ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

全米選手権2015

もはやヨーロッパ選手権が始まってしまいましたが、遅ればせながら全米選手権について書いておきます。

全米、せっかくJ-SPORTS4で生中継してくれてるのだから、なんとしてもライブで観たい!ということで、男子フリーにいたっては明け方4時前に起床、テレビの前で毛布にくるまって5時間近く観戦。
友だちに話したら絶句されちゃったけど、これがファンの醍醐味ってものでしょう。

とりあえず、シングル・カップル競技ともに表彰台から。
例年、アメリカのナショナル大会は4位までメダル授与がある決まり。
男子のメダリストはこのようでした。大方の予想通り、ついにジェイソン初優勝!


◆全米選手権男子結果◆
1位 ジェイソン・ブラウン
2位 アダム・リッポン 
3位 ジョシュア・ファリス
4位 マックス・アーロン

d0153627_181096.png
ランダムな写真ですが、みんなあまりにうれしさがあふれてるので。

今、昨年の全米について自分が書いた記事を読み返してみたんですが、今年のメダリストで昨年表彰台に上がってなかったのはアダム・リッポン選手だけですね。

そのリッポンくんが、まずは今年全米で最も輝いたひとり。
ずいぶん長く、なかなかいい結果を出せないシーズンが続いて、コーチや練習場所を次々と変えて、それでもキスクラで笑顔を見ることは少なかったリッポンくん。
すばらしかったショートに続いてのフリーでは、今回、まさかの四回転ルッツに挑んできました。
クワドルッツといえば、いまだ試合での成功例は、過去ブランドン・ムロズ選手(彼は今回全米の下位にも姿がなかったけど、どうしてるのだろう?)のたった一回のみ、のはず。
もしリッポンくんがここで成功させたら、史上2人目のクワドルッツ成功となるところでした。

なんとか着氷!ちょっと回転足りてなかったかも?にしてもアンダーローテーションどまりだろうと思ったら、ダウングレード判定…(涙)。 実に残念でした。
これがもし認定されていたら、ほかのジャンプもスピンもほぼミスがなかったことから、すごい得点が出ていたはず。
d0153627_1750312.png

それでも、クワドルッツも降り、すべてにおいてすばらしい出来だったフリーの直後、この表情!
こんなスケーターの喜びを見るのは、フィギュアファンにとってほんとうにうれしいことです。
結果、リッポンくんは2位に入り、ワールドにも四大陸にも堂々派遣が決まりました。
長い低迷のあとのこの勝利。ほんとうにおめでとう!
(必見!のフリー動画はこちら



低迷していたといえばこの人、ジェイソンと同い年のジョシュア・ファリス選手。
今シーズンのNHK杯では、ほぼジャンプが全滅で信じられない得点に沈み、この世の終わりのようなキスクラでの表情が忘れられません。
d0153627_18112333.png

ただし、ケガから復帰しての今シーズン、シャープでノーブルな滑りと表現力が格段に進化した彼。この全米ではジャンプがきれいに入り、特にフリーの「シンドラーのリスト」はこちらの心に深く訴えるすばらしい演技でした。
しかししかし。このフリーでは痛恨のキックアウト(ジャンプの飛びすぎ違反のため、ひとつのジャンプがノーカウントになる)をおかしてしまい、もしそれがなければフリー1位だったんですね!
あ~それでも総合3位にとどまれたのは実にラッキー、というほど大きな失点でした。これも経験。
(悲喜こもごものフリー動画はこちら



で、とうとう全米制覇となったジェイソン・ブラウン選手。
去年の全米でも、ソチ五輪でも、彼が《まだ四回転をプログラムに入れてないのに勝ちにいける、いまや貴重な存在》であることを書きましたが、今シーズンもクワドはまだ《練習中》とのこと。
そしてクワドジャンプなしのまま、ついに全米を制しちゃいました。アチョー!
d0153627_18204830.png

なんでクワドなしでこんなに点が出るんだろう?と気になるところですが、今回の全米は得点大盛り祭りであったとはいえ、とにかくジェイソンの場合はジャンプやスピンをはじめすべてのエレメンツで常に加点がすごいんですよね。
いわゆるつなぎの要素も含め、点を取れるところはすべて取っていく。それは巧みな演技構成のおかげでもあり、彼の稀有な能力によるものでもある。
彼のスケーティング技術の特徴は、おそらくジャッジにとっても絶対に点をあげたくなるような、滑らかでよどみがなく、非常に強いと同時に限りなく柔軟であること。
そのうえ音感がすばらしくて情感の表現も実に巧みときているので、今回のようにほぼ失敗がない演技の場合、もうこれは点をあげざるを得ないということになるんでしょうね。

ジュニアから注目してヤイヤイ言ってた身としては、どーだどーだという感じですが、さてこれからクワドを入れてどうなるのかジェイソン。全米では勝てても、残念ながら国際試合となるとクワドはやっぱり必須なので。
とりあえず、今シーズンのワールドで、《まだクワドなし》の彼がどこまでいけるかを注視したいです。
(今回のフリー動画はこちら



前回の全米王者、ジェレミー・アボット。
ソチ五輪後、一度は引退宣言したものの撤回。
そして臨んだ今回の全米選手権、これがもしかしたら彼にとって最後の全米になるかもしれません。
結果は、フリーでの得点がふるわず5位。
d0153627_19392791.png

いつもいつも息子の試合に駆けつけては、演技直前に「Go Alexander!」という《名物かけ声》を客席から飛ばしていたジェレミーのお父さんが、つい先日亡くなられたことを知ったのは、全米の実況の赤平アナウンサーのコメントから。
特にフリーの「弦楽のためのアダージョ」は、ケネディ大統領の葬儀をはじめ、追悼のために使われることが多かった曲とのこと。まさかお父さんの死の直後にこの曲で滑ることになるとは思っていなかっただろうけれど、ジェレミーの深い哀悼の心がひしひしと伝わってくる演技で、終わったあともしばらく言葉が出ませんでした。
d0153627_19374098.png
彼にしか滑れないプログラム。彼にしかできない表現の世界。
最後になったかもしれないワールドに、行かせてあげたかった。
(忘れられないフリー動画はこちら



さて、あとひとり、全米でいつも私が楽しみにしている選手を。
国際試合に出るところまではいかないけど…という個性的で素敵な選手がたくさん見られる全米選手権。
定点観測的に毎年観て、応援している選手のひとり、アレクサンダー・ジョンソン選手です。
d0153627_21332571.png

身体の使い方がバレエダンサーのように美しく、うっとりするような表現力がありながら、ジャンプの失敗が多かったジョンソン選手。
全米では15位以下にとどまっていたのが、2011-12シーズンの全米で7位まで躍進。
そのときのフリー「エリナー・リグビー」の動画がこちら。完璧な演技を終えて涙ぐむ姿が今も焼きついています。

