ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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グランプリシリーズ2015 第1戦・スケートアメリカ

グランプリシリーズ、とうとう開幕しました。
第1弾スケートアメリカ終了しました。
ざっと振り返りつつ。

スケートアメリカ2015、女子シングル表彰台。
1位 エフゲーニャ・メドベージェワ選手(ロシア)
2位 グレイシー・ゴールド選手(アメリカ)
3位 宮原知子選手(日本)
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15歳、シニアに上がったばかりのメドベージェワ選手が、楽々と優勝。
少し前のリプニツカヤ選手やラジオノワ選手のジュニア→シニア当初のぶっちぎりぶりを彷彿とさせます。
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ジュニアのときから、あまりにタノジャンプ(片手や両手をあげて跳ぶ)を多用するため
「この人は…片手を上げないとうまく跳べないのでは?」
というナゾの疑問を抱いてしまったくらいのジャンプ巧者です。
今はまだ、怖いものもストレスもない感じ。そしてあくまでも少女体型。可憐な表現もとても上手です。
今季は、彼女が女子を席巻するか。



宮原知子選手。
美しいフリー、リストの「ため息」。
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メディアで「3位に終わった」と書かれていることが多くて、なんだかくやしいなあ。
はっとするほど大人びた今季の知子ちゃん、これまでとは明らかに一線を画するプログラムの成熟度。
今回は彼女にはほんとに珍しく、ジャンプにミスが重なったのが残念でした。でも今後に不安を感じさせない、信頼感みたいなものが知子ちゃんのスケートには満ちているなあと思います。少しずつPCSも上がっていくはず!



スケートアメリカ2015男子表彰台。
1位 マックス・アーロン選手(アメリカ)
2位 宇野昌磨選手(日本)
3位 ジェイソン・ブラウン選手(アメリカ)
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すばらしい得点でグランプリ初優勝、大喜びだったアーロンくん。
ジャンプに関しては、元かっとび小僧の面目躍如、決めまくることができました。彼にとっての今季の挑戦は、プログラムの表現、スケーティングの進化。フィリップ・ミルズの振り付けでの新境地です。
何を目指しているのかは、今回とてもよくわかりました。この努力がさらに花開きますように!
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さてショーマです。
前評判では断トツで優勝候補に挙げられていたショーマ。
気負うことなく、静かな闘志でリンクに立ちましたね。
ジャンプミスで4位発進となったショートも、内容的にはとてもよかったと思いますが、やっぱりこのフリー「トゥーランドット」は、ジャッジにもアメリカの観客にも、強いインパクトを与えたと思う。
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後半のクワドトゥのコンビネーションが入ったことでこれだけ高い点数が出たわけですが、スケーティングの粘りと伸び、音楽との一体感において、ここまですぐれて観客を引きつける力があるのは、私見ながら今季現役選手の中ではデニス・テン選手とジェイソン・ブラウン選手と、新米ショーマくんだけです。
中盤、ショーマがボーカルを口ずさんでいるのを見たときは、ちょっと鳥肌立ちましたもん。オペラのボーカル口ずさみながら滑る、それが似合う日本の高校生。何なんだろうこの人はと。
リンクを降りればあんなにトボロンとしてるのに、この制圧感。不思議な方です。

わずかな差で優勝は逃したけれど、今回はこの順位が今後につながっていく意味でちょうどいい感じでは。どんどんジャッジや観客にインパクトを与え続けてほしい。



上で挙げた、スケーティングと音楽との一体感、引きつけ力のベスト3(あくまで私見ですよ)の全員が、このスケートアメリカに出てるんですねえ。
その中でデニス・テン選手は今回ミス連発で残念な結果でしたが、毎シーズンともスロースターターなテンくんなので、今季のめっちゃ玄人好みなショート&フリー同じ曲というプログラムが、徐々に完成していくのを待ちましょう。

