行ったり、その日のボランティアさんの受付をしたり、時にはメディアの取材対応に回ったりと、ある意味雑然と、ある意味中途半端に現場にかかわることになる。
そして夜はパソコンにその日の大量の写真を取り込んでブログの更新作業。不器用で、変なところにこだわるので、これがまたえらく時間がかかる。
去年もそうだったように、キャンプ開催中のブログは「ああこの写真も入れたい」「この子があんまり写ってないからこれは入れたい」「ここはこの順番」「説明足りない」等々…ドンドン写真と文の数が増殖し、労力もボリュームもうなぎ上りになっていくというお約束の現象が起きて睡眠時間が削れていく。しかしアドレナリンが出っぱなしになっているので疲れを感じないのだ…。

今回のブログ作業の天王山は、途中明石から兵庫県の奥の佐用町にキャンプが移動し、私も泊まりで行っていた間のこと。宿泊地の電波が弱く、パソコンを持ってあちこちさまよいながらブログ更新をしたという初めての経験。ほかのスタッフにもずいぶん助けてもらったし、地元の方にもすごくお世話になった。
正直、今回はスタッフの中で自分の立場のあいまいさを考えたり、去年はなかったような多少の軋轢などもあって、特にキャンプ後半は気持ちの上で重い部分もあった。だから晴れ晴れとキャンプを終えた、というのとはちょっと違うのだけど、去年の熱気と悲壮感に満ちた感じとは違い、今年のキャンプ終了は「来年また会おう!」と子どもたちやお母さんたちと笑顔で別れる幕切れになった(とはいえ、最後はやっぱり泣いてしまいましたが…)

今回見ていて気になったのは子どもたちの体力、抵抗力が落ちている実感があったことで、疲れやすかったり、日焼けや虫さされなどが予想外に重症化したり、鼻血がしばしば出たり、すぐに熱中症気味になったり…。
日ごろ外であそべない現状を考慮しても、どうしても全体的に免疫力が低下しているのではないか、という気がしてしまう。去年も参加していた子が多かったので、去年と比較しての変化が感じ取れて、そのことがずっと胸にささっている。

キャンプ中、子どもたちは川に飛び込み、虫とりに走り回り、きれいな石を集め、セミの抜け殻を集め、草原を転げまわってあそんだ。
子どもにとってあたりまえのその行為はすべて、今の福島ではできないこと。
それをもう子どもたちもしっかり自覚していて、「帰ったらまた家の中であそぶんだよ」「外行くときは自転車から降りないで、全速力で行く」「明石では草取ってもいいんだよ。土さわってもいいんだよー」と言う。
まさに異常が日常になっている子どもたちの今。みんなその中で生きている。これからも育っていく。
「ただちに人体に影響はない」「原発事故の直接的影響での死者はひとりもいない」「原発は日本の経済発展に不可欠」。
そう言ってのける大人は、この子たちのふるさとでの毎日を見つめたら、どう感じるのだろう。放射線管理区域内に匹敵する放射線量があちこちで測定される地域で、ふつうに暮らす子どもたちの。

きらきら光る子どもたちの笑顔が、今も目の前にある。
保養キャンプを続けていくことは、あまりにも小さな歩みを、とても必死の労力で続けていくこと。
大きなプロジェクトを動かすのは特別な人間たちではない。
うまくいかなくて焦ったり、お金がなくてへこんだり、いろんな考えの違いをすり合わせたりして、みんな、よたよた、でこぼこしながら歩いていく。
理不尽に対する怒りも、疲れて陥る虚しさも、いくつも飲みこみながら。
たぶん誰のためでもなく、自分のためにやっているんだよね、とつぶやきながら。
もう来年の計画を始めている、めげないスタッフの中に私もいる。


***
…なんてカッコいいこと言ってて、キャンプ明けに実家に立て続けに行ったら別の現実にぶちかまされました。
キャンプも楽じゃないけど、日常も楽じゃない。
そこを何とか、生きていくのだな。



8月1日、佐用の空。
d0153627_14315645.jpg

[PR]
by higurashizoshi | 2012-08-15 14:45 | Comments(4)
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 02:06
こんにちは。 今回の4..
by Disney 鴨 at 14:58
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 00:40
こんにちは。 アメリカ..
by Disney 鴨 at 15:39
Desney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 01:06
こんばんは。 今回は、..
by Disney 鴨 at 19:43
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 02:16
こんばんは。 今回の全..
by Disney 鴨 at 20:15
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 10:31
あけましておめでとうござ..
by Disney 鴨 at 21:35
ライフログ
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