しかしそのあと練習中に大けがを負い手術。昨シーズンまるまる試合に出られず、去年の全米も欠場で、さびしい限り…。
今シーズンは復活できたことを聞いていたので、楽しみにしてました。
フリーは「スウィーニー・トッド」。この選曲はけっこう珍しいのでは?
妖しい美しさとちょっぴり怖さも表現された、ジョンソン選手にぴったりのプロ。フリーの出来はとてもよかったのですが、ショートのジャンプでの失敗が響いて今回の全米では11位という結果。
(残念ながらこのフリーの動画は見つけられず… フリー後のインタビューのみ見つかったので、こちらをどうぞ)
アメリカは早々と引退してしまう選手も多いので、24歳の彼もあと何度全米で観られるだろう…とちょっぴり心配しつつ、引き続き応援したいです。



◆全米選手権女子結果◆
1位 アシュリー・ワグナー
2位 グレイシー・ゴールド 
3位 カレン・チェン
4位 ケイトリン・オズマンド

d0153627_2273843.png


いや~アシュリー強かった! 
不安を抱えたときの彼女は痛々しさがはっきり伝わってくるのだけど、今回の全米ではショート、フリーともにゆるぎない自信がみなぎってました。
単にエレメンツすべてが安定していただけでなく、プログラム全体の流れが圧倒的。
回転不足を取られがちだったジャンプも、きっちり回り切る形に調整してきたのはさすがです。
大人の女性の妖艶さをたっぷり見せつけた演技直後の、この子どものような笑顔とのギャップがよろしいなあ。(フリー動画はこちら
d0153627_22174796.png




3位をさらったダークホース、15歳のカレン・チェン選手。
身長147㎝、いかにもジュニアという容姿で、ルッツからの連続ジャンプをはじめ、とにかく雄大に跳んで決める、決める。
昨シーズンあたりのユリア・リプニツカヤ選手や、今回4位だったポリーナ・エドマンズ選手の昨年など、ちょうど女子のこの年齢で身体が軽く筋力のある選手のジャンプって、本当にマジカルです。
d0153627_22331383.png
そして次のシーズンあたりに、リプちゃんもポリーナも今年ぶつかっているような体形変化の壁がやってくる…かもしれない。これって、見てるとほんとうに残酷だなあと思うのですよ。女性らしい成長が競技の上で敵になるのだから…
って、まだどうなるかわからないよね、カレンちゃん。《魅せる》ことにもなかなか貪欲で、大器の予感はあるので、ともかく当面はこのまま快進撃を期待。(フリー動画はこちら

しかしまあ、今回の全米選手権、特に女子はいつもに増して点が出るわ出るわ!
回転不足を取りに取りにとりまくって多くの女子選手をどん底に突き落とした、あの全日本選手権と同じ時代の同じ基準のジャッジが点をつけてるとは思えなかったわ。
どちらもちょっと極端すぎて、国際試合とのバランスを考えると足して二で割ってほしいという感じ。



◆全米選手権ペア結果◆
1位 アレクサ・シメカ&クリストファー・クリニエム
2位 ヘイブン・デニー&ブランドン・フレイザー 
3位 タラ・ケイン&ダニー・オシー
4位 マデリン・アーロン&マックス・セトレージ

d0153627_23184399.png

なぜかペアは表彰台写真がどうしても見つからなかったので、とりあえず初優勝したシメカ&クリニエム組の写真を。
昨年の表彰台に乗ったペアは誰ひとりいない、という結果。ソチ後の激しい引退・組み換えの嵐をへて、ぐっと若手のペアや新しいペアが上位に入りました。
ちなみに4位に入ったマデリン・アーロン選手は、男子シングル4位のマックス・アーロン選手の妹です。

ペアは放映がまだなので、とりあえずメダル結果のみ。
2月に入ってCSで観てから、書けたら書きたいと思いますです。
…と、一点だけここで。

高橋成美選手とペア解消したカナダのマーヴィン・トラン選手。
国籍問題で、どうにも後味の悪い解散となってしまって、マーヴィンのその後はとても気になってました。
それが、サイモン・シュナピア選手と思いがけなくペア解消したマリッサ・キャステリ選手(前回全米で優勝したペアだったのに解散しちゃった!)とトライアウト。
そして、ほんまかいな?と思うような組み合わせ、キャステリ&トラン組が成立したのでした。
d0153627_0192774.png
で、今回の全米が初の大舞台。
ショートでは3位発進だったのだけど、残念!フリーでミスがあったらしく、最終結果は6位。
でも組んだばかりのペアとしては、まだまだこれからに期待です。写真で見ても、あまりにもそれぞれの前のパートナーとの図が脳内定着してるゆえに、今はまだとーっても不思議な感じ…
でも今度こそ、マーヴィンには安定したペアの関係を築いて活躍してほしいです。



いや~長いな。いつまで書くんだ私。
読んでる方も飽きてきたことでございましょう。
これで最後、私のもっとも愛するアイスダンスでございます。

◆全米選手権アイスダンス結果◆
1位 マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ
2位 マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ 
3位 マディソン・ハベル&ザッカリー・ドノヒュー
4位 ケイトリン・ハウェイク&ジャン=リュック・ベイカー

d0153627_23435873.png

波乱はなかった…と言っていいでしょう。
ということは、つまり今シーズン、チョック&ベイツ組は完全にシブタニ組を抜きさっているということ。
といっても、今回点差は4点もないし、若干頭打ちの時期に入っているシブシブに比べ、今はチョクベイがどっかーんと伸びる時期だということで、さらに来シーズン以降どうなるかは未定です。
私的に注目は4位に入ったハウェイク&ベイカー組。ジュニアから上がって、ぐんぐん力をつけてきた非常に楽しみなカップルです。
d0153627_23433275.png


といっても、とにかくアイスダンスもテレビですぐやってくれないから(ライストも見られなかったし)、毎年地団太踏んでCS放映を待つしかないんですだ。
J-SPORTS4で2月の9日と10日だそうですが、いつも文句たれてるけどなんでもっと早くオンエアしてくんないの~。生中継してくれる男女シングルとのこの差は何。


さて、今夜は夜中の2時から翌朝7時まで!ヨーロッパ選手権男子フリーの生中継なんですが、さすがに明日があるので泣く泣く録画して、明日思いっきり早起きして追っかけることにします。
ああ~ヨーロッパ選手権、すでに終了したアイスダンスで私の愛するパパダキス&シゼロンが優勝したらしい!
これもまた放映を観られるのはかなり先になるのですけどね…


日本人拘束事件のことをこのところずっと考えてニュースを追いつつ、無事を祈りつつ、フィギュアの話を書く私。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-31 00:09 | フィギュアスケート | Comments(0)