さてもうひとりの一体感&引きつけベスト3のひとり、ジェイソン・ブラウン選手。
もうね、今季フリーが「ピアノ・レッスン」て知ったときから、楽しみでしかたなかったのですよ。
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きっとジェイソンなら「ピアノ・レッスン」をこんなふうに滑ってくれるだろう…と想像していた通りの、それ以上のプログラムでした。
しかも「ピアノ・レッスン」の中でも静かな「愛の香気」一曲だけで最後まで滑り切る。ああ、これでこそですよ。
今後シーズンを通してこのプロが進化・深化していくのをじっくりと見守りたいと思います。
こんなこと言ったら怒られるけど、無理にクワド入れなくてトリプルアクセル止まりでトータルの完成度を見せてほしい!と思わず考えてしまった。クワド上手になったらいいね、ジェイソン。



すごく少しの選手にしか触れられなくて非常に残念ですが、明日から3日ほど旅に出ますのでその準備でバタバタもあり、縮小版になりました。
アイスダンスとペアについてはまったく書けてないので後日。
アイスダンスはライストを苦労して観たので、すぐさま書きたかったんですが…なんせ時間がなくて。
BSで生中継してくれたスケアメのエキシビション観るのも、旅から帰るまでおあずけです。
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by higurashizoshi | 2015-10-26 23:50 | フィギュアスケート | Comments(0)

フィンランディア杯2015などなど

Japan Openのことをもう少し書こうと思ってたのですが、あれよあれよと日は過ぎ、もはやグランプリシリーズ開幕目前。今週末にはスケートアメリカ、そこからは毎週の怒涛の転戦が始まりますがな…

で、とりあえずフィンランディア杯をCSで観られたので(といってもシングルのみですが)、ちょっと書いておこうと思います。

女子表彰台。
1位 本郷理華選手(日本)
2位 ユリア・リプニツカヤ選手(ロシア)
3位 ヨシ・ヘルゲソン選手(スウェーデン)
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本郷理華選手については、昨シーズンの目の覚めるような躍進ぶりと安定度を見ていたので、もちろん今季も期待してました。
しかもショートの振り付けは鈴木明子さん。同じコーチのもと、先輩として子どものころから本郷選手を見てきたあっこちゃんです。本郷選手の長所も弱点も知り尽くしたうえでの振り付けと細かい指導をつけていく《新人振付師・鈴木明子》の様子をテレビで垣間見て、その仕上がりを楽しみにしてました。
しかも演目はシルク・ドゥ・ソレイユの「キダム」。シルクといえばあっこちゃんの名プログラム「オー」を思い出さずにいられましょうか。

で、この「キダム」。
音楽、振り付け、衣装、すべてが本郷選手にドンピシャ。そしてシーズン初頭にして、この仕上がり感。
いやー、ここまではまると気持ちいい。
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2年前まではジャンプの安定度に対して氷上姿勢や表現面が大きな課題だった理華さん。シニアに上がってここまで伸びてくるとは正直思ってませんでした。
ジャンプはたまに抜けはあるものの、崩れることがないこの盤石さはほんと強みだし、ここに個性と表現力が加わるとすばらしい。まだまだ振り付け頼りではありますが、今後にさらに期待。
この「キダム」の振り付け、ステップはもちろん身体の使い方やこまかい所作にいたるまで、あっこちゃん色がこれでもかと出ていて、見ながらニヤニヤしちゃいました。


そして、話には聞いていたのですが、このオフシーズンの間のリプニツカヤ選手の体形変化はけっこう大きかったなあ。
ティーンエイジャーとしては当然の発育なのですが、驚異のジャンプ力と柔軟性を支えていたあのジュニア体型が急激に大人の女性へと変化した影響は、しばらく彼女を苦しめるかもしれません。
とはいえ、凄い天賦の才をもった選手であることに変わりはなく、新たなリプちゃんのスケートが確立されていくよう願うばかり。
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フィンランディア杯、男子表彰台です。
1位 コンスタンティン・メンショフ選手(ロシア)
2位 アダム・リッポン選手(アメリカ)
3位 セルゲイ・ヴォロノフ選手(ロシア)
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うれしいなあ、個人的に応援してる選手ばかりですわ。
32歳にしてこの位置につけているメンショフくん、今期も彼らしい個性的プロで素敵。
フリー、4×3も序盤には鮮やかに入りましたが、後半になるとジャンプの制御力がやっぱり年齢的に少しずつ苦しくなってきてるのかな?とも感じられる。でも行けるところまでがんばってほしいなあ。

