ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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気がつけば10年

このところずうっと追われてる仕事があって、それが今ちょっとインターバルが入り、外での仕事も今週は少し休みが多くて、今日はめずらしくじっくり家にいる日。
なかなかさわれないこのブログのことはずっと気になっていて、そもそも《書きたい》《書くぞ》があるからやってるわけで、物理的になかなか書けない、だけじゃなく《書きたい》《書くぞ》がなくなってきたら、終わりだよなあ…とちらちら思う。それでもアクセス数は日々それなりにあり、チラ見にせよガッツリ読みにせよ、いろいろな誰かの目にここがふれていることは確か。

で、そういえば…と振り返ってみて、そうか!といまさら気づいたのだけど、このブログを始めてなんと今年でちょうど10年だったんですね。ふおお…よくもこんなに長く続いたものだ。
過去記事をちょっと見てみると、まあ書きに書いたり、さすが10年。更新なかなかできないときも多かったりしたとはいえ、月日の積み重なりってすごいもんです。途中からフィギュアのことを書くようになったので余計にボリュームがすごいことになったんだよなあ。
それにしても内容がバラバラで何がメインのブログともいえないまま、いわば「よろず屋さん」みたいにずっと開店だけはしてきた感じ。

今はFacebookやツイッター、インスタ、ほかにもくわしくは知らないけどいろんなツールがいっぱいできて、手軽で広範囲につながる手段はたくさんあり、ブログをやってる人が次々とそちらに移行していくのはよくわかる。
でもわたしには《書く》ことをシンプルに据えた、今やアナログともいえるブログという形が一番しっくりくることは変わりがなく、ただただマイペースに続けてきたのだと思う。
問題は、その《書く》の意欲が自分の中でどうも衰弱してきてるのかな?という不安。
かといってほかのツールに移行したいという気持ちにはならないし。
なんだろうな、きっと《書きたい》の源泉はちゃんと存在してるんだけど、気力というかエネルギーが足りない感じ。時間がなくても、何がなんでも、書くぞ!っていうふうにならないことが、自分でも悔しいし、もどかしい。

ときどき周期的にやってくる人間不信というか、「やっぱり人なんかきらいだ旬間」みたいなのがまた来てるってのもあるのかもしれません。
といいつつ職業がら人の話は山ほど聴くし、プライベートでもこのところやたら人から相談を受けることが多く、娘たちからは「お母さんのやってることはほとんど人のためだよね」と(これはほめているのではない)との厳しい指摘。「自分のために自分のやりたいことをやれ」ってことなんだよね。わかっています。
最近、詩もあまり書いてないし、散文のいろいろな断片は浮かぶのにけっこう飛び去っていってしまい、新しい本を作る構想も心の中にあたためてはいるけどあたたまってるのみ…

「ひぐらしだより」も、閉じることは考えていないけど、10年を機に何かしらリニューアルというか、変化をつけてみようかなと思ったりしています。
ここが私にとり、とても大切な場所であることは変わりないので。

最近映画もけっこう観ているのにレビューが書けてないのも残念…って、プラス指向でないことばかり書いてるぞ今日の私!(いや、こういうことけっこう多いですかね…)
せめてものオマケに、最近観てよかった映画のリストを。(映画館・DVD混在)

「フレンチアルプスで起きたこと」
「パターソン」
「君の名前で僕を呼んで」
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
「光をくれた人」

観たくて見逃してるのは、

「立ち去った女」
「ラブレス」
「女は二度決断する」

の、ずっしり重そうな3本。

そうそう、エネルギー注入作用のあるものとしては、ひさびさに開かれるスピッツのファンクラブ限定ライブ(GO!GO!スカンジナビア)に行けることかな。9月だけど…(遠い)

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# by higurashizoshi | 2018-05-11 12:32 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

「マタイ受難曲」という経験

結果的にひと月以上ブログにさわれず、オリンピックの最後のところから世界選手権すべてについても何も書けないまま、ついに4月になってしまいました。
この間に、東京と広島に短い旅をして、それぞれにたくさんの経験をし、そして昨日、この一年以上かけて練習してきたバッハ「マタイ受難曲」の演奏会を終えました。

この曲を演奏する意味をさまざま考えてきたのちに、私は自分なりの思いで歌えばいいんだとやっと最近になって考えるようになりました。自分にとっての《死》への悲しみや痛みについて、人に対する誠実さや《信じる》ということについて。
練習しても練習してもこの大曲の前にまだまだ未熟なままでしたが、ステージにあがってすばらしいオーケストラの音色とソリストの歌声を稀有な位置から堪能し、そして自分なりに精一杯歌い抜いて――家族、親族、たくさんの友人知人もいろいろなところから聴きに来てくれた昨日は、私にとっては特別な光をまとった日になりました。