金沢へ

女4人で金沢へ。
真冬の北陸は、昔よく行ったころほどの厳冬ではなく、
それでもころころと変わる曇天と冷たい雨。
d0153627_19583247.png

d0153627_21284046.png



金沢の古い町家に友人が開いたカフェ、
「茶論 花色木綿」。
昨夏のオープン以来、ずっと訪ねたいと思っていた願いが、やっとかなった旅。
d0153627_204874.png

d0153627_200032.png

d0153627_19594333.png

ずっと時を過ごしたくなるような、どこかなつかしい空間。
友人とお母さんと娘さん、3世代の思いとともに、
ちいさなカフェは陽だまりのような、あたたかな気配につつまれていて。
d0153627_2011315.png

d0153627_2013860.png

私の本も飾っていただいていて、こそばゆくもうれしかった。
そして、友人が丹精こめて作りあげたこのお店が、さまざまな人をつなぐ場に育っていっている様子を見せてもらえて、胸がいっぱいになった。
d0153627_20159100.png

d0153627_21291414.png




姉と娘たちと、気の置けない女4人で、しゃべって笑って歩いて、
d0153627_2081899.png

d0153627_2083554.png

d0153627_209142.png

d0153627_2010741.png

d0153627_13413169.png
d0153627_13415976.png
d0153627_21352742.png


おいしいものもたくさん。
d0153627_21234391.png

d0153627_2124532.png


用心してほとんど呑めなかったのが実に残念なり~
d0153627_2124516.png

d0153627_2125883.png


特に、味もまごころもすばらしいお店だった「ひらみぱん」。
d0153627_21263364.png

d0153627_21392241.png

d0153627_2137161.png


古い町家を改造した「ゲストハウス白」に初泊まり。
重なった長い時と、今を生きる新しさとが溶けあった、
不思議なここちよさ。
d0153627_2123058.png

d0153627_2127268.png

d0153627_21272535.png

d0153627_21275383.png

d0153627_21281556.png


金沢は、偉ぶらず、凛として、おだやかで、
懐の深い街だとしみじみ思った。
何度でも行きたい場所が、またひとつ。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-22 21:45 | 旅の記録 | Comments(0)

20年

20年前のその日、私は東京に住んでいて、故郷のあちこちが倒壊し、火に包まれている様子を、胸をかきむしりながら、泣きながら、テレビで見ていた。
私のお腹には8か月の胎児がいて、故郷に駆けつけることもできず、ただただ無力だった。
あのときの、自分のいる地べたが全部抜けおちてしまったような気持ちは、今でも忘れることができない。

昨日、阪神・淡路大震災から20年目の日。
神戸の街をめぐり、追悼行事に参加するつもりが、思わぬことになった。
前夜からはじまった頭痛が、朝になるとただならない痛みになっていて、急きょ脳外科を受診することになったのだ。

付き添ってくれたのは、20年前お腹の中にいた長女のタタ。
ひとりで行くつもりだったのに、タタは「一緒に行く」と有無をいわさぬ勢いで仕度をして、ずっと同行してくれた。

MRIの中は、まるで棺のようだった。
その中で、大きな音がさまざまに響いて、私は目をつぶりながら、20年前のことを考えた。
そこから時をすすめて、たくさんの、たくさんのことを思い出し、そして現在まで。
私は正直に生きてきただろうか。自分に恥ずかしくないように生きただろうか。
そして、あのとき命を絶たれた人たちに対して、恥ずかしくないように。

検査室を出ると、寒い廊下でタタが待っていた。
私を見るとにこっと笑った。
いつの間にこんなに大人に、こんなにきれいな娘になったんだろう。
私は、なんだか夢からさめたようにそう思った。

検査の結果は、異常なし。
頭痛はそのあとも続いたが、少しずつおさまっていった。
追悼行事には、「私のかわりに行ってきて」と、タタたちを送り出した。

しんとした家の中で、布団にくるまりながら、思った。
生きさせてもらった。まだもうすこしいいよと言われた。
あの日、そしてそのあとにも起きたたくさんの不慮のできごとや病で、命をうしなった人たち。
きっとその人たちと私との違いは、ほんとうにわずか。
このわずかさを胸にしっかり抱いて、また明日からを生きよう。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-18 19:04 | 雑感 | Comments(2)

トム・アット・ザ・ファーム

d0153627_215253100.jpg2013年公開 カナダ・フランス
監督・脚本・編集・衣装 グザヴィエ・ドラン
原作・脚本 ミシェル・マルク・ブシャール
出演 グザヴィエ・ドラン ピエール=イヴ・カルディナル リズ・ロワ エヴリーヌ・ブロシェ マニュエル・タドロス





元町映画館でグザヴィエ・ドラン監督作品3連発を観てからほぼ9か月(そのときのレビューはこちら)。
ついに観ました、第4作。もはや麻薬です。グザヴィエ・ドランという麻薬。
と、言いたくなるほどの進化ぶり。この次に撮った第5作「Mommy」が昨年のカンヌで審査員特別賞を受賞したのは記憶に新しいところ。授賞式でドランくん、超絶キュートなスピーチを披露、審査員長ジェーン・カンピオン女史を完全に骨抜きにしたところをAXNで目撃しましたぞ!

その「Mommy」に先立つ監督・主演作がこの「トム・アット・ザ・ファーム」。
今度はサイコスリラーに挑戦、しかも初の戯曲映画化。いったいどんなものであろう。さすがに早熟の《美しき神童》も、そろそろ中だるみがきてもおかしくないぞ。前作「わたしはロランス」で、少々風呂敷を広げすぎた感もあったしな(好きでしたが)。

…なーんて思って観たら、やられました。してやられました。
ドランくん、これまでの初々しさをかなぐり捨て、また高次のステージに上がらはりました。本当にとんでもないです。
書いて、撮って、演じて、でも今回は音楽は人にまかせたり、何より脚本も共同執筆で、いろいろ学習し変化もしてるのですが、それにしても撮るのも、演じるのも、やっぱりうますぎるやろ!

カナダの著名な戯曲家の舞台を映画化した本作、ドランくんがこの上演を観て、ちょうど今自分がやりたいことと合致すると感じて即、戯曲家に映画化を切望したそう。
初期作からみるとオリジナルだけにこだわる暴走系ナルシストかと思いきや、自分の立ち位置やなすべきことを見通せる、非常に客観的な人なのだなあ。
従来3作のケレン味たっぷりのドラン色から、今作は一気に余分なものをそぎ落としたタイトな作品へと変貌。この確信に満ちた新しい映像世界、観る人を選ぶとは思いますがだまされたと思ってぜひ観てほしい。
人はなぜ支配されることに魅かれるのか、愛とはどのように残酷なのか――それらについての深淵で、たまらなく官能的で、甘く苦痛に満ちた答がここにあります。

d0153627_2214321.png

事故死した恋人ギヨームの実家である田舎の農園に、葬儀に出席するため都会からやって来た青年トム。それを迎える、ギヨームの母親と兄。
亡くなったギヨームは母親に同性愛者であることを隠し、異性の恋人がいるという作り話をしていた。そのため、トムはギヨームの単なる友人として振る舞い、サラという女性の恋人がいるという口裏を合わせなければならなくなる。

