ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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全日本フィギュア2013 振り返りその2

死闘につぐ死闘だった今回の全日本フィギュアの中でも、やはりいろんな意味で主役を取ったのは高橋大輔選手だった。
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これまで、大けがはもちろんのこと、各シーズン、各試合の数々のアップダウンにより、ファンも天国と地獄の間を行き来し、ずいぶん慣れてきてはいたといっても、今回は本当にダメかと思った人も多かっただろう。
心労のあまり行き倒れたファンがあちこちに…。いや冗談じゃなくそれほどファンにとっても過酷な全日本だった。

少なくともこの怒涛の3日間に全国津々浦々の大ちゃんファンの食事量と睡眠量は極端に減ったに違いなく、心配、不安、驚愕、絶望、祈り、安堵…とそれぞれの場面でみんなが流した涙を集めたら全日本会場のさいたまスーパーアリーナのリンクの氷くらい軽く作れるんじゃないかしら。
などと言ってる私も今回は「ここまで泣くか?」と自分に引くくらい何度も大泣きし、「もうダメだ」「ダメかも」「希望はある」「悲しすぎる」「やっぱあきらめない」「いやダメかも」…と地の底をぐるぐると回りつづけた。

ダメというのはソチ五輪行きがダメということであり、選手生命がこの全日本で終わるということでもあった。
12月21日、ショートプログラム。

右足の状態がどこまで回復しているのか、情報がほとんどない中で、頼りは大ちゃん本人の顔つき。とにかく正直に顔に出る人なので、自信のあるなし、調子の良しあしがけっこうはっきりわかるのだ。
と、思ってショート前のアップからテレビを凝視していたが、どうもよくない。いよいよ最終グループの6分間練習が始まると悪い予感は確信に変わった。
調子のいいときはピリリとしたお顔が、なんというか輪郭がボンヤリしている。そしてすごく不安そうだ。そしてほとんどジャンプを跳ばない。これは相当ケガの状態がよくないぞと覚悟をした。

のちに本田武史コーチなどが語ったところによると、11月末に右足の骨挫傷が判明した当初は痛みで氷に足を突くこともできなかったそうで、ジャンプを再び跳びはじめたのは全日本が始まる週に入ってからだったとのこと。
要するに、ほとんど治っていない状態で無理やりに全日本に出てきたということだったらしい。全日本に出場しないということは、そこでソチを断念するということだから、這ってでも出るという選択肢しかなかったのだと思う。

このときにはまだ、さすがにそこまで酷い状況とは知らないこちらとしては、6分間練習の様子を見ながら、ただただ「相当不安をかかえているんだな…」と感じていた。


ショートプログラム「ヴァイオリンのためのソナチネ」。
直前の羽生選手が100点越えのとてつもない演技を見せ、その得点が出るまでの間、高橋選手はリンクサイドではなく、リンク外の階段の下にいた。まるで輝かしい羽生選手の栄光のオーラから、自分の身をひそめて守るように。
それを見たとき、さらに状況は切迫しているんだと実感した。

冒頭の4回転トゥーループは着氷したものの回転不足。
そしてトリプルアクセル、成功したと思った瞬間に尻もちをついて転倒。
最後のスピンでも、いつもはありえないぐらつきがあり、おそらく右足で踏ん張ることができない影響が、全体に厳しく出てしまった。
そしてたぶんメンタルでも、まったく自分の状態に自信を持てない状況に飲みこまれてしまっていたように思う。
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それでもステップはすばらしかった。そしてなめらかで官能的なスケーティングと、苦悩と希望を描き出す曲想表現。高橋大輔にしか作れない世界は、消えずにそこにあった。
今自分にできる精一杯をやった。でもやっぱりダメだった。演技直後の大ちゃんの顔はそう言っているようだった。

そしてキスクラに長光コーチと座り、得点を待つ大ちゃんの表情は、まるで恐ろしい判決を予感して、苦痛の中に座している人のようだった。
子どものようななまなましい不安と悲しみが彼をおおっていた。そしてその背を長光コーチはやさしく撫でていた。
ああ、そうか。そうだったのか。
一種異様な雰囲気の二人の様子を見て私は、遅まきながらやっと了解した。
無理だったのだ。この全日本に、まったく回復は間に合ってなかったのだと。

その無理を承知で、本人もコーチもスタッフもこの場にやってきた。これはいちかばちかの賭けどころではなく、最初から勝ち目のないレースだったのだ。
その中で、ただただ最善を尽くすしかやることはなかった。そして彼はやった。そして敗北した――と、少なくとも彼自身は感じていた。

ショートプログラムの得点は82.57。PCS(演技構成点)がいくら高くても、ジャンプの回転不足、転倒、スピンでの失敗は大きかった。
それでも4位につけた。希望は残っていると思った。ただ、キスクラの大ちゃんの放つ絶望感のようなもの、長光コーチからただよう諦念のような空気が、ずっと頭を離れなかった。
(ショートプログラム「ヴァイオリンのためのソナチネ」の動画はこちらをクリック



12月22日、フリープログラム。
もしかして、ショートのときとはちがう、戦いにそなえた鋭い顔でリンクに出てきてくれるのではないか、という淡い期待はすぐ消えた。
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全日本に向けて変えた紺色の衣装に身を包んで現れた大ちゃんは、最初から追いつめられた不安むきだしの顔をしていた。正直、その顔を見てこちらが怖くなった。ダメかもしれない。本当にダメかもしれない。
でも、そんなことがあっていいものだろうか?


