ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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臨スポ目標達成御礼フェスティバル&関大衣裳展(その2)

さて、あっこちゃんがリンクを去っていくと同時に客席はもはや騒然。
それまでおとなしかった会場のあちこちから「大ちゃんー!」「大ちゃああーん!」という抑えがたい叫びがわき起こる。

衣装はシンプルな白シャツに黒のパンツ、ほどけたボウタイというわりと意外なスタイル。
髪がいろんな色でくしゃくしゃ(いや、お洒落なんだろうけど、すいませんねこんな表現で)。アゴひげ。オフやなー!っていう感じです。
身体は、今回ショーへの復帰に向けてだいぶ絞ったと思うけど、大ちゃん太ったり痩せたりの差が激しいので。競技でキリッキリに絞りまくってたときにくらべると、「ほわっ」っていう感じでした。でもそれがなんか、ほっとした。

新プロ披露だって言われてたけど、ほんとにそうなの?と思っていたけど、衣装を見たらほんとに新プロなんだな、と思って、にわかにめっちゃ緊張してきて。
会場のファンもみんな固唾をのんでるのが伝わってきて。
それはきっと、さあ新プロ、っていう期待よりもむしろ、震えがくるような怖さと不安も胸にためた、真空のような瞬間で。
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大ちゃんがポーズを取り、音楽が鳴りだした瞬間は、「え?」「え?」だった。
ロミジュリ?
ゆづのロミジュリ? なんでまた?

昨々シーズン、結弦くんがニースのワールドで旋風を巻き起こしたシーズンのフリー「ロミオとジュリエット」。レオナルド・ディカプリオ主演の映画のサントラを使用したプログラム。その演技中盤に使われていた曲だった。ボーカル入りなので印象はだいぶ違うけど、まぎれもなくその曲。
数ある音楽の中で、なぜよりによって、結弦くんの印象がここまで強いこの曲を?

あとになって知ったところでは、この曲は「Kissing you」といって中庭健介さんが現役時代にエキシビションで使っていて、大ちゃんはその中庭さんのプログラムも、この曲自体もとても好きだったそうだ。
それで、自分の好きな曲で、スローだし、ということで選んだんだとか。
ふはー。おどろいた。意外に、誰が使った曲とかいうことでこだわりはないのかな? 驚愕してドタバタするのはファンだけなのかな?…
(参考までに、中庭健介さんの「Kissing you」動画はこちら。曲は今回の大ちゃんと同じもの。中庭さんもとても情感あるすてきなスケーターでしたね)

と、曲の話はここまで。
大ちゃんのスケートは、やっぱりひさびさの演技で、決してキレてはいなかった。ジャンプも少しミスがあったし(跳んだだけでもう十分と言いたいくらいだったけど、本人はそんなのじゃプライドが許さないだろう)、ステップでも一度エッジが突っかかってよろめいた。
たぶん、本人が「このくらいはやりたい」と思っていたことにくらべたら、まったく十分な出来ではなかったと思う。
けれど、高橋大輔にしか出せないあの空気、会場の支配感はやっぱり圧倒的だった。
きっと、その空気にのまれる幸福感を、また再びそれを味わえる幸運を、ファンは誰もがあのときかみしめていたと思う。
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最初、私はどうしても結弦くんのロミジュリが頭を支配していたので、つい比較してしまったのだけど(なんとも濃厚でオトナな恋の苦悩!)、じきにそのことは忘れて、大ちゃんの表現する世界に没頭することができた。
彼は物語を演じるタイプの表現者ではないので、きっとこの曲に関しても、ただ音を感じるままに表現しているのだろう。一見してミヤケンさん!とわかる振り付け、まだこなれてはいないけれど、宮本賢二さんが今の大ちゃんのどんな面をうまくすくい取ろうとして振り付けたのかが伝わってきた。
これまでにないような、少しけだるく、熱量と憂いを同時に秘めたような演技。ジャンプに頼ることなく、滑りと身体の動線だけで描いていく、もしかしたらこの延長線上にこれからの高橋大輔のスケートがあるのかもしれないとふと思った。

