ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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NHK杯、追悼の心

グランプリシリーズの試合はもちろん全部観ていたけれど、書き留める余裕もなく、それから友が亡くなり、大きな穴の底に落ちてしまったような日々が続いた。

最終戦のNHK杯がやってきた。
3日間、全部の予定をキャンセルして、ずっとテレビの前にクギづけになって、ただただ、とりつかれたようにスケートを観ていた。

今年の会場は、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナだった。
実は、私はかなり真剣にこのNHK杯の現地観戦に行こうかと考えて、チケット先行発売を前に計画を立てたほどだった。もちろん、そのときにはこんな気持ちでこの試合を迎えることになるとは思いもしないで。
残念なことに、親子3人で宮城まで観戦に行くと、チケット代込みでとてつもない金額がふっとぶことがわかり(それなら海外行けるよ?と人に言われてしまった)、綿密な計画は妄想のままで終わった。

その計画を立てているとき、会場のセキスイハイムスーパーアリーナというのはずいぶん辺鄙なところにあるんだな…と思った。
そして、どうもその名前に聞き覚えがある気がして、何だろう…何だったろう…と思っていた。

そしてあるとき、はっと思いあたった。
そうだ桑田くんだ。桑田佳祐が震災後にライブをやった会場だ。そしてそこは遺体安置所だったんだ…。

急いでネットで調べてみた。
津波の被害から離れ、広い会場ということで、連日数えきれないほどの遺体が運び込まれ、遺族が詰めかけた場所。
それから半年後、営業再開の第一号イベントが桑田佳祐のライブだったのだ。彼がその場所をライブ会場に選んだことに、いろいろな意見があったようだ。でも、あえてここを選んで復興のスタートを、というのが桑田佳祐らしいな…と思った。
セキスイハイムスーパーアリーナは、そのつらい経緯から、二度と商業施設としては使われずに閉鎖されるのでは、という噂もあったらしい。
でも桑田くんのライブを皮切りに、ふたたびさまざまなライブやイベントがおこなわれるようになった。

今年のNHK杯は、そういう場所を会場にしておこなわれたのだ。


3日間の連戦の中のひとつひとつの競技について、スケーターについて、それはもうたくさんの思いがあるのだけれど、それを書くほどの余力はまだないので、二つだけ書きたいと思う。


鈴木明子選手のフリーの演技。
ショートでたったひとつのジャンプミス、それが結果的に彼女を0.05点差で優勝から退けた。
でもこの演技で、フリーだけで見れば彼女は全選手中1位となった。会場の空気をすべて清浄に染めなおすような4分間。
試合前、七ヶ浜で海に向かい手を合わせていた鈴木選手。宮城は彼女が大学時代を過ごした場所で、第2の故郷。追悼の思いを深くこの演技にこめたのだと思う。
演技が終わった瞬間、震えながら涙を浮かべたあっこちゃんを見ながら、私も泣いた。
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羽生結弦選手、エキシビションの演技。
震災後の故郷で、優勝を。その強い想いが羽生選手をここまで連れてきた。
17歳の華奢な少年のどこに、この強靭さがあるのだろう。
ショートではスケートアメリカの自己記録を塗り替える歴代最高記録。フリーではスケアメの失敗を繰り返さず着実に決めていったが、最後は課題のスタミナ切れで転倒、スピンも崩れてこけた。ところがその直後、さわやか100%のとびきりの笑顔で再び滑り出す。
なんなんだこの子は?と何度思わせられるんだろう。
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そしてすべての試合が終わり、エキシビション。羽生選手は優勝者にだけ与えられる順番、最終滑走だった。
指田郁也の「花になれ」を自分でも口ずさみながらの演技。
こんなに思いを全身にこめて滑ることができる17歳。仙台のリンク上で被災し、苦労と変転を重ねたこの1年半の思いをすべてこめて、そして祈りをこめて彼は滑った。
ゆづるくん、きみはいったいどこまでいくのだろう?