ギヨームを溺愛していたらしい母のアガットは、サラがなぜ葬儀に来ないのかと激高。一方、兄のフランシスは常軌を逸した暴力性を持つ男で、のっけからトムをあらゆる方法で脅し、母親を落胆させないための芝居を続けること、そして母親を喜ばせる名目でこの農園に滞在し続けることをトムに要求する。
アガットとフランシスの間にあるあやうい均衡、次第に暴力と支配性を増していくフランシス、まるでトムは獣の中に迷い込んだ子羊のよう。しかも、恋人ギヨームを失って虚脱に陥っていたトムは、次第にみずからこの錯綜した関係のさなかへと足を踏みいれていく…。

d0153627_220013.png

携帯電話も通じない、孤立した農園という空間。
いくら車を奪われ、暴力で支配されているとはいえ、逃げるチャンスがないわけではない。
それなのに、トムはなぜ逃げ出さないのか?

トムを虐げつつ愛でるフランシスの残酷な官能性、一触即発の二人の関係も怖いし、共依存におちいる快感に染まっていくトムの壊れっぷりも怖い。
しかし一番怖いのは、フランシスの暴力性もギヨームの行状(のちにあきらかになってくるような)も、愛情という衣をまとった底知れない母親のエゴイズムから端を発しているのだということ。それが、物語が進行するにつれ、観客にじわじわと沁みてくる。

はたして、トムは生き残ることができるのか。ここから逃れる未来がありうるのか。
そこに第4の人物、偽の恋人であるサラが農園に現れ、物語は思いがけない方向へと舵を切っていく…。


人里離れた場所に主人公が囚われ追いつめられる図式や、トウモロコシ畑での緊迫(『北北西に進路を取れ』)、シャワールームでの驚愕(『サイコ』)等、あからさまにヒッチコックをはじめとする古典的サスペンスへのオマージュが満載と見えるものの、パンフレットの解説によればドランくん自身はヒッチコック作品を一本しか観ていなかった由。
むしろこの作品の肝は、心底から同性愛を嫌悪し、他者を暴力と性で支配することに依存する男フランシス(母アガットも根はまったく同じ)と、フランシスに支配され生殺与奪すら握られてしまうトムの関係が、決して単色ではないこと。
フランシスの、亡き弟に対する激しい執着自体、性の匂いをまとった愛憎のせめぎあいを感じさせる。フランシスにとって、トムは弟ギヨームの身代わりでもあるのだ。

たとえば、フランシスとトムが納屋でダンスを踊るシーン。
これから何が起きるかというひりひりした緊張と恐怖に満ちているのに、このシーンは異様に美しい。モンスターのようなフランシス、被虐に憔悴したトム、その二人が身体を寄せ合い、ひたすらにタンゴを踊る。
そこにあるのは、支配―被支配という単純な図式でははかれない、つかの間の愛の形なのではないか―― ダンスの間に語られるフランシスの言葉はあからさまで残酷なのに、そんなふうにすら感じさせられる。観ている側も息を止めて二人を見つめるしかない、忘れがたい場面だ。

d0153627_22115769.png

ドラン作品に欠かせない音楽、今回はとてもひかえめながら、名匠ガブリエル・ヤレドがスコアを書いたサウンドトラックが非常に効果的。
そして冒頭の「風のささやき」(往年のサスペンス映画『華麗なる賭け』の主題歌。そのフランス語版で、ここからぐっと引きこまれます)、そしてエンディングに流れるルーファス・ウェインライトの「Going to a town」が、おそろしくいいです。

ルーファス・ウェインライトについてはほとんど知らなかったのだけど、この曲にすっかり惚れ込んで(私の大好きなmuseの曲に似てるということもあり)、以来ネットで探しては聴きこむ毎日。それだけでは飽き足らず、ファーストアルバムも中古で購入。今まで知らずにきたのが人生の損失と思えるほどすばらしいアーティストだ!

それにしても残る謎は、最後にフランシスが着ていたUSAシャツ。
ラストの「Going to a town」で繰り返される歌詞「I’m tired of America(アメリカにはうんざりだ)」とともに、他者を支配するもの=アメリカ合衆国という主張なのだろうか?
ドランくんの考えをぜひ聞きたいところです。
そして元町映画館さま、第5作「Mommy」も日本公開となったあかつきには、どうか早めの上映をお願いします!
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-15 22:17 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

STARS ON ICE 2015 大阪公演(後半)

さて、「スターズ・オン・アイス2015」大阪公演初日、昼公演。休憩をはさんで後半です。

後半最初は、オリジナルメンバーによる(大ちゃん、あっこちゃんはなし)真っ赤な椅子を使ったグループナンバー。
スピーディーな音に乗せて入れかわり立ちかわり、椅子とともに滑りながら舞っていくスケーターたちの、艶めいたスリリングな技にどきどき。いやー、あざやかです。プロフェッショナル!
椅子の足にスケート靴ついてんのかしら。それともロウでも塗ってる?などと、どうでもいいことを真剣に考えつつ観る。



つづいては、全日本女王なりたて!まだ湯気がゆらゆらしてる宮原知子選手登場。
d0153627_23382171.png
でも、まるでうわついたところなく、いつもながら丁寧に丁寧にプログラムをこなしていきます。余計なものがない、シンプルかつ美しいスケーティング。
知子ちゃん… 歯の矯正がとれて、背が伸びて、どんどん美女スケーター化していくのを妄想してるんですが、どう?(どう?ていわれても困るよね!)



で、次が今回直前にインしてくれて楽しみにしてた方!
小塚崇彦選手です。
全日本でのガッツポーズ!ガッツポーズ!信夫&久美子コーチのガッツポーズ!
おかえりなさい、どころじゃなく、ググッといきなり来ましたよ、小塚くんは。今季エキシプロのファルーカでした。
d0153627_23533620.png

こんな色っぽくてキレまくってて、どきどきさせる小塚崇彦ってありですか?反則ちゃいます?
ただただ、「かっこええ…」という吐息しか出なかった。客席も大興奮!