まだ現役に戻りたい気持ちを持っているのは、インタビューからも見て取れる。
ファンだって、もしそれがかなうなら、また熱狂して迎えるだろう。
でも、加速度的に4回転至上主義へとさらに向かっていく男子フィギュア競技を思うと、痛めた右ひざをかかえ、その過酷な世界にふたたび戻って身を削ることが、この人のやるべきことなんだろうか。
高橋大輔には、もっとほかの使命がすでに示されているのじゃないだろうか。
――この日の演技を観て、初めてそう思った。そう思ったことに、自分でびっくりし、怖くなった。
大ちゃんがあのソチの演技を最後にして現役をしりぞくことが、やっぱりつらいし、耐えがたく悲しいから。それはやっぱり、そうなのだ。

そんなことを思ってちょっとボーゼンとしているうちに、アンコール。
「Eye」をやってくれました。ファンへのサービスをありがとう! かつてのキレキレすぎるほどの「Eye」にくらべると、やっぱりかなり「ほわっ」としてたけど、それはそれで今の「Eye」。本人は、終わったあとの息切れにガク然としてたかもですが、それはね、それで。
ともかく、大ちゃんのとりあえずのリスタートをこの眼で見ることができて本当に本当に、よかった。最後はそれだけでした。

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フィナーレは、臨スポ練習生が総出演の演技と、出演者や代表者のあいさつ。
大ちゃんの、色香演技とは別人のカミカミスピーチも健在でうれしかった!
フィナーレ前後のわやわや感の中で、何をどうしたらいいのかわからない大ちゃんに、素早くそして優しく指示を出してあげる、あっこちゃんのお姉さんぶりが微笑ましかったです。
ずっとにこにこしてる佳菜子ちゃん、あくまでも静かな佇まいのまっちー、リンクに立つそれぞれの個性もおもしろかった。
この貴重なリンクが存続することの大切さをかみしめながら、最後も精一杯の拍手を送りました。
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さて、このフェスティバル終了後は関西大学で開催中のフィギュア衣裳展に行ったのですが、その話は次回に。なかなか一気には書けませんなあ。もう少しおつきあいくださいね。

大ちゃんはといえば、この出演のあとすぐにカザフスタンへ。
デニス・テン選手のショーに出るため、真央さんやランビエールなどトップスケーターとすでにリハーサル中のニュースが入ってきてます。
おお、臨スポからすぐカザフに飛んだファンもいるはずですよね…。「デニス・テン&フレンズ」、どこかで放映してくれないかなあ。
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by higurashizoshi | 2014-05-29 01:49 | フィギュアスケート | Comments(0)

臨スポ目標達成御礼フェスティバル&関大衣裳展(その1)

もう2日たってしまったので、できるだけ記憶が薄れないうちに!薄れないうちに!と焦りつつ、振り返ればぼやや~んとする映像…。
これは当日ものすごく緊張していたからなのか、あまりにハラハラしすぎて神経がマックス超えてボーっとなってたからなのか。
お仕事しながら思い返しては、はっ早く書かねば!さらにぼやけて、消えてしまう!と思ってました。


大阪府高石市の臨海スポーツセンター。老朽化で閉鎖の危機にあったこのリンクが、多額の募金によって耐震工事の見込みがたった、その支援感謝のイベントでした。
5月25日、午前と午後の2回公演のうち、私が行ったのは午前の方。
高橋大輔選手の、ソチ五輪のあのフリー以来、3か月ぶりの人前での演技、その最初の回。
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臨スポ前に集まってくる人、人。
というより、女、女。
間違いなく(西岡アナ風)、99%女性でしたね。
で、今回私は珍しくひとりだったんで、周囲のおしゃべりが耳に入る、入る。
そこから分析するに、99%女性の中で、その99%がきっと大ちゃんファン。相当コアな方たちがやっぱり多かったようで、東京ことば、もっと西の方、いろいろな方言が聞こえ、「ソチに行ったとき…」とか「幕張のアリーナ席三日連続うんぬん」「カザフのツアー」などなど、大ちゃんってマダムたちの財布のヒモをどれだけ緩ませてんねん、と空恐ろしくなるようなお話が飛びかっておりました。

臨スポといえば、前回は募金のためのチャリティイベントに来たのだった。
ブログをひもといてみたら、それはすでに2年前の夏のことであった。(前記事はこちら

あのときは、まだ1億5千万円もの募金が集まるとは到底思えず、いったいこのリンクはどうなるんだろう…と思っていたものだ。
そうしたら、一般の募金ももちろん大ちゃんはじめ多くの選手や関係者の努力のおかげでたくさん集まり、しかもその中で、どっかんこと巨額の募金をしてくれた篤志家がいらしたのだ。いまだに、いったい誰だったんだろうと思う。
そのおかげで、大阪府もとりあえず(とりあえずだけど)臨スポの継続を決め、関西のスケート関係者はみなさん本当に胸をなでおろしたことだろう(もちろんフィギュアファンも!)。