フリー「ビートルズ・メドレー」。
リンクに出ていく大ちゃんの姿に、実況の西岡アナウンサーの声が重なる。
「強さと弱さ。多くのファンが、高橋大輔のこの二つの姿を愛してきました」
このとき大ちゃんは何を考えていたのだろう。
夢見るような表情からスタートするこのプログラムも、この日はまるで、ずっと苦痛の中を越えていく道程のように見えた。
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前日のショートの無理で、右足の状態はさらに悪くなっていたのかもしれない。
なんとか防備してミスを最低限に抑えるために、4回転を回避することだってできた。回避して3回転のコンビネーションを組み込めば、彼の高いPCSで、せめてこれ以上の順位の転落はふせげた可能性は十分あった。
でも彼の中に「4回転を回避する」という選択肢はなかった。
回避するどころか、当初のプログラム構成どおりに「4回転を2度入れる」という道を選んだ。愚直なまでに、高橋大輔はアスリートだった。


最初の4回転トゥーループで転倒。
そして二度目も挑んだ4回転は身体が開いて3回転になり、着氷も乱れた。
「カム・トゥギャザー」のステップ、リズムを刻む身のこなしの、彼にしかない美しさ。
と、気づくと手に赤いものが見える。出血している。エッジで切った?
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次の「フレンズ・アンド・ラバーズ」でジャッジ席に向かって微笑みながら差し出す右手。その手が鮮血で染まっている。差し出す方の手が血で染まるなんて、いったいどこまで劇的なんだよ大ちゃん! 血を流しながら演技している。まるで比喩を体現するかのように。
昨シーズン全日本の奇跡の「道化師」の演技の最後に、まるで花びらのようにはらりと衣装から舞い落ちた羽根を思い出す。やっぱりこの人には何か憑いてるんだ!

なんて考えられたのはあとになってからで、演技中は胸が痛み涙が流れて、頭の中は真っ白。ただ凝視することしかできなかった。
ジャンプを降りるたび、こちらの心臓がぎゅっと縮む。この人は死力を尽くしている。限界に挑戦しているんじゃなく、すでに限界を超えているのになおも未知のところに跳ぼうとしている。
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でも、3回転ループが抜けて2回転になったそのとたん、大ちゃんの身体からふっと力が抜けた気がした。もう終わった。あとは笑顔でただ観客のために滑ろう――。
そのあとの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」のコレオシークエンスはたぶん、彼のこれまでの演技の中でいちばん無心で無欲な美しさにあふれていた。
ラストの両手を広げるポーズのあと、身体を少し震わせて泣き笑いを見せた。精一杯に笑ってみせてくれた顔が、悲しかった。誇らしかった。

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「こんな演技では五輪で勝てない。こんな演技では五輪に行けない」
そう思い、「これが最後の(選手としての)演技になるかもしれないなあと思ったら、今までありがとうございましたという気持ちで…」と、フリー後の涙のインタビューで言っていた大ちゃん。
これほどまでに実績のある、世界じゅうからリスペクトされてやまない選手が、4回転を失敗はしたものの2回入れ、一歩も逃げずに滑り切ったというのに、本当に「もう終わった。ソチには行けない。現役をこれで退くしかない」と思い詰めていたのだ。
ある意味、なんという純真さでしょう。

そして純真な彼のファンもまた、純真だったのでした。フリーが終わったあと、インタビューを見ながらまた涙が止まらない。これで終わり?こんな最後ありえない、と思いながら絶望感でいっぱいで、本当に何も手につかなかった。私だけじゃなく、きっと多くのファンがそうだったと思う。
小塚選手がいい演技で3位に入った以上、全日本5位に終わった大ちゃんがソチの代表に選ばれる道理がない――フリーが終わったその夜は、そう考えることしかできずただただ悲しくて、思い出すたびに泣けてきて、ネットの情報も見る気にならなかった。
(フリー「ビートルズ・メドレー」の動画はこちら。フリー後のインタビューはこちらをクリック。今見ても泣きます)


ようやく少し客観的になれたのは翌日で、小塚くんもあんなに股関節の不調で苦しんでやっとこの全日本で復活できたんだから、このままソチに行けたらいいよなあ…と思ってはまた胸が痛くて、ネットをちょっとのぞいて五輪代表の選考基準やいろいろな人の意見を読んでみた。
すると選考基準からいって高橋選手は絶望するにあたらず、という話がたくさんあり、しかし私は筋金入りのペシミストなので容易にそんな意見は信じない。というか、信じて裏切られたときのさらに深い絶望が怖い。大ちゃんがソチに行けないなんて考えたくもないが、考えたくもない残酷なことが起きるのが人生というものなのだ。

そして23日、女子フリーの激闘を観た。男子も史上に残る激闘だったが、女子はまた別の意味ですさまじかった。ついに優勝したあっこちゃんに涙が止まらず、復活をとげた村上佳菜子選手に泣き笑いし、真央さんのオトコマエぶりに感動した。その間だけは、そのあと夜9時半からのソチ五輪代表発表のことを忘れていられた。
(実はこの女子の戦いを、大ちゃんは小塚くんと客席で隣同士に並んで、おしゃべりしながら観戦していたそうだ。うーむ、おそるべし仲よしチームジャパン…)
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代表の発表、最後に「高橋大輔」と読み上げられた瞬間はたぶんずっと忘れないだろう。
ああ、こんなことが過去にもあったな、とぼんやり思った。絶対に無理だと思っていた願いがかなったことが。
でも、それがいつのどんなことだったのかは、思い出せなかった。ただ無性になつかしい、あたたかい気持ちがした。そして子どもみたいに、わんわん泣いてる私がいた。


この3日間、本当にどれだけ泣いたことか。そして、最後に救われた。願いがかなった。
だからソチではもう、泣かずに笑いたい。どんな結果が待っていて、大ちゃんがどんな形で競技から去っていくことになっても、笑顔でいたいと思う。

とはいえ、ひとこと叫んでおきたい。
ああ高橋大輔、最後まで、最後まで、ハラハラさせすぎじゃあー!

