ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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窮すれば通ず

冷蔵庫を開けた。
ひゅーるるるぅ…
心の中を吹き過ぎる風の音。
食材が…ない。

冷凍室には、肉、魚など、いくつか入っているのだが、野菜室はガラガラ。
冷蔵室のほうは、佃煮、キムチ、味噌…。

今のわが家は、毎週土曜日の生協の宅配で、一週間の食材全部をまかなっている。
今日は木曜日。苦しくなる時期だ。
ちょっと考えなしに野菜を使いすぎたらしい。
ときどき、母鳥のように食材を届けてくれるコトブキも、現在長期出張中。

冷蔵庫の前にたたずんでる私にタタが声をかける。
「どーしたのぉ?」
「食料が、にゃい」ガラガラの野菜室を見せる。ネギがひと束。
「えええー!!」
バタバタと走って、タタがミミを呼びに行く。
「ミミ、たいへん、たいへん!食べものがないんだって!」
いや、呼んでもどうなるもんでもありまへんがな…。

食べものがない? なんの、そんなことはないのだ。
ほらツナ缶とか、乾燥ひじきとか、昆布とか。
野菜だって、玉ねぎ、じゃがいもなら箱入りのストックがある。
だいじょうぶだ、タタ、ミミ!
あと二日がんばれば、生協のお兄さんが一週間分の食材を持ってきてくれるんだから、なんとかしのごう。

足りないものは買いに行けばいい、という生活があたりまえだったころ。
思えば、ずいぶんぜいたくしていたんだなぁと思う。
ぜいたくといっても、別に豪華な食生活をしてたわけじゃない。
ただ、必要なもの以外に、余分なものもずいぶん買ってた気がする。

などと謙虚な気持ちになっていても、今日のあさ・ひる・ばん、明日のあさ・ひる・ばん…と献立を考えていると、これが足りない、あれがない…じゃあこの料理はやめてだな…とだんだん頭がぐるぐるしてくる。
でもまあ、窮すれば通ず、と昔の人はうまく言ったもので、今の生活で私はずいぶん「アリモノでっち上げ料理」の腕が上がってきた。
かなりありえないものを組み合わせて一汁三菜をこしらえる。
そのうち、『食材を使わない豪華おかず』なんてレシピ本を書けるようになるやもしれぬ。

昔、テレビでプロの料理人が普通のおうちに突然行って、そこの冷蔵庫にあるものだけですごい料理を何品もこしらえる、という番組を見たことがある。
その当時は、どうやったらこんなことが?と口を半開きにして見ていたが、今なら私は「できるぞ、これくらい」などと思いそうである。
だってほら、その冷蔵庫には食材があるんだから!
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# by higurashizoshi | 2008-03-20 17:26 | 家事というか | Comments(4)

夜のパパ

d0153627_2174487.jpg図書館でこの本の背表紙がふと眼にとびこんできたとき、不思議な題名にひかれた。
手にとって、表紙の絵を見た。
ほっそりした青年が、頭にふくろうをのせている、繊細な線の銅版画。
「ああ、この本は私の本」
と思った。
そんなふうに直感することはめったにない。
すぐに借りて帰って一気に読んだ。もう返したくなくなっていた。

夜のパパ。
なんのことだろう、と想像がめぐるタイトルだ。
思春期手前の少女ユリアは、シングルマザーの母とふたり暮らし。
看護師の母は、夜勤の間ユリアと家にいてくれる人を、広告で募る。
応募してきたのは、予想に反して若い青年だった。

スウェーデンでは、夜間に子どもをみてくれるシッターのことを、「夜のママ」というらしい。
だから青年は、夜のパパ。
この夜のパパは、かなり風変りな青年だ。スムッゲルというふくろうが相棒で、本に埋もれた部屋に暮らしている。石の研究をしているらしい。
いっぽうユリアは、かなり頑固で、まっすぐな性格の少女。
学校では女の子同士のいじめの標的になり、家では無理解な母とぶつかってばかり。
相当に不機嫌な人生を送っていた。

一緒に夜をすごすようになっても、いっこうに心を開かないユリアに、夜のパパはお互いに手紙を書き合うことを提案する。
この本はその、ユリアと夜のパパの往復書簡で成り立っている。

誰のことも心から信用することができなかったユリアは、夜のパパとの間に、不思議なつながりを育てていく。
恋の感情でもなく、父親代わりの愛情でもなく。
夜のパパは、べたついた優しさとは無縁の、けっこう自分勝手で気分屋なところもある青年だ。
ただ、ユリアのことを、一人の人間として、きちんと尊重する。
ユリアがつたない表現であらわすこと、ひとつひとつに、ちゃんと向き合う。
子どもだから、大人だから、などということと関係なく、批判もし、共感もする。
そうしながら、ユリアと夜のパパは、いつしかいろいろな問題にふたりで立ち向かっていく。
ふくろうのスムッゲルが、そのとぼけた行動で、ときには離れかけるふたりの気持ちを結びつけてくれる。