やっと初めて娘たちと訪れることができた、広島・原爆ドーム。

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爆心地点を地上から見上げて。

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明日からはまた、新しい一日。
鎮魂と感謝の思いを胸に。
いまだに胸の中ではずっと「マタイ」の旋律が鳴り続けています。


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# by higurashizoshi | 2018-04-01 23:53 | 観る・読む・書く・聴く | Comments(0)

平昌オリンピック フィギュアスケート 女子フリー 金メダルの争い

終わりました。女子フリーが終わりました。
今は、とりあえず金メダルと銀メダルを分けた二人の戦いについて。

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一昨日、女子ショートプログラムは上位陣がそろってパーソナルベストを続々更新するというすばらしい試合となりました。その中でも、エフゲーニャ・メドベージェワ選手が完璧な演技で出した歴代最高得点を、わずか20分後にはアレーナ・ザギトワ選手が更新、まったく異次元の一騎打ちがスタート。
そして中一日をあけたフリー。金メダルは、首位発進となった15歳のザギトワ選手か、僅差の2位発進となった世界女王メドベージェワ選手か。二人のショートでの得点差は、わずか1.31。

オリンピックシーズン序盤までは他を寄せつけることのない盤石の強さで、平昌での金メダル確実と思われたメドベージェワ選手。しかし昨年11月、右足の甲を疲労骨折していることを公表し、治療期間に入りました。
ちょうどメドベージェワ選手が治療に入った12月のグランプリファイナルで優勝したのが、まだ今季ジュニアからシニアに上がってきたばかりのザギトワ選手。ともにモスクワのエテリ・トゥトベリーゼコーチの指導を受ける同門の2人の行方に、大きな注目が集まりました。
メドベージェワ選手のケガ明けの復帰戦となった今年1月のヨーロッパ選手権では、ザギトワ選手がメドベージェワ選手を制して優勝。2年以上、どの試合でも負けなしだった絶対女王メドベージェワ選手の、初めての敗北でした。

そして迎えたオリンピック。メドベちゃんはケガは完全に治り、影響はないと断言。いつもながらの力強い高難度のジャンプ、ミスのない、そして表現力豊かな演技は健在。
一方のザギトワちゃんは、今季ほとんどミスのない演技を連発し、シニア一年目にして出場した国際試合のすべてで優勝。まさに伸び盛りの勢いを見せていました。
特に彼女が武器とするのは、3ルッツ+3ループをはじめとする高難度のジャンプをいとも軽々と高く正確に跳んでいく驚異的な技術力。そしてジャンプ7つすべてを得点が1.1倍になる後半に組み込むという、究極の高得点狙いの鬼プログラムでもまったくバテることのないスタミナとメンタルの強さ。
しかし、メンタルの強さではメドベちゃんはまさに女王。常に主体的にプログラムにも練習にも取り組み、どんな試合にも緊張や弱気などかけらも見せずに強く明るいオーラを放つ存在であり続けてきました。彼女の不運は、やはりよりによってオリンピックシーズンに骨折してしまい、その影響が避けられない中で対決に臨まなければいけなかったことでした。

ロシアからの選手派遣がドーピング問題で大揺れし、個人資格という変則的な形での参加となったロシアの選手たち。もともとウインタースポーツの牙城だったロシアですが、この五輪では今日まで金メダルはひとつもなかったんですね。そんな中迎えた女子シングル、どれほどの重圧が18歳と15歳の2人の少女の肩にかかっていたことかと思うと、胸が痛くなります。

フリーの滑走順は、ザギトワちゃんのほうが早く、メドベちゃんは最終滑走。
ザギトワちゃんの今季プログラムは、ショートが「ブラックスワン」、フリーが「ドン・キホーテ」と、どちらもクラシックバレエをベースにしたもの。特にフリーはバレエチュチュの真っ赤な衣装でドン・キホーテのキトリを演じるという、ロシアの伝統的な、ある意味ベタな演目。表現力というよりは、音楽とスケーティング技術をかっちりと合わせ、そこに高難度ジャンプをこれでもかと盛り込んで高得点をねらうプログラムです。