待ってました、あっこちゃん! しかもやっと観られたぜ、ツィゴイネルワイゼン!
d0153627_2354536.jpg

ジャンプもしっかり入り、とにかく気持ちよさそうに滑ってた。ぐーっと客席を引き込み、パーンと笑顔で突き放すようなところ、あっこちゃんにしかできないよなあ。
「月の光」かなあと思っていたけど、ツィゴイネもうれしい! やっぱりあっこちゃんのスケートには、生きる歓びが満ちてる。



次は、メリル様とカーズ弟のジョン、そしてアゴストくんの3人のナンバー(女王様と2匹の忠犬…むにゃむにゃ)。
やっぱりアイスダンサーの身のこなし、スケーティングの美しさは際立ってます。ただただうっとり。そしてメリルの風格が凄い。



エカテリーナ・ゴルデーワ。
彼女の演技はプロスケーターとして、テレビで何度も観たことがあった。北米のアイスショーの常連で、いつまでも衰えない技術と美貌の持ち主。(写真は過去のショーからのもの)
d0153627_04824.png
88年カルガリー五輪、94年リレハンメル五輪と金メダル二冠を達成したソ連の伝説的ペア、ゴルデーワ&グリンコフ組。
2人は結婚し、公私ともに最高のパートナーとなった。プロとして華やかに活動を始めた95年、セルゲイ・グリンコフは心臓発作で突然逝去。ゴルデーワは幼い娘をかかえ、シングルスケーターとして再出発し、そして40代になった今も滑りつづけている。

彼女がイリヤ・クーリックと再婚して世間をあっといわせたのも、もう十年以上前のことになる。クーリックとの出会いは、このSOIでのことだったとか。
テレビで観ていたときは、ああ、あのゴルデーワだ、今も綺麗だなあ…くらいにしか思っていなかったのだけど、今回生で観て、ものすごく引きつけられた。
さすがソ連時代に鍛え上げられた基礎技術、体幹のすばらしさ。そして何より、人生の深みを感じさせる、やわらかくて魅力的な演技だった。「見果てぬ夢」の音楽世界が、ぐーっと心に迫ってきた。やっぱり演技って、人なのだ。年齢を重ねてこそ出せる美があるのだ。



で、次がパトリック。
スイスイスイー、たりらりらーん、もう僕は滑るのが楽しくてたまらないんだよー♪というノンストレススケーティング。
d0153627_0113821.png

今回、ついに来季競技に復帰を宣言したと聞いたぞ!うれしい、うれしい。どんな厳しい道のりかを十分わかった上で、戻ってくることを決めたパトリック。応援します。



タニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴスト組は、予想外のコミカルナンバー。
欲をいえばタニス様の美神ぶりを堪能したかった~。それにしてもアゴストくんて、ほんとにいつもにこやか。この二人もプロ復帰してくれてよかったなあ。(写真は別のショーでの同プログラムのもの)
d0153627_0164333.png




続いてエヴァン・ライサチェク選…手? 
ライサって引退してないよね?した? よくわかってません私。(写真はファンサイトからお借り)
d0153627_0511754.png
いつ見ても黒衣装で、いつ見ても細長い人。で、ブラックスワン。しゃっ!とジャンプ飛んで、かち!と音に演技をはめ込んで、手足まっすぐ。
ダイナミックにして細やか、生で初めて拝見したけどやっぱりオーラあります。ジャンプも遜色ないです。これからもショーだけで活動していくのだろうか。



メリル・デイビス&チャーリー・ホワイト。
「Say something」だった~。もうね、余裕ですね、すべてにおいて。
スケーティング、表現… 洗練のきわみというか、無駄なところも過剰なところも一切ない。しっとりしているけど湿ってない。情感というより練りに練られた精緻、最上質のエキシプロとはこういうものをいうのでしょう。
光り輝く宝石を間近で見るようなおそれ多さを感じつつの眼福。寿命が延びたな!
d0153627_0343521.jpg

以前は演技において、メリルの並はずれた巧みさにくらべチャーリーの素朴さがどうしても目立っていたこのカップルですが、チャーリーも大人になりましたね~。
ここまで頂上をきわめて、さてこれから彼らはどこを目指すのでしょう。競技の場に戻るという選択肢は、万に一つもない…?



トリは浅田真央選手。まだ選手と書けることにやっぱりほっとしてしまう。
d0153627_0182022.png
クリスマス・オン・アイスと同じプロでした。今回、ジャンプはちょっとお留守になったけど、真央さんはとっても楽しそうに、アピールたっぷりに滑ってました。自由を味わい、人生を考え… 彼女もどんなふうになっていくのかなあ。
ここまでいろんな意味で《選ばれし者》である人は、なかなかいないと思うので… その重圧に負けず、自分らしく進んでいってくれたらいいなと、弾けるような演技を観ながら思いました。



フィナーレ。オリジナルメンバーがゲストスケーターを呼び寄せる形で、最後は全員が氷上に。
大ちゃんもノリノリで楽しそう。しかも、ちゃんとメリルの隣をキープ!
d0153627_0185970.png
まだこれから夜公演があるから、みんな大変だけど… そして大阪→東京と、楽日までどうかケガのないようにがんばってください!
d0153627_0192288.png

正味2時間ほどの公演、もう夢見るように、ほんとにあっという間に終わってしまいましたよ。
最後に大ちゃんの演技をもうひとつ… なんて期待してしまったけど、これはSOIですもんね。
大ちゃんも、ここではメンバーの一員、特別扱いはなし。そうだよね~と思いつつも、さびしい。SOIのせいじゃなく、やっぱりさびしい。
大ちゃん、神戸チャリティーはどうすんですか~!
と、ついつい心で叫んでしまうのであった…


まあこんな感じで、私の初「スターズ・オン・アイス」、初アリーナ体験は終わったのでした。終わったあとしばらく、眼の中がキラキラしてた。まずいわ。アリーナがくせになったら!破滅への道まっしぐら!
でもでも、やっぱり楽しかった。もう少し(もう少しだけかよ)がんばれそうな気がしてきた。ああ、心落ち着けて、地味に貯金しなければ。


またまた例によって、まったく専門性のないだらだらと長いレポを読んでくださった方、ありがとうございました。なんでこう長くなっちゃうんでしょう。ま、自己満足自己満足。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-12 00:54 | フィギュアスケート | Comments(0)

STARS ON ICE 2015 大阪公演(前半)

昨日1月10日、「スターズ・オン・アイス」大阪公演初日。
行ってきました、観てきました!の報告をはりきって書きたいところですが、遅まきながら大ちゃんのオフィシャル本の新刊「2000days」の内容の一部を知り、この春から大ちゃんはスケート以外の目的のためにアメリカに長期にわたり行ってしまうらしい…ということを当日知りました。

そんな話はちらほらあったし、スケートから離れたいという声も聞いていたし、でもついこの前の「クリスマス・オン・アイス」では、来年もまたこのショーをやりたいと言ってたよね? それに、神戸チャリティは置いていかないよね? などなどと、自分の頭をそっち方向にいかないようにしてたのだけど。

それでも、いずれ戻ってくることは考えているかも。
いやいや、感性第一の彼のことだから、すべては流れにまかせる、まったくの白紙の状態になろうとしているのかも。
…考えたって人のことなんだからわかりっこないのに、ぐるぐるとそんなことを考え、そして昨日観た昼公演の「I’m kissing you」が、もしかしたら大ちゃんの演技を生で観る最後だったのかもしれない… 少なくとも《今の》高橋大輔の見納めになるかもしれないんだな、と思うと、いろいろ覚悟はしていたもののやっぱり胸しめつけられて。