ユリアと夜のパパ。ふたりはよく似ている。頑固で、孤独で、嘘がない。
ふたりの結びつきは、とても強くなっていくが、そのつながりは単純に名前のつけられないものだ。

この本を読んでいると、とても澄んだ気持ちになっていく。
人と人が、その結びつきの名前にーーたとえば家族とか恋人とか友人とかという名前に縛られて、ほんとうの感情が見えなくなることは多い。
年齢や、上下関係などでも、同じことが起きる。

でも、ほんとうに大切な一対一の関係というものは、何にも支配されない。
ユリアは、夜のパパとの関係で、そのことを知る。
だからユリアは傷つきながらも、少しずつ世界に対して心を開いていくのだ。


この本の作者マリア・グリーペは、スウェーデンではとても著名な児童文学作家とのことで、たくさんの著書がある。
ほとんどの作品の挿絵を、夫の画家ハラルド・グリーペが描いているそうだ。
この「夜のパパ」もそうで、物語にぴったりと寄りそうような、やわらかく繊細な絵がほんとうに魅力的だ。
この本には続編「夜のパパとユリアのひみつ」があり、少し大人になったユリアと、少し人間くさい夜のパパに出会うことができる。

二冊とも、そばにそっと置いて、何度も読み返したい大好きな本だ。
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# by higurashizoshi | 2008-03-16 21:11 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(5)

贈った本

d0153627_15123848.jpg誕生日に贈った「アンネの日記」を、タタがもう読んでしまったという。
たった一日半。それはそれはすごい集中力だった。
どんなことを感じたのか、タタはまだ簡単には言葉にしない。

アンネ・フランク自身、13歳の誕生日に日記帳を贈られ、その日から「アンネの日記」は始まっている。
アンネが生まれたのは1929年。
私の両親と同い年だ。
15歳の夏で、アンネが書きつづった日記は終わった。
そしてアンネは、人間の尊厳をはぎとられる場所で短い人生を終えた。

でも、タタはそういうことを聞きたくないという。
たぶん、タタは日記の中の13歳から15歳のアンネの「今」を感じていたいんだろう。

かつて、わたしも13歳の誕生日に、母から「アンネの日記」を贈られた。
そのことを、タタのためにこの本を注文してから、急に思い出した。

私の両親は平和教育に熱心だった。
母はナチス・ドイツの行ったことについていろいろ教えてくれたうえで、「アンネの日記」を私に贈った。
だから私は、本の中のアンネの写真を見るのが怖かった。
日記の中の、知性とユーモアの輝くアンネに魅せられながら、虐殺の被害者だということが鉛のように重く苦しかった。

タタは、ただ13歳の少女同士として、アンネに会いたかったのだろう。
隠れ家を一歩も出られず、息をひそめて暮らす毎日の中で、たくさんのことを感じ、考え、学び、成長していくアンネ。
今、家から出ない暮らしを続けるタタにも、たくさんの学びと、成長がある。
タタは、アンネに出会って、どんなことを感じただろう。
もう一度、私も、タタに借りてこの本を読み返してみよう。
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# by higurashizoshi | 2008-03-14 15:18 | 雑感 | Comments(11)

タタ13歳

タタは今日、13歳になった。

これまで、タタはつらいことがたくさんあった。
生きていられないほど、苦しんだときもあった。
でも、いつもそこから次へ歩き出す力をタタは持っていた。
お日さまのようなタタの明るさに、強さに、
私たちはいつも支えられてきたと思う。

昨秋からまたつらい日々があって、
それをタタは自分の力で少しずつ抜けてきて、
今日を迎えた。

13年前の今日、タタが生まれた日の朝、
見上げた空は、目にしみるほど明るい青空だった。

生まれてきてくれたこと。
生きて、ちゃんとこうして生きていてくれること。
ありがとうね。

タタ、13歳の誕生日おめでとう。
「やることは山ほどあるな」
てタタは今日、言った。
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# by higurashizoshi | 2008-03-12 14:32 | 雑感 | Comments(2)

いかなごのくぎ煮

毎年この時期になると、明石や神戸の海で、いかなご漁が解禁になる。
いかなごというのは、成魚でもせいぜい15センチくらいの、細長い魚だ。
それの稚魚が、このあたりでは春の風物詩。3月が近づくと、ここらの主婦たちは、解禁の日を今か今かと待っている。