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今日もまったくミスなく進むに見えたプログラムの中、後半に組み込んだ3ルッツ+3ループ、ザギトワちゃんの最強ジャンプコンビネーション。最初の3ルッツの着氷が詰まり、コンビネーションがつけられず! あわやのミス! と思ったら、そのあとジャンプ構成をすみやかに変更して、その後の3ルッツにおそろしく質のいい3ループをしっかりとつけてきました。うおお。
なんという落ち着き。どんなことにも対応できるように徹底的に鍛錬しているんでしょう。
すべてのジャンプ、エレメンツを完璧にこなし、フィニッシュ後は片手を挙げて力強くガッツポーズ!強い!!
そして出た点数は、フリー156.65、総合239.57のハイスコア。とはいえ、歴代最高には及びませんでした。

メドベちゃんのフリーは「アンナ・カレーニナ」。ロシア文学の名作を、その表現力を駆使して演じ切り、ジャンプも各エレメンツもすべてがその演技の一部であるかのように感じさせる、非常に芸術性の高いプログラムです。衣装もまさに芸術品の美しさ。

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いつものように、物語に入り込む表情からスタート。
しかし、冒頭のジャンプコンビネーションがこれまで後半(得点1.1倍)に入れていた3フリップ+3トゥだとわかった瞬間、私の頭にパッとともった言葉は《ああ、金は取れない!》でした。
ほんのわずかな差が勝敗を分けるこの場面で、あえて後半から前半にジャンプを移さざるを得ないのは、後半に置いておけば失敗する懸念があるから。確実に跳ぶ自信のある冒頭に、このコンビネーションを持ってきたのでしょう。今のメドベちゃんは、そういうコンディションだったのだ、ということだと思います。

もし冒頭に移動した3フリップ+3トゥをこれまで通り後半で跳んでいたら。
《もしも》の話をしても仕方ないことですが、そうであれば得点は変動し、メドベちゃんが金メダルだった可能性はあります。それができるコンディションであれば、さらにコンポーネンツも上がっていたかもしれません。
ジャンプ全部を後半にかため、1.1倍のメリットを目いっぱい使うザギトワちゃんとの差が、そしてコンディションにわずかの疵があるかないかが、結局メダルの色を分けることになったのです。

メドベちゃんは、最後まで強かった。すべてのジャンプを降り、心からの演技をしました。
演技を終えた瞬間にあふれ出た涙、初めて見る彼女の号泣にこちらも涙が流れました。
そして、キスクラで得点を眼にしたときの、彼女の絶望的な悲しみの表情を忘れることができません。フリーの得点は、ザギトワちゃんとまったく同じ156.65。そして総合は238.26。
わずかに、わずかに1.31点の差、つまりショートの点差がそのまま天と地を分けました。

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キスクラで泣きながらうつむいて、でも次の瞬間顔を上げたときは笑顔になっていた。この強さがメドベちゃんだと思いました。世界選手権に出場するかはわからないけれど、しっかり休養して万全のコンディションになって再び戦ってほしい。

その昔、15歳のタラ・リピンスキーが彗星のように現れ、長野五輪で金メダル確実のはずだった世界女王ミシェル・クワンの手から金メダルをもぎ取っていったことを思い出しました。クワンは結局五輪金メダルを最後まで獲ることはできず、一方のリピンスキーは長野五輪のすぐあとに現役引退。その後はタレント活動をしていて、この平昌五輪でもジョニー・ウィアーと組んでアメリカのテレビのフィギュアスケートの実況解説を担当しています。

もちろん、金メダルを手にしたザギトワちゃんは祝福したい。どうか彼女のこれからのキャリアに、このメダルがよい影響を与えますようにと願います。リプニツカヤ選手のようにメディアや周囲の期待にもみくちゃにされて早々とリンクを去った選手のことも、つい思い出してしまうので。
まだ15歳の彼女は今後体形変化もあるだろうし、ロシアには同じトゥトベリーゼ門下だけでも四回転を含めたおそろしいジャンプをバンバン跳べるジュニア選手がわんさといます。すぐに下からの突き上げも始まるでしょう。
本来ならもっと時間をかけて成長を見守ってもらうべき卓越した才能の持ち主なのに、こんなに早く金メダルを獲ってしまったことでこれからの道のりが逆に険しくなるかもしれない… ついついそんなことを考えて、ザギトワちゃんの無垢な笑顔が曇らなければいいなあと願っています。

本音を言えば、やっぱりメドベちゃんを表彰台の真ん中に立たせてあげたかった。
なんともいえない残念な気持ちとともに、フィギュアスケートの採点って…とあらためて考えることにもなりました。後半に高難度ジャンプを固め打ちすれば勝てるのならば、コンポーネンツは何のためにあるんだろう?などと。
そういう意味では、どこかモヤモヤした気持ちが残った女子フリーの頂上決戦でした。