うう。気を取り直して、私が観た「スターズ・オン・アイス2015」大阪公演初日、昼公演のレポートをざっくりと。(以下、写真は注釈ない分はすべて当日のものです)
d0153627_15192585.png

私にとっては、去年の世界選手権大阪エキシビション以来の、なみはやドーム。
すごい人でした。
d0153627_15201118.png
このころは、緊張でボーっとしてましたわ。
だって生まれて初めてのアリーナ席ですもん。
ものすごいごうきゃカスト、じゃなかった、豪華キャストですもん。
大きな声では言いたかないが、アリーナ、24,000円ですよ。母娘で×3ですよ。自腹を切ったのではないとはいえ、こんなことしちゃっていいのか私たち。ていうか冷静に考えて、法外すぎないか日本のフィギュアのチケット。
アリーナ席に座ってからも、周りのお客さん見て、「この人もこの人も、にまんよんせんえん…」と考えるのが止まらない。

とか思ってふとわれに返ると、寒い、寒いよパトラッシュ!
なみはやドームのアリーナ席、極寒!

そうか、今までスタンド席しか経験ないからね。リンクに近い=寒い、そりゃ当然だ。スケーターはもっともっと寒い氷上で、コスチューム姿で演技するんだもんなあ。そういや、スタンドとはいえリンクに近い神戸チャリティとか臨スポフェスはかなり寒かったよねと思い出す。
ダウンとひざ掛けでしっかり足をくるみ、開演を待つ。クールでゴージャスな北米仕様の「スターズ・オン・アイス」とは、生で観たらどのようなものか。そして大輔さんのプログラムは何だろか。どきどき…


オープニングのグループナンバーの美しかったこと!
まずスポットが当たったのはパトリック。ああ、このスケートが近くで見られるとは!
もはや快感装置以外のなにものでもない、極上のクリームのような滑りをいつまでも見ていたい。…と思う間もなく、美の化身・タニス様が目の前に。
(当日お写真はありませんので美を感じていただける一枚を)
d0153627_15294387.png

タニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴスト組、バンクーバー後に引退してからも衰えはまったくない様子。今回は新婚ほかほかのチャーリーと一緒に来日したんですね。

そのチャーリーのエスコートで、華やかな威厳をまとって登場したメリル様。すべてのパートナーを忠犬にしてしまうような女王オーラ! 身のこなしのひとつひとつに自信が満ちあふれている感じ。メリル・デイビス&チャーリー・ホワイト組、現役復帰はもはやないのかなあ…
こちらがアメリカ版「STARS ON ICE」の広告お写真、メリチャリメイン。
ライサがちょっと亡霊ちっく。
d0153627_15231131.png


オープニングに入った日本のスケーターは大ちゃんとあっこちゃんの2人だけ。
あとはすべて、エヴァン・ライサチェク、ジョアニー・ロシェットなどメダリスト多数のSOIオリジナルメンバー。
やっぱり日本のショーとはひと味違う、プロとして群舞を見せるにことに徹したグループナンバーで、みなさんキレキレでものすごくかっこよかった! 振り付けのジェフ(ジェフリー・バトル)をスタンド席に発見しましたが、相変わらずええ仕事してはります。今回は黒子に徹しているのね。


オープニングにつづいて、最初のプログラムは私の大好きなシニード・カー&ジョン・カー組。
今回は姓が「ケアー」って表示されてるのはなぜかしら…。ただでさえアイスダンスカップルの名前って日本で認知度低いのに、《カーズ》として記憶されてた方にもわかりづらいのでは?(写真は現役時代のもの)
d0153627_15313970.png

で、カーズと言わせていただきますが、変わらないシャープな滑りと、切れ味がよくて知的な表現力は健在! ひさびさに観られて(しかもこんな近くで)ほんとにうれしかった。


このあと、無良崇人選手、元全米女王のキミー・マイズナー、高橋成美&木原龍一ペア、元全米チャンプのライアン・ブラッドリー、村上佳菜子選手、織田くん、ジョアニー・ロシェット、と立て続けにどんどこどんどこ進んでいきます。いやー、なんとサクサクいくことよ。

「スターズ・オン・アイス」はテレビでしか観たことなかったので、アナウンス皆無、暗転→出演者がすでに氷上→演技→暗転、ていうこのサクサクぶりがリアルにわかってなかった私。

で、ジョアニー終わって暗転して、次にいきなり氷上にポーズとった大ちゃんがスポットライト浴びて立ってて、
「ちょ、ま、もう!?え?」
d0153627_1532495.png


「I’m kissing you」でした。
忘れもしない、あのソチ後はじめて滑った神戸チャリティ。
泣きたくなるほど未完成な、でもあのころの大ちゃんの、もう一度なんとか人前で滑ろうという必死の思いがあふれていた。
あれから9か月。 身体をふたたび絞り、滑りこみ、別世界のごとく洗練された「Kissing you」がそこにありました。

d0153627_112181.png

もうクワドに苦しめられることもなく、トリプルジャンプをまるで空気を含んだように柔らかく決めていく。すべてのエレメンツがプログラムの中で溶けあい、音楽の中に自分を流し込み、自在に奏でる。これが今の大ちゃん。
ふたたび、そしてまた新しく、こんな地平まで来ることができたのに…
このスケートを封印してしまうのだろうか。


前半の最後は、この世のものとは思えないテッサ・バーチュー&スコット・モイヤー。
彼らのスケートを生で観るのは3度目ですが、もちろんこれまでで最高の近さ。
(当日の写真見つからず、過去のものですが)
d0153627_15432764.png

この二人の、スケーティングの美しさはいうまでもなく、奇跡的なのは互いの呼吸どころか鼓動すらぴったりと合っているようなユニゾンぶり。「合わせる」のではなく、生まれながらにして整合するべく運命づけられたかのような、稀有な調和。
そして、メリチャリの二人があくまでも《演技する最高のチームメイト》であるのに対し、テサスコから感じるのは男女の、ときに官能的、ときに慈しみあうような深い愛。だけどリアルカップルじゃないんだよね。それがまたすごいことだ。
今日はこんなに近くで演技を観て、うっとりというよりも、神々しいものを前にしたような敬虔な気持ちにさえなりました。


ほかに前半組で印象的だったところのメモ。

無良くん。「Feeling good」。
d0153627_1533345.png
滑りが変わった!やっぱり変わって、ひと蹴りが伸びて、美しくなった。そして色気がダダもれ。その点もほんと、変わりましたね。
同じ高さから見る無良アクセルは、迫力とかっていうより、地球の重力無視でした。


佳菜子ちゃん。オペラ座SP。
全日本でのつらさとその後の決意を知ってる客席からは、大拍手と歓声。
彼女の中で、ほんとうに何かが変わっていくような… そんな予感を抱かせる、すみずみまで心のこもった美しい演技でした。ジャンプもしっかり入ってた。