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ソチ五輪代表入りおめでとう。
けががしっかりと治ることをまず祈って、1ヶ月半後、小塚くんの分も、織田くんの分も背負った――世界で一番美しいスケートを私たちに見せてください。
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by higurashizoshi | 2013-12-30 03:01 | フィギュアスケート | Comments(0)

全日本フィギュア2013 振り返りその1

いやー遅くなりましたが、全日本選手権の振り返りをしたいと思います。
もう振り返ってる余裕がないくらい年末が迫ってるんですけど…(あせあせ)

どれだけの方がこれ読んでくださってるかわかりませんが、自分なりに整理しておきたいというのもあって、ざざざーっと(といってもまた例によって長くなるんだきっと)いきたいと思います。おつきあいくださいませ。


まずはカップル競技から。

なるちゃんと龍一くん。
日本のシニアで唯一のペア、高橋成美・木原龍一組。
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なるちゃんは昨年までカナダのマーヴィン・トラン選手と組んで、まさに世界のトップの一角に躍り出ようとしていた。その矢先、トランくんとのペアを解消。
そしてサプライズ人事。それまでシングル選手として全日本の常連だった木原龍一くんがいきなりペアの相手として発表された。
何があったのかはわからないけれど、新たに団体戦が加わったソチ五輪が迫ってきたことと、当然無関係ではなかっただろう。

カップル競技の選手人口があまりに少ない日本。欧米なら子どものころからペア選手として鍛錬を積むものを、龍一くんのように成人してから突然、女性をリフトしたりスロージャンプさせたりなんてできるものなんだろうか?と、最初は半信半疑だった。
身体も大きくて筋骨たくましい欧米のペア男子選手に比べて、龍一くんはいかにも今どきの日本の若者らしくほっそり、すんなり。
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で、ペアを組んだのが今年1月で、たった一年足らずでグランプリシリーズに出場して一定の評価を受けるまでになっているのだから、以前のキャリアを捨てて臨んだなるちゃんの苦労ももちろんのこと、基礎からここまでたたき上げた龍一くんの努力はどれほどすさまじいものだったかと思う。
今回の全日本では戦う相手はいないものの、懸命の演技を見せた二人。
まだまだたくさんの課題はあるけれど、ソチの団体戦出場も決まり、これからさらに技術や調和力は伸びていくと思う。(今回のフリー「レ・ミゼラブル」の動画はこちらをクリック



アイスダンス。
ご存じリード&リード組がもちろん一位。
ほかにもいるの?と言う方も多いと思うが、今回はペアとは違ってシニアのアイスダンスには計4組も出場していたのですよ。まだ十代の組もいるのだから頼もしい。
日本でもカップル競技が少しずつ広まっていってほしいなと切に思う。
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リーズに関しては、クリスの足がやっぱり心配だけれど、一時ほど深刻ではない模様。
ソチまでさらなる故障がなく、2度目の五輪で力を出せますように。
(今回のフリー動画はこちらをクリック




全日本選手権、男子シングルの表彰台。

1位は羽生結弦選手、2位が町田樹選手、そして3位は小塚崇彦選手。
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羽生選手。
圧倒的に強かった。
フリーの4回転サルコウの失敗以外、目立った傷はなく、ショート・フリーともに徹底的に高得点を叩き出し、疾風のように金メダルをさらったという印象。

ショート、2シーズン目の「パリの散歩道」。
開始前、位置につく直前に彼は「ふっ」と笑った。
ここで笑う?この苛烈な全日本のスタート位置に立って?
「すごく緊張していました」とあとでインタビューで言っていたけど、到底そうは見えなかったぞ結弦くん。
あの「ふっ」を見た瞬間、こやつは怪物並みだなと改めて思った。
演技が始まってから終わるまで、本当に軽々と、楽しんでいるように見えた。
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結果は、ついに出ちまった!の100点越え。国内大会とはいえ、なんでこんなに結弦くんはジャッジに点を出させてしまうんだろう?
なんだか、どんな高得点が出てもすでにこちらもびっくりしなくなっているのだった。(動画はこちらをクリック