2位に入ったリッポンくん、ジャンプもスケーティングも今回あまりよくなかったけど…
スケートとは直接関係のないことですが、彼はこのほどゲイであることをカミングアウトしましたね。現役選手として競技シーズン初頭にこの発表は、採点に影響を与えかねないという話もあり、逆に彼の強い意思を感じます。
髪は相変わらず伸ばしてくれないし今季は色も微妙だし、衣装も謎チョイスだけど変わらず応援しているからね~



続いてフィンランディア杯、アイスダンス表彰台。
1位 ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ(カナダ)
2位 イザベラ・トヴィアス&イリヤ・トカチェンコ(イスラエル)
3位 ローレンス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン(デンマーク)
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内容は未見なのですが、ポジェくんがひさびさにツイズルでやらかしてしまったとか。今季は他のトップカップルに故障があったりで、彼らがダントツにいく可能性もありと思っていますが、さて。
ウィバポジェは暮れに大阪で生で観る予定なので、大いに期待しております。

3位のデンマークのカップルは昨季から注目の2人。デンマークってアイスダンスであまり聞かなかったので新鮮です。
2位のトヴィアス&トカチェンコは、アイスダンスファンにはおなじみだったカップルが、ソチ以降にばっさばっさと組み替えた中のひとつ。出身としては女性アメリカ、男性ロシアですが、変遷をへてまさかイスラエル国籍になるとは。かなり技術の差があるカップルなので、今後どう成長するか?というところです。


さてさて、ペアについて触れなくて申しわけない…
フィンランディア杯とは別の話題ですが、アイスダンス好きとしてはショックなニュースが入ったので書いておきます。

スペインに初めて誕生した国際大会に通用するアイスダンスカップルで、このところ急成長をとげてきたサラ・ウルタド&アドリア・ディアス組が解散を発表しました。
オフシーズンではなく、競技シーズンが始まってからの突然の発表。ネットで見て、わが目を疑いました。
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失礼ながらいかにももっさりしたカップルだった二人が、イギリスからスペインに呼んだコーチのもと猛練習を重ね、少しずつ少しずつうまくなり、スペインを出てコーチをデュプレイユ&ローゾン夫妻に変更してからぐんぐんあか抜けて、やっとグランプリシリーズでもメダル圏内まできて、さあこれから世界のトップカップル入りだ!というところで…(涙、涙)

なんといっても彼らのスペインらしい濃厚でケレン味たっぷりな、個性的なプログラムがいつも楽しみで、今季はどんなプロなんだろう?またさらに洗練されたところを見せてくれるよね?と期待していたのに!
このピカソのプログラムとか、大好きだったのになあ…
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カップル解散後の動向は不明ですが、できることならサラちゃんもディアスくんも引退せずに別のパートナーと新たな道を進んでほしいです。


というわけで、次はスケートアメリカについて、になるかな。ほかのことを書く余裕があればまた。
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by higurashizoshi | 2015-10-21 15:33 | フィギュアスケート | Comments(0)

Japan Open2015、まずは2人について

もう10日も前になりましたが、Japan Openの話。直後の報道はとにかく真央さん復活一色といっていいくらいでしたね。
それも無理はない。あれだけ注目される中、トリプルアクセルの盤石ぶりを含めて余裕さえ見せてフリーを滑り切り、彼女がいかにすさまじい実力と精神力をもつ稀代のスケーターであるかを、いきなり証明してみせました。
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ひさしぶりに競技の場で見た真央さんの演技は、ある種の威厳すら感じさせるもので、ソチ五輪のフリー演技の呼吸も忘れるあの4分間を思い出しつつ、彼女にとってさらに次の時代が始まったんだ、と実感しました。いやいや、なんとすごいことだ。
たとえこのあとの競技人生がそれほど長くなくても、この復帰は浅田真央という選手の歴史的評価にも、そして今後の女子スケーターたちの競技への姿勢にも、大きな影響を与えるだろう、と思います。