織田くん。まさかのピアソラ「アディオス・ノニーノ」。
d0153627_15335385.png
これ、現役時代なら彼は絶対やらなかった選曲でありプロであると思う。似合わなかったと思うし。ところが今、似合ってるんだなこれが! かっこいいじゃん、色っぽいじゃん、どうしちゃったの織田くん!(信成ファンのみなさん、お許しを~)

あとはライアン・ブラッドリーの立て続けバックフリップの衰えなさ、ジョアニー姉さんの色気と巧さにひたすら感心し、キミー・マイズナーにはスケーターの栄枯盛衰を思い、その後も息長くがんばりつづけてるんだなあ…と感慨深かった。


後半組からは、続けて更新します。とりあえず一回仕事せんと。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-11 15:50 | フィギュアスケート | Comments(0)

関大特別展、行ってきました

というわけで、厳寒の中を行ってまいりました。
はるばると関西大学へ、大ちゃんの引退記念の展示を観に。

1月17日までなので、自分のスケジュール的な理由と、あと大阪開催の「スターズ・オン・アイス」日程前後は大ちゃんファンでごった返すことを見越して、この日しかない!ということで行ってきました。

で、今、記事のタイトルを書こうとして、あらためてこの特別展の正式名称を見直して…
うーん。

「関西大学 年史編纂室 特別展 勇気と感動をありがとう!高橋大輔さん」
d0153627_18431694.png

いや、悪くないんですけどね。このしみじみ感。
もうちょっと、も少しだけ、スタイリッシュにならないものかなって…
あ、せっかくこんな素晴らしい展示を企画実行してくださった関大関係者のみなさん、すみません。
文句はもうやめて、レポートします!


さて、関大に行くのは去年の、まっちーと織田くんとの3人衣装展以来。
広い広いキャンパスをひたすら歩き、関大博物館にたどり着いたものの…
d0153627_18571570.png

人影はまったくなく。
何の表示もなく(3人展のときには外に表示が出ていたのだが)。
そこにはただ、冷たい風が吹いているだけ。

(ほ、ほんとにやってるんだろうか?)
日程を間違えたとか、場所が違ってたとか、とにかく自分を信じない私としては不安がむくむく。

おそるおそる中に入っても、だーれもいません。
で、階段の下にチラシが貼ってあって。
d0153627_18573682.png
「や、やってるんだー!」
なんというたそがれ感、じゃなくて、つつましさよ。

階段のぼって、2階に行ったらば、それでもぼちぼちと人はいました。
開催から日もたったし、かといって終了間際ではないし、人出の谷間だったのでしょうね。いいチョイスだったかも。

あ、それと今回の展示は写真撮影OKなんですよ。すごくうれしい。
商業目的以外なら写真公開も可ということなので、順に紹介します。
d0153627_18564596.png


「道」衣装だー!
眼に入ったとたん、胸がいっぱいに。
「マンボ」に「道化師」に「ビートルズメドレー」2種に…
d0153627_1955053.png

おそれおおくも、あのバンクーバーの銅メダルもあります。
隣には、バンクーバー後の世界選手権の金メダルも。
d0153627_196676.png

当時《ぬれせんべい》とか言われてたメダル。
実際見たらすごく大きくて、そして美しかったです。
これがあのとき、大ちゃんの首にかけられたんだなあ~と思うと感無量。
d0153627_1962380.png

ウール製のメダルケースも、シックですてきです。(スカーフのたたみ方の適当感がたまらん)
d0153627_1972521.png


「道」のバンクーバー衣装。
実際に見ると、ベスト部分がちょっと和な模様入りの絹地と、スパンコール付きのベルベットで構成されていて、とても美しい。
d0153627_1915934.png

バンクーバーのあのフリー。私が生まれて初めて、フィギュアスケートを観て泣いた演技。
演技中、この首もとのスカーフがなびいていたのをまざまざと思い出すなあ…



もはやなつかしい、2010-11年シーズン「マンボ」衣装。
マンボ衣装でも、これが一番ハデなやつですね。こんなコスチューム似合う日本人選手、ほかにはいないわ。
胸の黒レースも繊細で、細かいところまで神経を使って作られているのがわかる。
d0153627_19411635.png



これは前回の展示でも見た、「ヴァイオリンのためのソナチネ」衣装。
紫がかった墨色のグラデーションやアンシンメトリーなデザインが美しい。そして細いー!
ぎりぎりに身体を絞り込んだ、鬼気迫る昨シーズンの姿を思い出してなんともいえない。
d0153627_19442897.png



最初の「ビートルズメドレー」衣装。
初披露のジャパンオープンのときのもの。このときはいろんな意味で不安だったなあ…
ジョーゼットの綺麗なシャツブラウスだけど、ちょっと薄すぎたのか?このとき限りでしたね。
d0153627_19234121.png


この写真が二代目衣装だったかと。NHK杯かな。いい表情だなあ…
d0153627_1927313.png


で、これはたぶん三代目?の「ビートルズメドレー」衣装。
ビートルズ衣装は、変遷激しかったもんなあ。
少し厚みのある生地にドレープが美しい。さらにスパンコールで華やかさアップしたやつね。
d0153627_19342892.png

ソチでの濃紫のビートルズ衣装は前回の展示で見たけれど、いまだにソチのフリー演技の録画を見返すことができない私。
でも、そういう気持ちもそろそろ吹っ切らなきゃなあ、と思う。



さて今回の6点の衣装それぞれに感慨があったけど、衣装として一番感動したのはこれ。
2012-13年シーズンフリー「道化師」衣装。
d0153627_19583988.png

道化師衣装もずいぶん変遷があって、これは最初のロシア衣装から、いつものデザイナーさんの衣装に変わってからの完成形ではないかな。

あの伝説の全日本フリー演技。
忘れもしない《ラストで羽根がハラリ事件》で、デザイナーさんは寿命が縮む思いをされたとか。
(どんなんだっけ?と思われた方はこちらをご覧くださいまし)
これはそのあと、羽根づかいをやめて改良したタイプでは?と思う。
背中も見られるようになっているけど、色とりどりのビジューがふんだんに使われていて、サッシュベルト風のウエストや上半身のドレープのつけかた、切りっぱなしのレースの重なりも効果的。袖口も右と左でこんなふうに違う。ほんとうに美しい衣装で、何度もいろんな方向から見てしまった。
d0153627_01265.png
d0153627_20253795.png
d0153627_20255356.png



今回、会場には感想ノートというのがさりげなく置いてあって…
開いてみると展示を観に来た大ちゃんファンのみなさんの思いがつづられていて、すごい熱量!
もはやこれは展示の感想ノートじゃなく、大ちゃんへのラブレター帳ですな。