フリー「ロミオとジュリエット」。
冒頭の4回転サルコウはまたも転倒。悔しいだろうな。しかし《悔しい》の次元がほかの選手とは違いすぎる。
4回転もトゥーループの方は大丈夫、3回転は鬼門のルッツもまずまず、それ以外のジャンプは失敗する気がまったくしないという状態。
それにしても相変わらず、ジュリエットはどこよ?きみほんとにロミオなの?
力いっぱい、という迫真の感じは十分伝わってくるものの、何に向けて力いっぱいなのかはよくわからないのだった。どう考えても恋してない。いつになったら恋するんでしょ。
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しかし結弦くんはジャンプも美しいがスピンも美しいなあ。
手足が長くて顔が小さくて首が長くて、こんなにジャンプもスピンも美しい選手が日本に出てくるとは隔世の感あり(しみじみ)。
などと感慨にふけっていたら、やっぱり出た驚異の得点が。
合計得点は297.80。あと2.2点で300点~。たったひとりで別の山にさっさと登頂終了してしまいました。
もはや他選手の結果を見るまでもなく、この時点で結弦くんの全日本連続優勝とソチ代表一番乗りは決定したのだった。強いー!強すぎるー!(動画はこちらをクリック




2位に入った町田樹選手。
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結弦くんとはまた別の意味で、まっちーは強かった。今季ずっと強いが、この全日本は盤石に強かった。
まっちーのすごさは、自分の理論を構築していって4回転を完全にものにしたこと。
そして、自分のこだわり、自分の表現方法を確立し、その世界観を提示できること。
どちらも、2シーズン前までは考えられなかった激変だと思う。
もともと、自分の演技にとてもプライドを持った選手だなとは思っていたけれど、ここまで短期間に、ここまでの高みまで駆け上がってくるとは、正直まったく予想してなかった。
このところのまっちーを見ていると、自分の世界を強固に持っていることが、ひとりよがりでなく、表現者としての評価につながっていく過程を見ることができて本当に興味深い。
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そして今回の全日本では、「ソチに行くのは自分だ」という高らかな宣言を放っておいて、その重圧にショート・フリーともに打ち克ったこと。
参った。いや参りました。あなたの強さは本物です。
同郷の憧れだった大ちゃんの遠い背中をひたすらに追いかけていた日々は、もう完全に過去になったね。
だってフリー終了時点でその大ちゃんをしりめに、ソチ行き2番乗りをほぼつかんだのだから!
(ショート「エデンの東」の動画はこちら。フリー「火の鳥」の動画はこちらをクリック。強いです!)



3位、小塚崇彦選手。
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ショートでの順位を守り、堅実にジャンプを決めていって銅メダル。
それは昨シーズン後半から股関節の不調に泣いた小塚くんにとって、本当に大きな成果だったと思う。
完治には手術が必要といわれながら、五輪シーズンのために手術をせず、痛みとつきあっていく選択をした彼。ようやく痛みが少なくなって、練習を積んで、グランプリシリーズでは思うように出せなかった結果をこの全日本で出した。本当に立派だった。
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持ち前のなめらかで美しいスケーティング、派手さはないけれど音楽に調和した端正な演技。高得点が出たフリーのあと、ひさびさに明るい笑顔を見せたインタビューで「あとは吉報を待つだけです」と言った小塚くん。
この時点では、彼は全日本3位に入った自分が、ソチの代表に選ばれるはずと考えていたのだと思う。不調からの回復は、ぎりぎり間に合ったと。
(ショート「アンスクエア・ダンス」の動画はこちら。フリー「序奏とロンド・カプリチオーソ」の動画はこちらをクリック)



4位、織田信成選手。
競技人生のラストと決めた今シーズンの織田くんのテーマは、「ショートもフリーも笑顔で終わること」。
洒脱で楽しい雰囲気のショートプログラムと、勇ましく爽快感のあふれるフリー。最後のシーズンに、とても織田くんらしい素敵なプログラムをそろえたと思う。
でも今回は、ショートの方は笑顔で終わるというわけにはいかなかった。3つのジャンプのうち、コンビネーションジャンプの二つ目をつけることができなかったからだ。ミスの許されないこの全日本のショートで、これは決定的なことだった。(ショート「コットンクラブ」の動画はこちら
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結果からいって、この痛恨のコンビネーションの失敗が織田くんをソチの代表争いから遠ざけてしまった。
すばらしい出来だったフリー。もしショートでコンビネーションを跳べていたら…。勝負の世界は本当に過酷だ。
競技生活最後のフリープログラムとなった「ウィリアム・テル序曲」。最後のコレオシークエンス、満場の手拍子に乗って最高の笑顔で滑り切った織田くんの姿はずっと記憶に残ると思う。(フリーの動画はこちらをクリック
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やっぱり長くなったので、今日はここまで。
次回、5位の高橋大輔選手と、そのほか特筆したい男子選手について書きます。
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by higurashizoshi | 2013-12-28 01:01 | フィギュアスケート | Comments(0)

クリスマス、去りゆく背中

昨夜、全日本選手権の上位選手によるエキシビション「メダリスト・オン・アイス」がおこなわれた。
長い長い4日間もこれで終わり。


右足のけがにもかかわらずエキシビションにも出て、きっちりとジャンプも跳びにいった高橋大輔選手。
見ているこっちはジャンプのたびに心の中で悲鳴をあげてたけど、これがこの人なんだよなあ…
アンコールの「eye」のキレッキレの演技にも彼の決意を感じた。
大ちゃん、小塚くんをはじめほかの選手の分まで、けがを治してソチで本当の集大成を見せてくれるよね。信じてます。
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今回は不本意な3位に終わったものの、高度な技術とかろやかなニュアンスが融和した演技を見せてくれた浅田真央選手、震災への思いがつまった「花になれ」で情感ゆたかに舞った羽生結弦選手など、見ごたえのあるエキシビションプロがいっぱいだった。
ただ、楽しみにしていた町田樹選手の「白夜行」が、機材関係のトラブルで観られなかったのは本当に残念だった…。