そうそう、このとき初めてあっこちゃんの演技を生で観たんだわ。あのときはまだ、あっこちゃんがソチまで現役を続けるかどうかも不確定で。
しかも今回、プログラムはそのときと同じ「ラベンダーの咲く庭で」だったんだよねえ(しみじみ)… と、まあ順を追ってお話しましょう。


プログラムの最初に、このリンクで練習しているスピードスケートの選手たちが模擬演技を披露。前回もそうだったけど、なかなか生で観る機会のないショートトラックなど、とても興味深い。そしてすごいスピード!

次が、ジュニアの友野一希くんの演技。この前神戸チャリティで観たのと同じ、コミカルなピンクパンサー。
そのあとが立て続けに大物オンパレード。
今回、大ちゃん以外のひとりひとりの演技の写真が見つからなくて残念なのですが、まず最初が村上佳菜子選手。あまり観たことないフラメンコのプログラム、と思ったら、ジュニアのときに滑っていたプロらしい。短いアンコールがあって、今シーズンのエキシビションナンバーでした。(写真は過去の今季エキシビションのもの)
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あっこちゃんが引退し、真央さんが休養を発表し、来季は佳菜子ちゃんが19歳にしていきなり日本女子選手のトップに立つことになるんだなあ。
まだ本人は実感してないかもしれないけれど、競技シーズンが始まれば、そのプレッシャーは大変なものになると思う。メンタル面をいかに本人がたもち、周囲が支えていけるか。



次に滑ったのは町田樹選手。
予想はしていたけれど、オフシーズンとは思えないキレッぷりは、もはや衝撃的。
プログラムは昨シーズンのショートプログラム「F.U.Y.A」。
臨スポは会場が小さいので、私の席(一番後ろから二番目の立ち見!)からでも演技の細かいところまでよく見えた。(写真は昨季スケートアメリカのときの「F.U.Y.A」)
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まっちー、空間に描く演技のスケールと奥行きが、本当に大きくなったなあ。
そしてあの端正にして柔軟な体の使いかた、指先まで伸びきった美しい表現。ますます、彼独自の道を進みつつあると思う。
でもって、ジャンプが本当に美しい! ちょっとお手つきがあったものの、崩れるということを知らないかのような今のまっちーのジャンプには見惚れてしまう。
今、この臨スポを練習拠点として、大切に大切にしているその思いがまっすぐ伝わってきた。
アンコールは「ロシュフォールの恋人たち」。大阪エキシでフルを観たけど、これはもう新生まっちーの代名詞ですね。


はああ~とため息つく間もなく、鈴木明子さん登場。「選手」ってつけないことにまだ慣れない。
そう、二年前にこのリンクで初めて観た「ラベンダーの咲く庭で」をふたたび。
大阪エキシのときに比べ、あっこちゃんは現役引退してプロスケーターになったことを楽しみ始めているんじゃないかなあ、と思えるようなとても伸びやかで、ふくらみのある演技だった。
それにしてもこの衣装、生で観るとさらに綺麗です。(写真は昨シーズンワールドのエキシビションでの「ラベンダー」)
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リンクの氷をなめていくような、スムーズでおだやかなスケーティング。幸福感あふれるラベンダー色の世界が、観ているこちらの胸にまで広がっていく。
ジャンプに少しミスがあったことも、もはや気にならない。だってもう彼女は、得点ではかられる存在ではなくなったのだから。
あっこちゃんのように「やりきった」と思えて、次のステージへと進めるのは本当に理想の道だと思う。それを実現させたのは、めぐまれた幸運と、彼女自身の絶え間ない努力。
あっこちゃん、アンコールはひさびさ!「バーレスク」でした。懐かしかった!