そんなことなーんも考えてないような涼やか~な彼女の笑顔を眺めつつ、いろんな意味でほんとうに底知れない人だなあと改めて身震いしたのでした。



で、もうひとつの身震いがこちら。
Japan Openでの宇野昌磨選手の「トゥーランドット」。日本初披露の今季フリー。
9月のUSクラシックではありえない失敗が続き下位発進、フリーで1位になったものの総合では5位という結果。このときの演技は観てないので、私自身初めて観る今季のショーマのプログラムでした。
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昨季はまだジュニアとシニアのかけもちだったショーマ。
ついに苦手のアクセルを会得した上に四回転も手に入れて、世界ジュニア王者になるわ、全日本でも銀メダルだわで、おそろしいほど躍進した昨シーズンでした。
で、今季はフリーが「トゥーランドット」という直球勝負曲。言わずと知れた荒川静香さんのトリノ金メダルの使用曲でもあり、シニア参戦ホヤホヤのちっちゃな(すいません)ショーマが使うにはちょっと冒険かしら?というゴージャス選曲、と思ったのですが…

Japan Openはジャッジの採点があるとはいえ、シーズン初頭のイベント的な競技会なので、選手にとってはまあ肩慣らし的な感じなのですよね。
だからまだ本調子でなくてもまあよろし、逆にここであんまりいい出来だと、かえってシーズン中への不安を感じてしまったりするくらいなんですが、ショーマくん。ここで呆気にとられるほどすごい演技を見せてしまったやないですか。どうしよう。
というか、なんなのこの出来は? この音楽表現、このクワドトゥ2本・アクセル2本あっさり成功、ほかも全ジャンプ成功、笑顔のガッツポーズ。「トゥーランドット」に曲負けするどころか、すでに《マイ・トゥーランドット》にしてしまってる。Japan Openでこんなに出来ちゃってどうするのよ? 初出場だよ? ジュニア上がりだよ? と思わず感情的になりそうなほどの演技でした。

採点結果は185.48。オープン大会だから正式記録にはならないけど、これって点数上は男子フリーの世界歴代5位だそうで…ヒエエエ! 今シーズン、ほんとにこれからどうなるんだろう…。ショーマの行方が怖くて楽しみで怖い。


ほかにもJapan Openで触れたい選手はいろいろいるのですが、引き続き次回にゆるゆると。
フィンランディア杯で本郷理華選手が優勝という知らせも今日入ってきました。男子優勝はメンショフ選手ですわ!きゃあきゃあ。アイスダンスは盤石でウィーバー&ポジェだったけどポジェくんにミスがあったらしい…。フィンランディアは17日にCSで放映するようなので楽しみに待つとしようかな。
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by higurashizoshi | 2015-10-12 23:43 | フィギュアスケート | Comments(0)

《よろこび》について

日々仕事をし、自分の中の課題を追いかけ、好きなものを追いかけ、そうやって忙しく生きている。生きている中には、しんどいことも嫌なことももちろんたくさんあるけれど、《好き》を追求する心はたぶん、私は人一倍強いと思う。本を読み映画館に通い、絵画を求め、芝居を観にいき、旅にも出る。いろんな人たちに会い、時間をともにする。
そう考えてみると、私には、何かに夢中になる、という経験は多い。熱中すると周囲が視界から消えるほど何かに没入する。それはたしかによろこびであるといえる。
けれど、何もかも忘れてよろこびにひたる、ということはまずない。
いろいろな事情に取り巻かれている大人であれば誰しもそうだろう、とも思うけれど、どんなときも心のどこかに確実なブレーキ機能があって、常にそれを意識している。

病気の家族をいつも抱えてきたこの数十年、もはや習い性になった不安と、あきらめへの準備。
そして私自身の奥につねにある、安心して何かに身をあずけきってはいけない、それは危険であるというサイン。
よろこびを感じはじめた瞬間、かならずどこかから立ちのぼってくる昏い声のようなものがある。