そして初めてのトリをつとめた鈴木明子選手の、圧巻の「love dance」。
キレてるほうのあっこちゃん全開の、マグマのような熱と優雅さがあわさったすばらしい演技にまた涙。
28歳にして初の全日本女王! ショート、フリー、エキシと、唯一無二の鈴木明子の世界を堪能させてもらいました。
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たくさんの華やかな演技を観ながら、ここでもう一度その姿を見たかった…と安藤美姫選手のことを思っていた。
フリー終了後すぐに、現役引退を明らかにした彼女。
キスクラで、流れる涙を何度も何度もぬぐいながら、精一杯の笑顔を見せていた姿が忘れられない。
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次はきっと、アイスショーですばらしい演技を。
そしていずれは、有能で個性的なコーチとして活躍することを確信して。
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もうひとり、去っていく人がいた。
エキシビション終了後、放映時間があとわずかというときに、突然織田信成選手がリンクに登場した。マイクを手に、泣きながら。
「え?まさか…」と思うそばから、こちらも涙。
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「ボクごとながら今日で…」という言い出しに思わず泣き笑いしながら、ああ行ってしまうんだ今日ここで、とわかった。
あとで読んだ記事では、ソチにも世界選手権にも選ばれなければ即、引退しようと決めていたそうだ。

織田くんといえば笑顔、号泣、笑顔、号泣…。
勝っては泣き、失敗しては泣き、でもふだんは最高の笑顔を装備していて。
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信じられない膝のやわらかさで、高いジャンプのあと音もなく着氷するさまは、織田信長の末裔というより忍者の子孫みたいだった。
バンクーバー五輪での靴ひも事件をはじめ、たくさんの不運に見舞われ、ジャンプの飛び過ぎミスなど数々の逸話を作りながら、涙の淵からいつも笑顔で生還してきた彼。
神戸のチャリティーで生の演技を観たとき、滑りとジャンプのトータルな美しさに心から感動し、そのあとの募金のときに言葉をかわして、「こんないい人がこの世にいるんか!」とまた感動したなあ。

今回あっこちゃんの優勝が決まったあと、祝福に来た織田くんのほうが号泣してしまって、あっこちゃんが泣き笑いしながら「あたしより泣いてる!」ってティッシュを箱ごと渡してた。

これです
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「ノブの我先に泣いてしまう優しい気持ちが大好きでした」
と、あっこちゃんは引退のこのリンクではなむけの言葉を言ったそうだ(テレビでは放映がいきなり終わって切られてしまったけど…残念)。
満員の観客と、トップスケーターの仲間たちに見送られて引退した織田くん。
たくさんの人に愛され心配され、そしてたくさんの人を愛し思いやってきた彼らしいなと思った。

長年のライバルとして、関西大の仲間としてずっと走り続けてきた大ちゃんとのハグ。
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かつては、こんな二人でした。
まぶしいくらいの若さと屈託のない笑顔。8年前の写真。
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現役最後の「ラストサムライ」は、魂のこもったパーフェクト演技。本当に本当にかっこよかったよ!織田くん。
彼も今後はコーチを目指しているそう。
きっと教え子よりキスクラで泣き崩れて、ティッシュ箱ごと渡してもらうんだろうな…



こうして、美姫さんが去り、織田くんが去り。
ソチが終わり今シーズンが終われば、たぶん大ちゃんも、あっこちゃんも、真央さんも競技からいなくなる。
この全日本のすさまじい戦いは長く記憶されるだろうし、その後の潮が引いたようなさびしさ、フィギュアスケート人気のかげりも今から予想できてちょっと怖くなる。
いや、ソチで結弦くんがメダルを獲ったら違ってくるかな?
待って!メダルは大ちゃんに獲らせなきゃ! 
そうか、二人とも獲ればいいんだ!
などとひとりで妄想している私。

次回からやっとこさ、全日本の全体を振り返ってみたいと思います。




おまけ。
メリークリスマス!
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by higurashizoshi | 2013-12-25 17:52 | フィギュアスケート | Comments(0)

全日本フィギュア2013 戦いが終わって

おそらくフィギュアスケート競技の存在するすべての国の中で、そしてこれまでの歴史を見ても、これほどまでにハイレベルな選手たちがしのぎを削り合う、過酷をきわめた国内選手権はなかったと思う。


この3日間、テレビの前でどれだけ涙を流したことか。感動の涙、悲しみの涙。
高橋大輔ファンとしては、ショートとフリー、まさに地獄めぐりの2日間。
そのはてに地の底でうめいていたら、今夜いきなり救いの神が降臨して天上にかっさらっていってくれたみたいな、この現実感のなさにいまだにぽかんとしている。
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そして大好きな鈴木明子選手がパーフェクト×パーフェクトでついに全日本初優勝、これにも泣いて泣いて、そして優勝が決まったあっこちゃんのうれし泣きのつつましさに、また泣いて。
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安藤美姫選手がフリー最終グループに入ったこと。
サポートもなく、マスコミにバッシングされる中、子どもを守り育てながらすべて自力でここまで来た彼女のすさまじい強さを、心から尊敬した。
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安藤選手の競技人生最後のフリー演技は、高度なジャンプにあえて挑戦したものだった。望みはかなわなかったけれど、なんて彼女らしい最後だったことだろう。
自分を貫くという一点で、何をもおそれずに進むことができる安藤選手は、きっとこれからこの狭い国だけにとどまらず世界のさまざまな場所で活躍していくにちがいないと思う。