で、いよいよトリのあの方の話になるのですが、今日はここで時間切れ。
次回なるべく早く書きます。あと、臨スポの後で関西大学に行って大ちゃんたちの衣装やメダルの展示も観てきたので、その話もまた。
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by higurashizoshi | 2014-05-27 18:22 | フィギュアスケート | Comments(0)

アイスダンス2013-14シーズン振り返り その2

少し間があいてしまいましたが、アイスダンスの2013-14シーズンの振り返り、その2回目です。(前記事はこちら→アイスダンス2013-14振り返り その1



ジュニアの頃から将来を嘱望され、ソチ五輪で早くも若きメダリストとなったロシアのエレーナ・イリニフ&ニキータ・カツァラポフ。
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そのあとの世界選手権では惜しくも4位に終わったものの、まだ20歳と22歳、アイスダンスカップルとしてはこれからの年齢の二人。
いざ!さらなる階段を上がり、名実ともに世界のトップに… と思っていたら、なんとこのワールド後に、カップルの解散を発表! それぞれに別のパートナーと組み替えることになった。

うーん、オリンピックでメダルを獲ったカップルが直後に解散するなんて話は、ちょっと聞いたことがないです。
エレーナの天性の身体能力、センス、演技力、そして肢体の美しさも含め、ジュニアのころから抜きん出ていて、長く組んできたニキータとの相性はまさにぴったり。ドラマチックな表現力と見るものを引きつける華やかな魅力は、この二人でこそ…と思えたのだけど。
以前は私生活でもカップルだったらしいこの二人、その後いろいろな噂は聞こえてきていたものの、まさか五輪のメダル後に解散にいたるとは思ってなかったなあ。
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カップル競技の場合、リアルカップルであることはやはり両刃の剣なのかもしれない。そもそも若い男女が組み、文字通り心血を注いで演技を完成させるこの競技において、恋愛感情がそこに存在することはむしろリスクの方がはるかに大きいといえるのでしょう。とはいえ、歴代のアイスダンスカップルで夫婦になった例ももちろん少なくないのだけれど。

結局、エレーナとニキータはそれぞれ、同じロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ルスラン・ジガンシンと「取り替えっこ」の形で組み、新カップルが結成されることに。
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つまり、エレーナはルスラン・ジガンシンと、ニキータはヴィクトリア・シニツィナと組むことになったのです。
シニツィナ&ジガンシンも進境いちじるしい若いカップルだっただけに、こちらの解散にもびっくり、さらにこの組み替えにびっくり…。

新しい二組のカップルがうまくいくことを祈りつつも、特にパワーとスケールが半端でないエレーナを、男性アイスダンサーとしては線の細いジガンシンくんがリードしていけるかというのは気になるところ。
五輪後はペアでもアイスダンスでも解散や引退、組み替えが多くなるとはいえ、今回のソチ後は驚くほどたくさんのカップルが解散を発表していて、頭がくらくらしそうです。



イリニフ&カツァラポフが解散・組み替えした以上、若手の中で突出したカップルが消え、来シーズン以降しばらくは混戦になりそうな気配。
で、その若手の中で、今はまだ上位に食い込んではいないものの、ジュニアのときから私がイチ押しで応援しているのが、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン。
まだ二人とも19歳ですが、なんでしょうこのパッションとフェロモン。
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ジュニアの試合で始めて観たとき、確かまだ16歳だったと思うのですが、
「ぬぬぬぬぬ!?」
髪振り乱す妖艶なガブリエラちゃん、男の色香ダダ漏れのシゼロンくん、その二人のアクの強いスケーティングと濃密な表現力、これでジュニアか!? 高校生~!? と唖然。魂持ってかれました。

以来、パパダキス&シゼロンの名を聞けば追いかけて、こんな写真にクラクラしながら(この倒錯的近未来衣装が似合いすぎるガブリエラちゃん)
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シニアに上がってなかなか得点が出なかったこの2シーズンもずっと見守り続けてきたのです。


こここ、これでまだ十代。どうしましょう。
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どうしても一見するとガブリエラちゃんの華やかさが目立つのだけど、このカップルの肝はむしろ男性シゼロンくんの、柔らかな鋼のような身体を駆使したオトナの滑り。彼らが今後どう成長していくのかは、本当に楽しみです。