おそらく、私の場合は《詩や小説を書く》という作業だけが、ほぼそこから離れて過ごせる唯一の場で、それは創作することによって別の世界を自分の中に構築できるからなのだと思う。
ただしそれは当然、解放された楽しいだけの時間ではなく、《書く》ことは、ときにつらい道程でもある。
それなくしては生きていけないけれど、しんどさともつねにつき合っていかなければならない。
つまり、これもまたアンビバレントで、《ただ、よろこびに満ちる》こととは遠い作業なのである。

という、毎度たいへんめんどくさい自分を抱えて、この夏の終わりにある駅にいたとき、ふと目にとまったポスターがあった。
それは、日本の暮れの風物詩、ベートーベンの第九を地元の大ホールで歌いましょうというポスターだった。
ベートーベンの中で第九はそんなに好きじゃないし、これまで歌いたいと思ったことはなかったはず。
はず、というのは、なぜかそのポスターを見た瞬間、「あ、私、これやる」と思ったからだ。
合唱は高校時代、コンクール志向の体育会系合唱部でガンガンやって、あとは大学で演奏会に出来心で一度出て以来、まったく縁がない。
歌うことは好きで一時ボイストレーニングを受けたこともあったけど、ぜんぜんうまいわけじゃない。
いや、そもそも合唱っていう集団行動は、ヘンクツな孤立人間に成長した自分にとってはまったくの逆指向である、と思い定めていたはずなのに。

だのにだのに、なんでかわからないけど「これやる」と思い、申し込み、先月から練習に参加している。
最初はとっても戸惑った。
周りは第九経験者ばかりの中、ドイツ語歌詞どころかメロディすらまるでわかってない私。
聴いても聴いても、やっぱり楽曲として大して好きになれない第九。
モソモソとみなさんのあとをついて練習して、家でも楽譜を見て覚えて、うーんこれ楽しいのかな? なんで私これやるって思ったんだろ? とハテナだらけの日々だった。

それが、練習を始めて一ヶ月半、初めての本番ホールでの合同練習も終えて、少しずつ楽曲の輪郭が見えてきた気がした先日。
少人数での練習中、自分の中でなにかがふわりとなって、歌いながらちょっと空中にいる感じがした。
おお、なんだこれは?

その直後、声楽家である先生がこんな話をされた。
「音楽なんて、世の中の効率や金儲けから一番遠いところにある。何かあれば一番に切り捨てられてしまうもんですよ。でも、生きていく中で、これこそが大切なものじゃないですか? 音楽という美しいもの、よろこび、これが生きるって、生きてるってことだと僕は思う。それを少しでも人に伝えたくて僕はこの仕事をしてるんです」

あー。
先生!
そのとき私は理解した。あの「ふわり」と「空中にいる感」の名前を。
あれは、どんなうしろめたさとも、不安とも無縁な、とても単純な《よろこび》だったんだと。
身体を楽器にして音を鳴らす、そして人と共鳴する。
大昔に書かれた楽譜をなぞりながら、無心に歌を響かせる。
まだほんとに少しの滞空時間だったけれど、確実にあのとき、私は《よろこび》の中に浮いていた。

それは、なんというか、《ただ、ある》とか、《ただ、いる》という感じだった。
熱も帯びていなければ、情緒的でもない。
理屈立ってもいないし、うしろも前もない。
ああ、こういうことだったのか。
なんてシンプルで、そしてなんて私にとっては難しいことだったろう。

ほんのちょっと味わったその《よろこび》に、また会えるだろうか?
なかなか上達しない中で、このあとどんどん《よろこび》が増えていくという都合のいいことにはならないだろうけれど、もう一度、いやできれば何度かは、会いたい。
そう思って12月末の本番までの練習を過ごしたい。
先生がいつも言っている、「よろこびをお客さんにも届けてあげる気持ちで歌うんですよ」というところまでは、とてもとてもいかないだろうけど。



***
「Japan Open」昨日でした。いよいよ競技シーズンが本格的に始まっています。
次回から、またフィギュアスケートのことをぼちぼちと書こうと思います。
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by higurashizoshi | 2015-10-04 12:48 | 雑感 | Comments(0)

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