追記:
演技の動画は、NHK杯HP(ここをクリック)の「動画」ページで見ることができます。
鈴木選手のフリー演技は、「動画」の「女子シングル」の「一覧」を開くと見られます。
羽生選手のエキシビション演技は、「動画」の「エキシビション」の中にあります。
動画の中の「空中モーションカメラ」の映像では、リンクでの選手の動き(まるで飛んでいるよう!)を体感し、会場のどよめきも味わうことができます。
文中には書かなかったけれど、高橋大輔選手の演技も、もちろん本当にすばらしかったです。アイスダンスのことも含めて、今度ゆっくり書こう。
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by higurashizoshi | 2012-11-27 00:38 | フィギュアスケート | Comments(0)

3冊の著書

11月15日午後1時45分。
その日その時間のあと、彼のいなくなった世界で私は生きている。
自分のまわりの、生きて動いている人たちを不思議に感じ、この長い夢から早くさめたいと思っている。

きっとこれから時間がたって、これが夢でなく現実であることを私はゆっくりと認めていくのだろう。

彼は3冊の著書をのこした。

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浅田修一との対談。1998年9月、ぼっと舎刊。
《なまなましくも、嘘(ことば)の「私」――右足のない男と、腫瘍をもつ男が震災後の神戸で、身を削るように語り明かした魂の記録》



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1999年4月、河出書房新社刊。
《愛する家族の死がくれた、「書く」という習慣。かつて傾倒した西東三鬼の俳句や散文に同質の波長を感じとり、三鬼と戯れながら書き続けた、母と二人の弟たち、そして自分自身への鎮魂歌。第5回蓮如賞佳作受賞作品》

これだけは絶対に書かなければならない、その気迫のもとに書き上げた作品が賞を受け、出版されることになって、祝杯をあげたときのことを鮮やかに思い出す。


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2005年9月、ミッドナイトプレス刊。
《入院生活で、生きてあること、死んでいくことについて痛いような教訓を得た。それを糧にして今後の日々を大事に生きてみようと思っている-。『詩の雑誌midnight press』に連載された「高崎通信」をまとめる》

何度目かに倒れた前後、父の死もはさみながら綴った文章。心身ともにつらい状態での連載を一冊にしたもので、もっとまとまったいいものを形にしたいんだと口にしていた。


あたりまえのことだけれど、その人がこの世から消えても、書いたものは何ひとつ変わらずに残る。
まるでロールプレイングゲームさながらに、次々と襲いくる痛みや手術や喪失とひとつひとつ格闘しながら、最後までブログを書き続け、mixiの日記も続けていた。(ブログ「点景」)
3冊の本とともに、彼の生きたあとが、そこには消えずに残って私たちを見ている。
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by higurashizoshi | 2012-11-23 14:22 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

このむなしさの塊を

ずっとずっと前から、このときが来ることはわかっていた。

完治することのない、遺伝性の病をかかえた彼は、初めて会ったときはまだ青年だった。
まだ走っていたし、運転もしていたし、飲み歩いて、旅をして、人の輪の中にいて、きらきら笑っていた。
それから長い年月のうちに、彼は杖に頼って歩くようになり、何度もの手術があり、転機があり、そして車椅子で暮らすようになった。

終わりはいつも、彼のすぐ前にあるように見えた。
彼の母、二人の弟たちが同じ病でこの世を去ったあと、彼はそのことを刻みつけながら生きていた。あきらめと、怒りと、捨て鉢と、悲しみ。
それなのに、単純なくらい純粋で、明るくて、いつもたくさんの人に愛された彼。
何度も倒れ、重篤になり、みんなが彼のために祈り、そのたびに生還してあの笑顔を見せた。
「狼中年」、と私たちは呼んだ。もうだめだ、もうだめだとみんなを心配させ、そのたびに生き返る男。

だから今度も、そのはずだった。
意識をうしなったあと、飲んだり食べたり、少し話したりできるまで回復したと聞いて、「まただ、狼中年め」と思っていた。
それなのに、まるでふっと出かけるように、いってしまった。

新幹線を乗り継いで、群馬の、何度もたずねた家に着いた。
いつも彼が「おー、来たなぁ」って笑っていた部屋に入ると、彼はもう命をなくしてベッドにいた。
延命治療を拒み、入院も拒み、その望み通り自分の家で、最愛の息子にみとられて逝った彼。
でも望み通りだったのはそれだけ。
死にたくなんてなかった。もっと生きて、病に邪魔されずに、立って、歩いて、走って、大好きだった酒と煙草をたくさんのんで、大好きな人たちと会って、話して、広い世界をもっと見て、読んで、書いて。

息子が言った、「おやじは最後、うわごとで『チクショウ、くやしい、くやしい』って言ってた」と。
そしてしきりに何かを書くしぐさをして、「書きてぇ、書きてぇ」とも言っていたと。
物書きとして、体のきつささえなければ、病さえなければ、もっと、もっと、書きたいことがあった。書ける作品があった。ふんばって、そこまで、どんなにいきたかったことだろう。