全体を振り返るのは明日以降にゆっくりやっていこうと思います。
今はただ、すべての選手の力の限りの健闘をたたえて、お疲れさまと言いたいです。
本当に本当に、すさまじい試合だった。
そして、スケートの神さまがもしいるのなら。
クリスマスを前に大きな大きな贈りものをありがとう。
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by higurashizoshi | 2013-12-24 00:56 | フィギュアスケート | Comments(0)

草野マサムネ声帯回復祈願

「来週はスピッツのライブだ!」
と前回書きましたが。
本当なら今日がその日。大阪フェスティバルホールでスピッツのツアーライブに行っているはずでした…
何度も何度も落選し、やっとつかんだチケット3枚。しかもミミは人生初ライブ。

しかしながら、草野マサムネくんの急性声帯炎により神戸、大阪公演は延期に。
すでに広島公演の2日目から急きょ休演になっていたようで、知らなかった私と娘たちは一時放心状態→真空状態になりましたが、その後さっさと気を取り直し「マサムネくんの声帯が回復しますように祈願」を個人的におこなっております。

で、その回復祈願の一環として、今日ポッカリとあいてしまった(ライブに行くはずだった)時間に、《スピッツを徹底的に歌う会》をやってきました。
ええ、世間では単にカラオケというそうですけどね。これはおごそかなる祈願なんですってば。

スピッツ、さすが古株バンドだけあって、今回のアルバム「小さな生き物」が9月に出てから、収録曲がカラオケに入るのが遅いこと、遅いこと。
前回カラオケ行ったときに「まだ2曲しか入ってないってどうゆうこと!?」と思わず機材を壊しかけた(うそです)私ですが、今日はジョイサウンドにちゃんと全曲入ってることを確認。
「これでええのや」
とふんぞりかえったのでした。
(しかし、あとで知ったところによると、12月に入ってからようやく全曲が入ったらしい。ピチピチしたバンドだったらこんな扱いじゃないんだろうなあ)

「bridge」のインタビューの写真をお借り。
近影を見るに、4人とも体型変わらず、雰囲気変わらず。ピチピチは確かに、してませんけど…
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「小さな生き物」は、3.11以降のスピッツが、特にすべての曲と詞を書いているボーカルの草野マサムネの、震災以降の思いや姿勢が詰まっているアルバム。
彼自身もインタビューなどで言っているように、ここから次のスピッツがはじまる、というくらい画期的な意味を持つアルバムだと思う。
デビューして20年以上もたつ、メンバーが40代なかばにもなっているバンドが、次の時代へ…というのもすごい話だけれども、それほどまでにアルバム「小さな生き物」はまっさらな決意と、目の覚めるようなみずみずしさにあふれている。
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震災当時、ちょうど前回のツアーライブ真っ最中で、マサムネくんがこのときは急性ストレス障害で倒れ、公演がしばらく中止になった。
震災のショックでまったく食事もとれない、動けない状態になったとのことで、「ああー当然だなあ」と私は思った。表現者としてとてもとても悔しかったと思うが、それだけ感情と身体が一致していることはある意味、表現者としてあるべき姿だとも感じられたから。


それだけに、その後回復してツアーにも復帰し、そしていよいよ次のアルバムに取りかかったと知ったときは「どんな曲を書いてくるのだろう」と息をつめて待つ気持ちだった。
そして「さらさら」「僕はきっと旅に出る」の2曲が先にシングル発売され、この2曲を私はいったいどれくらい繰り返し聴いただろう。
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よく憶えているのは、今年の5月に福島を訪れ、浜通りの津波跡から南会津までのひとり旅の最中に、ipodでひたすらこの2曲だけを聴きつづけていたこと。なぜかわからないけど、ほかの曲はまったく聴けなかったし、ずっとこの2曲を交代に聴きつづけていても飽きるとか嫌になるということが一切なかった。
むしろなんだかまるで薬のように、いや、薬というより痛いところにそっと当てるやわらかいタオルのように…その2曲を聴きつづけるのをやめることができなかった。
2曲とも震災の影響を濃く感じさせる歌詞ではあるが、マサムネくんらしくさりげなく、注意深く聴き込まなければさらっと深刻にならず聴けてしまう曲。
でも、だから救われたというか、あの旅で幾度も崩れそうになった感情を支えてくれたのかもしれない。


そして9月にやっと出たアルバム「小さな生き物」は、これまでのスピッツのアルバムとはやっぱり違うものだった。
何が違うのか、それはやはりたぶん《歌をつくることの意味》《それを人に届けることの意味》、もっといえば《歌をつくり、届ける自分が生きている意味》を草野マサムネが画然と自覚して、もう一度生き直すような気持ちでつくった作品だという点だと思う。
それにしても、ここまで再びというか新たにというか、みずみずしくなれるマサムネくんは本当にすごい人だ、と私はアルバム「小さな生き物」を何度も聴いては感嘆した。
そしてその作品を成立させているのがメンバーの演奏であり、マサムネくんの声であるわけだが、マサムネくん身体も壊しやすいけど喉も弱いのね。彼の喉の急変でツアーの途中で休演になったのは今回が初めてじゃないので。