フランス国内でいえば、長くトップを守ったカップル、前回紹介したナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザがついに引退。
彼らに次いでずっと二番手だったのがこの二人、ペルネル・キャロン&ロイド・ジョーンズ。
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元々非常に技術力の高かったペルネルさんが、前パートナーから離れロイドくんと組み替えたのが4年前。
イギリスからフランスに国籍変更したロイドくんは、当初はペルネルさんとの実力差が歴然としていてかなり苦しんでいたものの、この2シーズンほどでずいぶんミスも減り、カップルとしてのバランスがようやく整ってきた。
競技プログラムの振り付けを自分たちでしてしまうなど、セルフプロデュースにたけているキャロジョン。なめらかな絶品のローテーショナリー・リフトや、麗しい二人の醸し出す雰囲気にはいつもうっとりしてしまう。
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ただ、特に今シーズンは得点が伸びず、結果が残せないまま終わってしまったのが悔やまれるところ。ワールドの出場権をパパシゼに奪われ、ソチでも15位に終わった。
来シーズン、ペシャラ&ブルザなきあとのフランスの一番手争いに勝つのは、若きパパダキス&シゼロンか、円熟のキャロン&ジョーンズか。
パパシゼがイチ押しながらキャロジョンも応援する私としては、どちらにも勝たせてあげたいなあと思ってしまう。


次回はカナダの若手カップルについて書きたいと思います。
もしかするとその前に、ついに大ちゃんの新プロがお目見え?そうなの?という25日の大阪・臨海スポーツセンターのショーのレポートが入るかもですが。
大ちゃん、あっこちゃん、まっちー、佳菜子ちゃんも出演する臨スポ、今からチケット忘れないか、電車に乗り遅れないかと心配でしょうがない。あわあわしてます。
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by higurashizoshi | 2014-05-23 02:10 | フィギュアスケート | Comments(0)

映画「ファルージャ」とトークショー

ファルージャ イラク戦争日本人人質事件…そしてd0153627_0162088.png
2013年公開 日本
監督 伊藤めぐみ
撮影:伊藤寛 大月啓介 大原勢司
編集:伊藤誠  音楽:吉田ゐさお
製作・配給:有限会社ホームルーム


若い女性監督の、長編第一作。
初々しさとともに、監督自らの内的な課題を問う、真摯な思いが伝わってくるとても誠実な作品だった。

イラク日本人人質事件。ちょうど10年前のことだ。
ブッシュ政権の開戦決定を支持した小泉政権は、イラクに自衛隊を派遣した。
その直後、イラクに入っていた日本の民間人3人をファルージャの武装勢力が拘束。「自衛隊を撤退しなければ彼らを殺害する」という映像メッセージを発信した。
日本中は大騒ぎとなったが、すぐに小泉政権は自衛隊撤退はありえないと明言。人質となった3人の生命が危ぶまれる中、ある大臣の発した「自己責任」という言葉が拡散、次第に3人を批判する動きが高まった。
そして無事解放され帰国した3人を待っていたのは、それぞれの家族も巻き込んだすさまじいバッシングの嵐だった。「渡航禁止を破った無責任行為の帰結」「国費の無駄遣い」あげくは「死んで詫びろ」等の非難が3人の自宅への電話、ファックス、郵便などで集中。インターネットでも3人についての誤報まじりの個人情報が大量にばらまかれた。

彼らを擁護する声がかき消されるほどの、まるで日本の一部が発熱し沸騰しているような、あのバッシングに膨らんだ異様な空気を私は忘れることができない。そしてその声は、時の小泉政権の官僚たちによって強固にバックアップされたものだったことも決して忘れない。


映画「ファルージャ」は、当時人質となった3人のうち、高遠菜穂子さんと今井紀明さんの2人について、あの事件から現在までをじっくりと追ったドキュメンタリー。高遠さんが今も支援活動に通うイラク国内の現状も、なまなましく描き出している。

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特に、アメリカ軍が多数投下した劣化ウラン弾によるとみられる被害の惨状は、あらためて衝撃的だった。イラク戦争当時の、普通の爆弾とは明らかに異なる状況の遺体。それから10年近くがたち、取材に入ったひと月足らずに間にも、ファルージャの病院では次々と奇形や先天異常の赤ちゃんが誕生し、胎児の異常により何度も流産を繰り返す若い女性がいる。高遠さんは、そんな親子の支援をおこない、日本から来た医師と現地の医療のつなぎ役となったり、ファルージャの女性医師と協力して被害の現状についての調査を続けている。

監督のインタビューに対し高遠さんは、あの人質事件後に帰国したあと、家族への名指しの脅迫を目の当たりにして「自分が殺されていたらよかった」とまで思ったと振り返る。しかし、母親に叱咤されて目が覚め、再びイラクへの支援を始めたのだという。
どこの組織にも属さず、「自分の役割は、大きな支援のすき間を埋めること」と語る高遠さん。10年前の心の整理がすべてついたわけではないだろうが、今も危険のつきないイラク国内に通いつめ、誇りを持って堂々と自分の信じる道をゆく彼女の姿が心に強く残る。

