ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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<   2015年 06月 ( 3 )   > この月の画像一覧

ある町の話

ある町に、遠い町から兵隊がやってきた。
兵隊たちは、町の中心部の大きな土地を、自分たちの場所にして住みついた。
ときに兵隊たちは町に繰り出し、犯罪をおかした。少女や若い女性が犠牲になることもあった。
でも、兵隊たちは犯罪のあと、自分たちの場所に逃げ込んでしまう。
すると、町の人たちには手出しができないのだった。

町の中で、同じような犯罪を町の人が起こしたら、逮捕されて罪を問われる。
でも兵隊たちの犯罪は、特別扱い。町の人たちは、その理不尽にずっと耐えてきた。
――私たちが頼んで、この町に来てもらったのじゃない。兵隊たちには、出て行ってもらいたい。
大声で怒っても、叫んでも、兵隊たちは知らぬふり。そして、別の町に住むたくさんの人たちも、知らぬふり。

そんな町の人たちに、ある人は言った。
――兵隊たちが女性に犯罪をおかすといっても、一年に何度かあるかないか。
それより、あなたたち町の人が、町の女性に犯罪をおかす方が、ずっと多いじゃないか。
だから、兵隊たちに出て行ってくれなんていうのはおかしい。

わたしは思う。
きちんと裁かれる、町の人どうしの犯罪。
逃げ込んだら手出しができなくなる、兵隊のおかす犯罪。
数が多いか、少ないかの問題だろうか?

町の人たちは、
町の中の犯罪より、兵隊の犯罪の方が数が多いから、兵隊に出て行ってほしいと言ってるのじゃない。
理不尽がまかりとおっているから、その屈辱に耐えなくてはいけない状況がまちがっているから。
兵隊たちが住みついて、特別扱いされていることを変えたい、と言っているのだ。

それを、「数」の問題にすりかえる。
こんな手口に、みんな目をくらまされて、「数」がどう、「率」がどう、なんてあわてちゃいけない。
そう、わたしは思う。

同じある人は、こうも言った。
――もともと誰も住んでなかったところに、兵隊たちが住みついただけ。そこに、兵隊相手にもうかるから寄って行ったのは町の人。今ごろ文句を言うな。

兵隊たちが今住んでいる大きな土地は、昔々から町の人が住んでいたところだった。
そこを取られてしまったから、しかたなくみんな、その近くのせまい土地に住み直したのだ。
そのことを知らずに言ったのなら、無知を恥じないといけない。
町のことをちゃんと知らないのに、間違ったことをえらそうに言ったのなら、謝らないといけない。

でもその人は、軽口だったとか、冗談のつもりとか言って、逃げている。
言ったことの一部だけをおおやけにされて、ひどいと怒ってさえいる。
でも、言ったことは、言ったこと。それは消えない。
そして、そのことを「よくぞ言ってくれた」と称賛する人もいる。

この町は、昔、ほかの町の防衛のために、まるごと火で焼かれた町だ。
そしてそのあとも、外国のものになり、さらにそのあとも兵隊に住みつかれ、ずっと多くの理不尽にさらされている町だ。
その町が、今また、こんなふうにないがしろにされて、おとしめられている。

この町のことをあれこれ言ったその人は、
わたしたちが住む国の最高責任者と、とても仲良しで、「気が合う」そうだ。
この国の多くの人が、その最高責任者を「いいね!」と、思っているそうだ。

そういう国にわたしたちは住んでいて、
今、ひたひたと近づいてくる、かたい足音を聴いている。
いや、その足音は、わたしたちがひきよせているのだ。
この町の昔のくるしみを見すごし、今の屈辱をを見すごし、
ぼんやりとその日のごはんを食べ、たのしみを得ているその手が、ひきよせている。

ある日、ふと気がつけば、わたしたちの弟や、息子たちが、
どこか遠い町にいて、戦いの訓練をしているかもしれない。
夜には町に繰り出して、つらい訓練をいやすかもしれない。
みんな兵隊だから、もしもひどいことをしても逃げ込める、
そう思っているかもしれない。