私は、草野マサムネの作詞作曲能力とともに、その歌声は人間国宝級だと個人的に思っているので、今回もそうだけど彼が喉を壊すと「これは人類の宝(ショックのあまり国宝を飛び越えている)の危機じゃ!」とものすごく焦る。
いやまあ、単に彼の歌声がものすごく私の脳の快感中枢(?)にジャストミートして、どんなほかの声よりも私にとって治癒能力が高い…ということなんですけど、同じように感じている人はかなり多いのではなかろうか。私なんぞ、あの声が聴けなくなるかもと考えただけで残念とか悲しいとかじゃなく、恐怖を感じる。


というわけで、現在私は「高橋大輔の右足」「草野マサムネの声帯」という二大回復祈願をすることになっておるわけです。
今日は「小さな生き物」アルバム全曲を無事、きっちり歌って祈願してきたので、次はとりあえず全日本にむけて再び大ちゃんの右足回復祈願に力を入れることにしよう。
スピッツのツアーライブ広島2日目は5月に延期公演が決まったそうなので、神戸・大阪公演も同じ時期にやってくれるのではないか…と期待しつつ。どうかどうか声帯お大事に。
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by higurashizoshi | 2013-12-18 01:26 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(2)

今さらながら、グランプリファイナル

○○に行ってきました、という話が最近やたら多いのだけど、今度は福島に行ってきました。
スタッフをしている保養キャンプの同窓会で、磐梯熱海と猪苗代湖の東端の温泉地に一泊。
夏に福島から来てもらうだけでなく、こうして冬には関西からスタッフが子どもたちに会いに行き、ご家族も含めてみんなで泊まり込んで交流するのもこれで3回目。
被災の記憶風化などといわれているこのごろ(たった一昨年のことなのに!)、こうして私たちの方からも出かけて行って現地の空気や思いを肌で感じることの大切さをあらためて感じた。
なにより、子どもたちと会うと細胞がいきいきするのだ。若返る~(と思ってるだけ?)。

さて、こうしてようやく今年はもうどこへも遠くには行かなくていいぞ!と言えるようになった。
と思ったらもちろんグランプリファイナルもとっくに終わり、ついに全日本選手権の足音がヒタヒタと…

先日は大ちゃんが氷上練習を無事始めていると聞いてほっとした。もう全日本まで10日を切り、調整がうまく間に合うのだろうかと不安を抱きつつも、ただただ信じて待つのみ。
で、そんな今のうちにファイナルをちょっと振り返ってみよう。
カップル競技は結果だけでまだ内容を観ていないので(ああ、なぜにここまで遅い放映…)、シングル限定で。


今回のグランプリファイナルの焦点は、やっぱり
「羽生、チャンを破る(しかもとんでもない点で)」
ということでしょう。
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それにしてもあのフリーでの得点はいったい何だったんですかね?
確かに結弦くん、冒頭の4回転サルコウで思いっきり転倒したあとは、ものすごい立て直しぶりでミスなく最後まで滑りきった。すごい。
もう最後のスピンなんかふらふらで、足替えのときに崩れ落ちそうだったけど、この若者の気力はやっぱりただものじゃないです。身体も相変わらず細っほそながら、少し全体的に少年ぽさが抜け、しっかりしてきたような。

にしても、転倒ありのこの演技が、ほぼノーミスで全ジャンプを決めたパトリックより得点が上とは…?
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いや、もちろんプログラム自体のジャンプ構成が、後半は跳び切れればパトリックより高得点に作ってあるのは確か。しかしですよ、演技構成点までが90点をはるかに超えてパトリックに迫っているではないか。

タタとミミの意見を聞いてみると、ふたりは口をそろえて、
「それはゆづが、ジャッジに(点を)出させるからだよ」と。
出させる、というのは、もちろん裏で小判を渡したりしてるんじゃないですよ。
ジャッジももちろん人の子。今後の期待値も含め、「この子に点を出したい!あげたい!」と思わせるものが、ゆづ(結弦くん)の演技にはナミナミとあるのだというのです。
うーん、確かに。確かにね。
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パトリックのスケートは、誰が見ても本当に美しく、卓越している。
ジャンプも時に大きくミスするものの、成功ジャンプは実に安定してパワフル、ジャッジに有無をいわせない力がある。
ただ、たとえば大ちゃんのように(ファンだから言うのではないですよ)、観るものすべてを、ジャッジも含めておそらくすべてを飲み込み、感情をかき乱して奪い去るようなスケートは、パトリックにはない。

そして結弦くんには、大ちゃんとはまた違う種類の熱情、観る側を引き込む独特のパワーがそなわっている。
きゃしゃな容姿に宿る、むきだしの闘志。飛距離のある、鳥のような美しいジャンプ。持てる力のすべてを使い尽くすまで戦う姿勢。
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とはいえ、まだまだなのですがね。スケーティングの伸び、プログラムの表現力、まだまだ途上にすぎないと思う。
だから、このまだまだの時点でここまで高得点が出てしまうことが逆に心配になる。
間違いなく、大ちゃんや織田くんが引退したあと、日本の男子のてっぺん、いやたぶん世界のてっぺんをも引っ張っていく重責を負う彼。
このままの好調がソチまで続くかどうかも不明だし、まだスタミナにも不安があるし、今後の見通しが実は立てづらいんだなあ。
長く一線で戦い続けてほしいすばらしい才能だけに、完治はしない足の負傷も含め、大事にじっくり成長していってほしいと思うのだけど。