私も、東京からこっちに帰ってきてからは毎年、いかなごを買いに走るようになった。
明石の漁港のすぐそばに、「魚ん棚」という魚市場がある。
船が漁から帰ると、仲買を通さず、「魚ん棚」の魚屋さんたちが直接、港でセリをする。だから、とれたばかりの魚が「魚ん棚」に並べられる。
瀬戸内のいろんな魚や明石名物の蛸や、まだぴちぴち跳ねているのを店先に並べた魚屋がずらりと並んでいて、いつも活気があって、「魚ん棚」はわくわくする。
そこに、いかなごを買いに行くのである。

いかなご漁が解禁になってからは、毎朝どの店にもずらりと行列ができ、「魚ん棚」は異様な熱気に包まれる。
なにせ、稚魚はみるみるうちに、日ごとに大きくなる。小さめの方が上物とされているから、みんななるべく早く、しかも新鮮なのを手に入れようと必死になる。
今年は出かけられないので無理だろうと思っていたら、コトブキが「魚ん棚」でいかなごを3kgゲット。それも、昼網で揚がったばかりのを買えた!とメールしてきたので、飛びあがって、大急ぎで、「くぎ煮」を炊く準備をした。

いかなごの稚魚は、このへんではシンコという。シラスとかちりめんじゃこといわれる、カタクチイワシの稚魚なんかと、同じくらいの大きさだ。
シンコの食べ方としては、まずは釜揚げ。とろけそうにやわらかく、甘味と香りがある。
そしてこの近辺の主婦が、腕によりをかけて、人によっては意地をかけて!作るのが「くぎ煮」である。

おいしいくぎ煮を作るのは、まず鮮度が勝負。
シンコが届いたらすぐに炊き始められるように、大鍋やら調味料やらを用意する。
そうこうしてたら、コトブキ帰還。ずっしり3kgの袋を渡される。
一年ぶりにお目にかかれたシンコは透き通って、なんともきれい!
とりあえず1kgずつ二つの鍋でくぎ煮を炊くことにして、残り1kgはあとで釜揚げにしようと冷蔵庫へ。

さて、いよいよくぎ煮作りの始まりだ。
シンコが1kg楽に入る大鍋に、醤油、酒、ザラメ、みりんを入れ煮立たせる。
そこに、さっと水洗いしたシンコを少しずつ入れていく。
いっぺんに入れるとつぶれてしまうので、手ですくってはやさしく入れる。
途中、千切りにしたショウガも、何度かにわけて入れる。(隣でコトブキがいっしょけんめい細かく切ってくれた。)
一つの鍋のほうは、わが家の好きな山椒入りにするので、実山椒の佃煮も入れる。
シンコが全部入ったら、鍋の中をまぜる。
箸やおたまではやっぱりシンコがつぶれてしまうので、手で混ぜる。
手で混ぜるというの、最初はええ~っ!?と思ったけど、まわりから煮立ってくるので鍋の真中はそんなに熱くない。とにかくシンコはデリケート。やさしく、やさしく混ぜる。
全体が沸騰してきたら、アルミホイルで作った落としぶたをして、火を弱める。

そこからは持久戦。
吹きこぼれる寸前の、煮立った泡がつねに落としぶたを鍋のふちまで押し上げているアヤウイ状態をたもつ。
そうして、火加減をこまかく調節しながら、ひたすら鍋をにらむ。
小さなシンコの間を、調味料が泡立って均等にめぐるようにするわけだ。
それと、やわらかいシンコを一度にたくさん炊くので、鍋の中をいつも泡立て、シンコをほわほわと泳がせていないと、つぶれて出来あがりが固くなってしまうのだ。

ちょっとよそ見をしてるとたちまち吹きこぼれるし、あわてて火を弱めてぼーっとしてると今度は泡立ちがなくなってたりして、とにかく鍋のそばは離れられない。
途中、変化していくシンコの味を試食するのもお楽しみ。タタもミミも巣の中のひな鳥状態で試食を待っている。
人によっては、2~3時間炊いてしっかり煮しめるやり方もあるけど、私はやわらかくうす味に仕上げたいので、だいたい1時間くらい。

やったー!今年はあきらめてたくぎ煮、みごと完成!
なかなかよい味にできあがった。みんな「おいしい、おいしい」と喜んでくれた。
できたてのくぎ煮、写真のような感じ。白いのは、すぐあとに作った釜揚げ。
(写真がピンボケなのは、私の携帯カメラの画面がちっちゃすぎてピントがわからなかったせい!ということにしておこう)
d0153627_18154949.jpg


3㎏のシンコでもけっこう大騒ぎだけど、この日コトブキが買った同じ店で、ひとりで16㎏買って行った人がいたそうだ…。
いったい、どうやって炊くんだろう?
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# by higurashizoshi | 2008-03-09 18:30 | 家事というか | Comments(5)

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