悪い夢じゃない。
それは、このままいけば、いくらでもおこりうる未来だ。


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by higurashizoshi | 2015-06-28 17:44 | 雑感 | Comments(0)

花々

こころ波立ち、跳ぶように歩く日々。
カメラを持つ余裕がないときは、
身近なところで出会う草花をiphone6で撮るのが、
このところのちいさな楽しみ。
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iphone6さん、
近くのものをくっきりと撮るのがけっこう上手であることがわかってきた。
スクエアで切り取るのがいいみたい。
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しっとりと雨を吸った、蜘蛛の巣のかがやき。
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物語をかくしているような、大輪の花のなまめき。
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なぜか、これまであまり気持ちに触れることのなかった、
草花のうつくしさにしきりに眼をうばわれるこのごろ。

こよなく花を愛した人のことを思い出す。
いまも花を愛する心澄んだ友たちに、思いをはせる。
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by higurashizoshi | 2015-06-21 22:16 | 雑感 | Comments(2)

ひさびさに

しばらく、ごぶさたしてしまいました。
なんとも隙間なく忙しいと同時に、ちょっと気持ちが書くことから離れていたような。
その間にも、たくさんの方がここを訪れ、古いものも含め多くの文章を読んでくださっていて、なんだかそのたびに不思議の念にうたれていた私。
私がどこぞに行っている間にも、私の書いたものはここで人を待ち、人に読まれ、何かを感じてもらっている。
一度も会ったこともない、どこにいるかも知らない誰かが、つぎつぎと私に触れている。
そんな気分です。

今日は私の誕生日。
そして、偶然にもほんとうにひさびさに一日家にいられる日なので、朝から深呼吸をして空をながめ、近所を歩き、パソコンの前に座りました。

今日は私の誕生日であると同時に、
私にとって大切な友の誕生日でもある。
その人はもうこの世から旅立ってしまったけれど、ずっとずっとこの日は誕生日でありつづける。
彼の笑顔を思いながら、この日を過ごします。

最近、心をしずめたいとき、詩を声に出して読むことがあって、
その時間がとても好もしい。
ああやっぱり私には詩が、ことばが、必要なんだなと思う。
彼もことばを綴る人でした。ことばを生きようとする人でした。

4年前、初めての詩集を出したとき、心からよろこんで、大切に読んでくれた彼はもういない。
4年がたち、人から「次の詩集はいつ?」という声をかけていただくことも増え、でも私の心はどこか眠ったまま。
起きたくないよと、駄々をこねていた。

そんなところから、ゆっくりとふたたび動きだそうという気持ちが、ちょっとだけ芽を出したかな。
だいぶ前の作品ですが、今日ここで。


*****


a book


本をひらくと
はじまり
本を閉じると
おわってしまう

おそらく
僕もひとつの本であり
誰かがそれを
手に取って
いるのだろう

そのずっと外に
人間のいない深い森や
海や
天体があるのだ

それらを視ることは
できても
僕はそんなに遠くには
行くことができない

僕という本の
手ざわりを
誰が何を思い
味わっているのか僕は知らない

それでも
僕はすでに開かれて
読まれていることは
知っているのだ

それはとても痛く
だのにやさしい明るさを
もたらす

音や 声や ぬくもりを
舌で感じて
ときにはほほえんでいられる

いつか本は
予告なく
ぱたんと閉じられてしまうだろう

本をテーブルに置き
誰かが部屋を出て
ため息をひとつつき
朝食をとるために台所にむかう

窓の外には かわらず
深い森や
海や
遠く天体も存在している

いくつも昼夜がすぎ
置き去られた本の上に
厚くほこりがたまっていくとしても

いつか誰かが
ふと本を見つけ
何の気もなしにほこりをはらって
開いてみるかもしれない

痛みに目覚め
瞳をひらいて
世界のありとあらゆるところを視る
どこにも行けなくとも
ふたたび僕は生きはじめるのだ

そう夢想して
秋のある日
僕は誰かにページを繰られながら
ひっそりと
ほほえんでいる
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by higurashizoshi | 2015-06-04 12:51 | | Comments(2)

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