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一方の今井紀明さんは、当時まだ18歳。高校卒業後すぐにイラクに入り、あの人質事件の渦中の人となった。
帰国後、見ず知らずの人々からのバッシングのすさまじさに対人恐怖症となり、家から出られない時期が続いたという今井さん。18歳という年齢で、自らの人格も行動も世間から全否定されるような経験をし、自死も考えたという彼が過ごした波乱の10年が語られる。

現在、今井さんは大阪で、主に通信制高校生を支援するNPOを主宰している。
不登校や引きこもり経験の当事者であることが多い通信制や定時制の高校生に、今井さんはかつての事件後の自分が重なって見えたのだという。
さまざまな事情から、社会に能力を認められるチャンスが少なく、自信を持てずにいる子どもたちに平等な機会を保障したいという思いから、今井さんのNPOでは高校生たちに対するキャリア教育の講座など幅広い活動を展開している。

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この日は「ファルージャ」上映後に、元町映画館の2階で今井紀明さんのトークショーがおこなわれた。そもそも、映画だけでなく彼の話を生で聴いてみたいというのが、この日私が元町映画館に行った理由だった。
私が、10年前のあの事件以来、ずっと心の片隅で気になっていた彼のその後の姿を知ったのは最近のこと。
新聞に今井さんのインタビューが載っているのを読み、彼が今何をしているのか、そしてそこに至るまでどんなことがあったのかを初めて知った。
衝撃的だったのは、彼が対人恐怖症になり、引きこもっていた数年のあと、再び立ち上がるためにしたことだった。

彼はずっと対峙することのできなかった自分の行動への批判(誹謗中傷も含む)の手紙やファックスをひとつひとつひもとき、驚いたことに書き写してまで熟読した。
そして住所の書いてあったものに対してはすべて返事を書き、電話番号が書いてあった人にはすべて電話をかけたのだという。
そこから「対話がいかに大切か」という彼の経験則ができあがった。罵詈雑言しかなかった人が、電話で話すうちに変化し、理解を示すようになってくれる。そんな経緯が多くあったそうだ。しかしそれは、彼の方から歩み寄ることでしか絶対に実現しない融和だったと思う。インタビューを読みながら、こんな勇気が自分にあるだろうか、もし自分だったら…と私は何度も考えた。
けれど、今井さんにとってそれはもしかすると、自分自身が再び生き直せるかどうかの瀬戸際の作業で、勇気などというものとは無縁の、やむにやまれぬやり方だったのかもしれないとも思う。

この日、映画のあとにトークショーに現れた今井さんは、前向きで明晰な印象の青年になっていた。現在のNPOの活動内容などを話される中に、かつての事件後のことにも触れられていたが、印象的だったのは、大阪に住むようになって「救われた」と話しておられたこと。
というのは、大阪人は彼の《人質体験》をネタにして笑い飛ばしてくれるのだという。
「北海道人の僕には考えられないことで、すごく楽になりました」とのこと。
とはいえ、今も、常に自分の言動には注意をはらっているという今井さん。現在の活動にかかわる人々に迷惑がおよばないようにと考えている、人質事件は自分にとって、一生負い続ける十字架のようなものであることに変わりはない、と話されていた。

そしてもうひとつ印象的だったのは、「いったいあの状況から、どうやって立ち直れたのか」という会場からの質問に対して、今井さんが「たまたま」という言葉を何度も使っていたこと。
「僕の場合は、たまたま周囲に救われた。家族と友人の支えに恵まれた。本当にたまたまです。それがなかったら、今も立ち直れていない。
(別の事件の加害者側家族の自死に触れて、その亡くなった)彼と僕は、同じ立場です。彼は周りに支えがなくなり命を絶った。僕にはたまたま、それがあった(から生きている)。その違いだけです」と。


振り返ると、10年前のあの事件後のバッシングは、今蔓延している《ネット叩き》のさきがけでもあったのだと思う。
標的を見つけ、プライバシーをあばき、噂を広め、徹底的に叩き、家族も含め社会的に抹殺する。その手は無責任で、冷酷で、しかも保身的だ。その手の主の、顔は見えない。
もう、今井さんが批判の手紙に返信し、電話をかけることができたのも過去のやり方になりつつあるのだろう。そうやって、いつ誰が標的にされ、叩きあうことになるかわからない社会が、みんなが望む社会だろうか。