彼の顔はとてもきれいで、亡くなったお父さんにそっくりだった。
「男前だね」って言っても、彼はじっと目を閉じていた。
私と誕生日が同じで、十いくつも上のくせに、「ひぐらしとオレは同い年なんだぜ」と人に言っていた。
毎年誕生日には、「おめでとう」と言い合った。「おおそうか、オレたち同い年だったよな」と懲りずに言ってた彼。
お互いに《書く》人間として、必ず書いたものは見せあい、批評しあった。
私の初めての詩集を昨秋届けたとき、間に合ったな、って本当にうれしそうだった。

ずっとずっと前から、このときが来るのはわかっていた。
それなのに、何も、ひとつも、受けいれることができない。
かなしみではない。このむなしさの塊を、どうしたらいい。
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by higurashizoshi | 2012-11-21 17:54 | 雑感 | Comments(2)

金沢へ

ホームシューレの集まりで、金沢へ。
今回は、なんと初のひとり参加。タタとミミはネコたちとお留守番の一泊二日。

旧知の友と、新たな出会いと。
秋の金沢は美しかったです。


20数年ぶりに訪れた兼六園。
まだ紅葉はちらほらながら、落ち葉が綺麗。
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金沢21世紀美術館は、開かれたアートの現場。
こんな美術館がどこの街にもあれば、どんなにすてきだろう。
これは「タレルの部屋」。
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ここが、ホームシューレ金沢サロンを開催した、
石川四高記念交流館。
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治部煮もいただきました。
金沢の歴史を感じる深い味わい。
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庭園にいた白いネコ。
まるで神さまの使いのよう。
友と大切な話をしていたとき、ふと見るとそこに。
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大好きな犀川。
ほんとうにひさしぶりの訪れ。
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帰ってきたらいきなりダウン、2日間こんこんと眠りました。
行ってよかった。
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by higurashizoshi | 2012-11-09 19:06 | 雑感 | Comments(4)

すっとびで第2戦、スケートカナダ

なんでこんなに時間がないの~! とバタバタしてる間にグランプリシリーズ第2戦のスケートカナダが終わってしまいました。
観るには観たが書き留めている時間がない悲しさ。と思ってたら、もはや第3戦の中国杯が目前!

カップル競技の方は、まだ第1戦のスケートアメリカすら放映されていないので(待ち遠しい…)、ともかくシングルのみ追いかけていくことにして、まずは男子。

パトリック・チャン選手がジャンプの不調で総合2位に終わり、代わりに1位になったのはハビエル・フェルナンデス選手。3位に織田信成選手。
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織田選手はケガで昨シーズン後半を欠場、リベンジの今季初試合。ショートプログラムで4-3のコンビネーションを決め、復調をアピールできたのはよかった。織田くんの涙はほんとに悲しくなるので見たくない!
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フェルナンデス選手。選手層の超!薄いスペインに現れた超新星、といわれて数年。モロゾフからブライアン・オーサーにコーチ変更して以来、滑りがクリーンになって4回転ジャンプの確実性も増し、2種類を鮮やかに軽々と飛ぶ、飛ぶ。あとは表現力…表現力…
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どうしたパトリック…。長年なじんだコーチと振付師を同時に変更して、プログラムもぐっと深みを増してのぞむ今季。でも昨シーズン後半から翳りのみえたジャンプがまだ改善されていない模様。2位なのにこんな言い方されるのも世界王者パトチャンならでは。
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女子はこのような表彰台に。
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鈴木明子選手、ショートで出遅れたのをフリー1位で総合で銀メダル! さすがはあっこちゃん、ほっとしました。今季プロはショートのキルビルもフリーのオーも本当にいいプロで、どうかこれが現役最後のプログラムになりませんようにと祈るばかり。
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村上佳菜子選手。失敗はありつつも3位に滑り込む。伸び悩んだ昨シーズンからたくさんのものを学んだ感じ。ひとつ抜きんでることができるかどうか。
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1位はたぶん誰も予想してなかったケイトリン・オズモンド選手。まだ16歳です。ジュニアのときから目立っていた彼女。アピール力十分だけど、すべてはこれから山あり谷ありと思われる。
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ほかにも触れたい選手がたくさんいるのですが、時間切れ。時間を売ってる100円ショップがほしい。
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by higurashizoshi | 2012-11-02 00:54 | フィギュアスケート | Comments(2)
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