いや~どうしようかなあ、と思ったけど、ちょうど人も少なくてノートの順番待ちもなかったので、私も書かせてもらいました。
何を書いたかって… ほほほ、そんなん口がさけたって言えませんよ。
でもね、もちろん高橋大輔さん本人が読むかわかりませんが、この展示を観て、そしてこのノートにメッセージを書いたことでずいぶん自分の中で腑に落ちたというか、区切りがついた気がしたのです。
自己満足とわかってるけど、それでいいのだ。

スペイン旅行の後半、ネットがつながらなくなって大ちゃんの引退を知らず、帰途にフィンランド乗り換えのとき空港で友だちから間の抜けたメールが来ていきなり知った、あの瞬間。
あれからどこかで感覚が止まったままになっていた気がして、帰国してから触れた引退関連のたくさんの報道も、なんだか現実感がなくて。

引退するだろうということは覚悟していたし、でもこんな途中の時期とは思っていなかったし、おまけに自分がまさかの海外に行ってる間に起きたことで… どうやって受けいれたらいいのかよくわからなかった。
私は熱心なファンではあると思うけど、《スケーターとしての高橋大輔》に特化したファンなので、彼が滑らなくなってしまったら自分の中の感情は終わり、すべては過去になる。
もちろん大ちゃんには彼の人生において幸福でいてほしいと思うけれど、スケーターでなくなった大ちゃんを追いかけることは、きっとないと思う。
ここまで誰か特定の人の表現に引きつけられ、好きになったことはないというくらい、私は彼のスケートに夢中になってきたし、その「夢中」が少しでも長く、できることならずっとつづいてほしいという、ありえない願いを持ってしまっていたのだろう。
そんな自分をちゃんと覚醒させて、現実と向き合うことをしなければと、この2ヶ月あまり考えてきた。

だから、今回この展示を観にきたのは、私の《大ちゃんの引退という現実と向き合う》作業のひとつ。
これを終えて、ひとつの区切りを自分の中でつけてから、10日の「スターズ・オン・アイス」に行って《プロスケーター高橋大輔》をしっかり受けとめようと思った。
今後、大ちゃんがプロとして当面滑り続けてくれることをもちろん望むけれど、それもまた彼とその周囲の人たちが決めること。
少なくとも、競技者としての高橋大輔を観ることは、もう二度とない。
だからこそ、これまでの試合での彼の姿のひとつひとつ、演技のひとつひとつを大切に記憶していくんだと思う。

あとにも先にも二度とあらわれない、偉大なフィギュアスケーターの戦いとして。
そして競技という場にしか出現しない、命を削って作りだされた芸術作品として。

そう自分に言い聞かせながら帰る道々、なんだか泣けてくるような、ちょっとすがすがしいような、不思議な気持ちで空を見上げた。




さて、明日はいよいよその「スターズ・オン・アイス」大阪公演初日。
生まれてはじめてのアリーナ席で、高橋大輔さんを観てきます。
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-09 23:39 | フィギュアスケート | Comments(2)

七草 ~追記:今年の年賀状

あっという間に七草。
すっかり忘れていて、昼間スーパーの売り場でパック売りの七草を見て思い出し、夕食におかゆを作ってギリギリセーフ。

今年のお正月は家族や親族と過ごしたほか、すっかり遅れた年賀状書きに追われ、今日やっと全部出し終わったという…

うちのおせち。
今年は栗きんとんが絶品の出来で、黒豆はまだまだ修行が足りん感じ。
d0153627_08012.png

スペインへの旅で知り合ったカタルーニャの知人によると、スペインでは1月6日にクリスマスの後半?という感じでプレゼント交換をするのだそう。6日は、いわゆる東方の三博士(キリストの誕生を祝いに贈り物を持って訪れた三人の男性)を記念する日なんだとか。
メール賀状のやりとりで、そんなことを教えてもらったり。

自分へのお年玉は、年末に録画しておいた「クリスマス・オン・アイス」をテレビで観たこと。
ささやかすぎる?  いえいえ、3日後には大阪に「スターズ・オン・アイス」を観に行くんですがな。
出演スケーターはこちら。大ちゃん真央さんあっこちゃん織田くんはもちろんのこと、小塚くんもイン、無良くんもイン、パトリックもライサも出るわ、アイスダンス陣はテサスコにメリチャリに大好きなカーズと、豪華すぎて鼻血が出そう。どうかどうか、10日まで何ごとも起こりませんように…(とまたネガティブ心配性が顔を出す)。
そしてその前にたぶん明日、フィギュア関連のお出かけをしてきます。ここで報告ができればそのときにくわしく。



追記:大変遅ればせながら、今年のわが家の年賀状です。
わが家の画伯2人の描いた羊、なかなかふくふくとしてよい感じではありませんか。
スペイン旅を記念して、デザイナーもスペイン語の年賀を入れてくれました。
d0153627_16415572.png

画伯たち、毎年毎年、干支を描きつづけてくれてるけど…
さてあと何年つづくかな? という年頃に、2人ともなってきたなあ。 
…と、お正月はそんなことも実感するとき。
あらためて、みなさんにとって幸多い一年になりますように!
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-08 00:09 | 雑感 | Comments(0)

新年あけました

2015年、新しい年があけました。

戦後70年、
阪神淡路の震災から20年。
節目の年です。
東日本の震災からも、この春で丸4年。
時は、どんどん過ぎていく。
私たちのまわりで、命は生まれ、そして尽きていく。
できる限り目をひらいて、足をふみしめていこう。
美しいもの、すばらしいもの、あたたかいものに触れ、
悲しみや痛みやみにくさを、なんとかして受けいれて、
怒りをわすれずに、
あきらめに堕ちずに、
ゆっくりと泳ぐように生きよう。



「ひぐらしだより」を訪れてくださるみなさんへ、
今年もここでお会いしましょう。
どうか佳い年になりますように。


うちに羊はいないので、
代わりにネコがごあいさつ。
「あけましておめでとうごにゃいます」
「…」
d0153627_0582778.png
こ…
今年もよろしくにゃあ!
[PR]
by higurashizoshi | 2015-01-03 01:00 | 雑感 | Comments(0)

フォロー中のブログ

明石であそぼう! たこ焼...

最新のコメント

bikegogoyさん ..
by higurashizoshi at 14:59
いやー、楽しかったです南..
by bikegogoy at 22:38
伝わってきます。なんてい..
by まにまに at 10:40
まにまにさん 読んでく..
by higurashizoshi at 22:45
先輩、すごい旅をしたんだね。
by まにまに at 18:27
おはようございます。 ..
by Disney 鴨 at 10:36
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 01:15
こんばんは。ひぐらし草子..
by Disney 鴨 at 20:22
Disney 鴨さん ..
by higurashizoshi at 08:28
こんにちは。 男子SP..
by Disney 鴨 at 17:05

検索

ファン

ブログジャンル

映画
ウィンタースポーツ