私にとって、映画「ファルージャ」とトークショー、どちらも深く心を動かされる体験だった。この前はグザヴィエ・ドラン一気観でお世話になった元町映画館、今回もこのような企画に深謝。
あまりにいろいろなことを考えすぎて、帰路のことをあまり覚えていないほどだった。
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by higurashizoshi | 2014-05-13 00:32 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

5月。薔薇と空

めまぐるしく、くらくらと過ぎた4月が終わるころ、丸2日間寝込んだ。
激しい頭痛から始まって、なぜだか身体の上から下へと順に痛くなり、何も食べられない、起き上がれない。

これは、ときどきやってくる私のリセット。
無意識に、心と身体をこうして再生させるのだと思う。

いつも、いきいきと生きたい自分、人とつながり、前にむかって進んでいく自分と、
眼をつぶり、閉じこもり、誰ともつながらず、淵の底にうずくまりたい自分がいる。

心の底をのぞきこめば、眼がくらむほどの深さと昏さ。
生きてきたそれだけの分、贖えないことの数に茫然となる。

平気なふりで語り澄ましている自分という社会的存在が、
ぐるりと逆転して天井から無力な私を見おろしている。

そのことをじっと静かに味わっていると、だんだん時とともに受容がやってくる。
それを待つ。
起きあがる。


5月が来て、薔薇が咲いた。
空は、どこまでもつきぬけるような青。
大きく大きく、息を吐く。

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by higurashizoshi | 2014-05-07 18:26 | 雑感 | Comments(2)

アイスダンス2013-14シーズン振り返り その1

ソチ五輪のときは別として、テレビでの放映日がいつも試合終了後大幅にずれ込むために、なかなか試合ごとのコメントが書きづらく、あとまわしになりがちなアイスダンス。
しかし、何度も触れているように私はアイスダンスが大好物でありまして…
今シーズンもまた、すべての試合において(ジュニアも含め)地上波、BS、CSで放映されるアイスダンスの競技を、なめるように観戦して今にいたっております。

世間一般、シングルについてはよく知られていても、カップル競技となるとどうも日本では周知されていない。特にアイスダンスははなはだしい。
たとえば…

◆ペアとアイスダンスの区別がついてない人 →「放り投げるのがあるやつ?ないやつ?」
…これはまだ軽症。

◆アイスダンスが競技だと思ってない人 →「あれ点数つくの?どうやって?」
…確かにルールがわからないと、単にショーみたいに見えるかも。

◆アイスダンスの存在を認識してない人 →「え、ジャンプ飛ばないのがあるの?何するの?」
…この場合、《何するの》かを説明しても、なかなかわかってはもらえません。

とにかく、シングルやペアと違って、ジャンプがない競技であるアイスダンスは理解されづらい。そして、確かに素人目にはどこで点数差がつくのか、なかなかわかりにくい。
でも、そのアイスダンス、ずっと見続けているとその魅力は実に深く、スケーティングという基本の基本で勝負するおもしろさ、優美で繊細に見えて実はとてつもなくハードなスポーツとしての醍醐味に、いつしかはまってしまいます。そして、なんといっても美しい! 

競技でありながら芸術でもあるという、矛盾をはらんだ二面性も、シングルやペアにくらべ、さらにつきつめられている。
スケートが好き、に加えてもともと舞踏好き、音楽好き、衣装好き、な人間にとってはこれほどおもしろいものはない、こたえられない競技なのです。


さて。
世界選手権の中でアイスダンスに関してだけ何も書けていなかったので、きわめてきわめて遅まきながら、この2013-14シーズンに活躍したアイスダンスカップルについて振り返ってみたいと思います。

ざっと15、6組のカップルについて書くことになりそうなので、まずは1回目。

ソチ五輪のアイスダンスについてはすでに書いたので、最新にして今シーズン最後の大会、世界選手権の表彰台から。

世界選手権2014のアイスダンスの表彰台。
金メダル、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ。銀メダル、カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ。銅メダル、フランスのナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザでした。
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このワールドは、上位4組が僅差中の僅差、どのカップルが頂上に立ってもおかしくないという、まさに手に汗握る接戦でした。
4位に終わったロシアのエレーナ・イリニフ&ニキータ・カツァラポフは、ソチ五輪では銅メダルを獲得していて、今回もショートダンスでのミスがなければ彼らが確実に表彰台に乗っていたでしょう。