町田選手はショートでまさかの大崩れをし、フリーですさまじい挽回ぶりを見せた。
ショートで最下位になった直後、「フリーでの僕を見てください」と力強く宣言。そして翌日、その通りにフリーで実力を出し切るというのは、そうそうできることではない。
今シーズンのまっちーもやっぱり、ただものではないのだ。
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彼はオリンピックの切符を完全に取りに行く気でいる。うまくいったらとか、そういう次元でなく、自分が取らずして誰が取る?というくらいの気迫を感じる。



織田選手は今回、大ちゃんのキャンセルにより出場となって、しかもフタをあけたら3位の結果。
かなり緊張が感じられる滑りだったけれど、ミスを連発する選手が多かった中、全体にそつなくまとめることができてよかったと思う。
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彼ももちろん、ソチ行きの切符に手を伸ばすひとり。つかみ取れるだけの実力はある。
でもその実力がある男子の数が多すぎる中で、優しくナイーブな気性にみえる織田くんが、他を蹴倒して立つことができるかどうか…。健闘と運にかけるしかない。


女子については、真央さんはじめまた次回に書けたらと思います。
全日本が近づいてくるにつれ、心の震えがとまらなくなりそうでおそろしい。
来週は大阪でスピッツのライブだ!
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by higurashizoshi | 2013-12-12 23:29 | フィギュアスケート | Comments(0)

グランプリファイナル開幕そのほか

東京に行って、たくさんの人と会ってたくさんエネルギーをもらって帰ってきた。
さすがに疲れが出て、今日は龍野に紅葉狩りに、と思っていたけどおとなしく家でお仕事に変更。

その今日、いよいよグランプリファイナルが開幕した。
ショートプログラム、男子は羽生選手がちょっと信じられないような世界最高得点を出して、しばらくテレビの前で口をあけたまま絶句してしまった。
浅田選手は念願のトリプルアクセルがついに決まった、と本人も観客も、解説の荒川さんまで思ったが、回転不足の判定。でも演技全体の流れ、ジャンプの手ごたえは十分だったと思う。

フリーは男子だけは観られるけれど、女子フリーとエキシビションはちょうど福島行きと重なるので後日録画を観ることになる。
で、ペアとアイスダンスに関してはまた例によって直後はまったく放映がなく、CSでやっと放映するのが12月21日だったかな? どうしてせめてもう少し鮮度のいいうちに放映してくれないんだろう!といつもくやしい。
それにしても大ちゃんの不在を抱えたまま観るファイナルはやっぱりどこか空虚で、町田選手の大きな失敗に心を痛めながらもどうにも集中しきれない自分がいた。

大ちゃんといえば、ついこの前ネット上でちょっと驚く話を読んだ。
彼のご家族が働いている店にお客として行った人が、そのご家族から聞いた話(大ちゃんの今回のけがについて)をツイッターでつぶやいたというのだ。もちろん、たちまちデーオタ(大ちゃんのコアなファンをこう呼ぶんです)さんたちの間にそのつぶやきはコピーされ、ネット世界をすごい速さで駆けめぐったというわけ。そりゃそうだろう、みんな心配でたまらず、わずかでもいいから新しいニュースがあればと情報網を張りめぐらせているだろうから。

当然、ご家族も十分承知の上で、お客さんに話せる範囲のことだけ話されたのだろうと思うけれど、それにしてもすごい世の中になったものだなあ。と考えていて、もしたとえばですよ、《高橋大輔のけがの様子および動向》というのが政府によって秘密とされたとしたら(どういう国家秘密だ?)、それについてツイートした人は罰せられる、場合によっては逮捕されてしまったりするんだな。
いやいや、今まさに自民党の強行採決によって成立目前までいっている特定秘密保護法案という法律が施行されたら、これは笑い話じゃないのだ。

だって、「ハハハ、《高橋大輔のけがの様子および動向》が、洩らしたら罰則が与えられるような秘密のはずないじゃん!」と言ったところで、この法律では「何が秘密であるかが秘密」、つまりそれが秘密とされる理由は明らかにしなくていいってことになってるのだから、「それは秘密なんです」と国家が言えば秘密なのだ。
どう考えてもおかしな話じゃなかろうか、と普通は思うが、そのどう考えてもおかしなことが現実になろうとしているわけだ。多方面から反対の声があがり、国会周辺や各地でデモや集会もおこなわれている中、本当に乱暴なやりかたでこの危険極まりない法律は成立してしまおうとしている。

「え、なぜそんなことが!?」というような事由で、私たち一般の人たちがある日突然連行されたり逮捕されたりする、そういうことが現実に起きる世の中が近づいている。そんなはずない、だって穏当に生きてる普通の市民だもん、というのは通用しない。何が処罰の理由になるか決めるのは国家で、しかもその理由は知らされないのだから、想像もつかないことで(たとえばフィギュアスケートの世界のことであってもだ)取り調べられ罰せられる可能性はいくらでもある。
SFどころか、これはいつか来た道。はっと気づけばがんじからめ、市民がお互いを監視するような時代が来ないように注意深く聡くあらねばと思う。


というわけで、ファイナルの結果も気になりつつ大ちゃんの快癒を祈りつつで、この週末はキャンプの同窓会で福島に行ってきます。



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          「何がヒミツか、それはヒミツなの。ふふふん」
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by higurashizoshi | 2013-12-06 01:20 | フィギュアスケート | Comments(0)

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