ソチで金・銀だった世界のトップ2カップル(アメリカのデイビス&ホワイト、カナダのバーチュー&モイア)が不在だったこのワールド。
しかもそのトップ2のうち、バーチュー&モイアは引退をほぼ表明していて、デイビス&ホワイトも来シーズンは休養かも?と言われている。
というわけで、来シーズン以降のアイスダンス界の勢力争いを予想する上で、このワールドはとても重要だったのです。


熾烈な戦いを制したのは、イタリアのカッペリーニ&ラノッテ。
長く戦ってきた彼ら、これが初めての世界選手権のメダル、しかも金メダル!
アンナちゃんの喜びの涙が忘れられません。
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時間をかけて少しずつ階段をのぼってきた感のあるこのカップル。
すでに27歳と28歳、ベテランの域に達してますが、ヨーロッパ選手権でようやくメダルを獲ったのが昨シーズン。
特にこの3シーズンくらいで非常に実力を上げてきた印象がある彼ら、もともと音感やセンスにすぐれ、エッジさばきがとてもクリーン。以前はやや演技が小さくまとまる感じがあったのですが、ダイナミックで、とても訴求力のある演技をするカップルになりました。

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でもって、とにかくアンナちゃんもラノッテくんもキュートきわまりない!
見ていてわくわくするような、イタリアらしい明るさと愛嬌いっぱいの演技に、いつも楽しませてもらいます。
来シーズンも現役続行のようなので、新しいプログラムがとても楽しみ。アンナちゃんの衣装も、いつもながら楽しみです。





ワールドで銀メダルを獲ったのは、カナダのケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ。
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これまでは、同じカナダ国内でも雲の上のヴァーチュー&モイアには絶対に追いつけなかった二人。
ケイトリンの国籍変更や昨シーズンの骨折など苦難を乗り越えて、常に大事なところでミスの多かったアンドリューもめざましく技術が向上。ひたすらな努力が実り、今回は来シーズンからカナダのNo.1カップルになるだけの威厳を見せつけました。

特に今シーズンのフリーのタンゴは出色の出来。表現の階段をひとつ大きく上がった感があります。
かつてはいささか大味な印象のあったこの二人の演技が、ここまで緻密なものになったことに感動しました。
コーチであり振り付け師である、パスカーレ・カメレンゴ&アンジェリカ・クリロワご夫妻も本当にうれしそうでした!
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ふだんの顔は明るくて気さくなケイトリンとアンドリュー、氷上では一転して濃密な男と女となって物語を演じ切るギャップがなんともいえません。
彼らが目指しているであろう、世界のトップ3に入るようなカップルになれるかどうか。来シーズンからの動向が楽しみです。





ワールドでは銅メダルだった、フランスのナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザ。
ソチ五輪での引退を表明していたのが、最後に日本のファンの前で滑りたいと、埼玉でのワールドに出場してくれました。
これが正真正銘、彼らの現役最後の姿となりました。
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フランスのアイスダンス界を長く牽引してきた彼らも、30歳と33歳。比較的選手生命の長いアイスダンスの選手の中でも、大ベテランとしてがんばってきました。
あらためて考えると、フィギュアスケート選手の現役時代って本当に短い。若くして早々に引退する選手もたくさんいるのが当たり前の世界。
その中で、故障も数々ありながら、ここまでトップカップルとして続けてこられたことは本当にすごいことだと思います。

彼らの特徴は、とにかくあか抜けたセンス、大人の滑り。プログラムも衣装も常に話題の的でした。
今シーズンのフリーの衣装(星の王子さまと彼のバラ、がテーマ!)も、間違いなく今季フィギュアスケート衣装の表彰台入りです。こんな色づかい、布づかい、ペシャブルにしかできないし似合わない!
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彼らの演技をもう試合で観られないのは本当に本当に残念です。ときどきショーに出てくれないかな? 
ナタリーはいずれジャッジに、ファビアンは指導者になるというような話を読みましたが…

彼らの去ったあとのフランスのアイスダンス界についても、また次回以降に書きたいです。
おお、まだ3カップルのことしか書いてない。
まあ、のんびりと更新していきますので、のんびりと読んでいただければ。
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by higurashizoshi | 2014-05-03 00:51 | フィギュアスケート | Comments(0)

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