すばらしかった宮原知子選手など、ほかの女子フリーの内容については次回書きたいと思います。



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# by higurashizoshi | 2018-02-23 23:13 | フィギュアスケート | Comments(0)

平昌オリンピック フィギュアスケート アイスダンス

平昌オリンピック、早くも折り返し点を過ぎました。
フィギュアスケート競技も団体戦、個人戦の男子、ペアと終わり、昨日今日はアイスダンス。そう、私の大好きなアイスダンスなのに、テレビ放映が…ペアと同じくあまりに貧しい。
昨日のショートダンスは後半3グループはBS1で生中継があったのだけど、今日のフリーダンスに至っては他の競技が押したために最終グループ+1カップルしか生中継してくれませんでした。
ただし、今回は民放やNHKのネット配信での中継があったので、テレビでやってくれない前半部分はそちらで観ようと思ってたのですが…ショートダンスのときからなぜか音声が出ない!
ツイッターなどでも《音出ない》と言ってる人が複数いたので、何か解決法がないかなって探したんだけど…無理でした。で、仕方なく画質はよくないけどロシアのライストで観ました。とはいえ、不便はあってもいろんな方法でこうやって生で試合を観られる今の時代は、テレビしかなかった昔に比べてどれほど恵まれてることか。

昨日今日とそうやってアイスダンスを追いかけて、もうお腹いっぱい、胸いっぱい、ほんとうにすごい戦いでした。
これをテレビで少ししかやらず、一般に知られないのがまことにもったいない。

まずは、すべての戦いを終えて頂点に立った3組の姿を。
金メダルは、カナダのテッサ・バーチュー&スコット・モイア組(206.07:歴代最高得点)。
銀メダルは、フランスのガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組(205.28)。
銅メダルは、アメリカのマイア・シブタニ&アレックス・シブタニ組(192.59)でした。

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4位からの順位は次のとおり。

4 マディソン・ハベル&ザッカリー・ドノヒュー(アメリカ)187.69
5 エカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビヨフ(ロシア)186.92
6 アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ(イタリア)184.91
7 ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ(カナダ)181.98
8 パイパー・ギルス&ポール・ポワリエ(カナダ)176.91
9 マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ(アメリカ)175.58
10 シャーリーヌ・ギグナード&マルコ・ファブリ(イタリア)173.47
11 ペニー・クームス&ニコラス・バックランド(イギリス)170.32
12 サラ・ウルタド&キリル・ハリャーヴィン(スペイン)168.33
13 ティファニー・ザゴルスキー&ジョナサン・ゲレイロ(ロシア)162.24
14 ナタリア・カルシュク&マキシム・スポディリエフ(ポーランド)161.35
15 村元哉中&クリス・リード(日本)160.63
16 カヴィタ・ローレンツ&ヨティ・ポリゾアキス(ドイツ)150.49
17 マリー=ジャード・ローリオ&ロマン・ルギャック(フランス)149.59
18 ユラ・ミン&アレクサンドル・ガメリン(韓国)147.74
19 アリサ・アガフォノワ&アルペル・ウチャル(トルコ)147.18
20 ルチエ・ミスチェコヴァ&ルカシュ・チェーレイ(スロバキア)142.57


【テサスコv.s.パパシゼの頂上決戦】

今回のオリンピック、アイスダンスの頂上争いは2つのカップルに絞られてました。
バンクーバー金メダル、ソチ銀メダル、もはやアイスダンス界のレジェンドといっても過言ではないテッサ・バーチュー&スコット・モイア組。いったん現役引退をしたあと、まだやり残したことがあると競技に戻ってきての挑戦です。
もう一組は、若きカリスマカップルとなったガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組。現在世界歴代最高得点の記録を持っている2人。私がジュニアのころから偏愛してきたカップルなんですが、まさかこんなに早く、こんなところまで登りつめてくるとは思ってませんでした。

この二組は、同じコーチ陣のもとで、同じリンクで練習してるチームメイト。リンクサイドでなごやかに一緒にいるシーンも見られます。世界一を争ってしのぎを削る2組が…と思い返せば、テッサ&スコット組と、バンクーバー五輪とソチ五輪で金メダルを競い合ったライバルのデイヴィス&ホワイト組も、当時やっぱり同じコーチ、同じリンク(現在とは別のところ)のチームメイトでした。

テッサ&スコット(テサスコ)が競技に復帰してきた昨シーズンは、ちょうどパパダキス&シゼロン(パパシゼ)が飛ぶ鳥を落とす勢いでアイスダンス界を席巻していたとき。まだ20歳そこそこのパパシゼは快進撃を続けてたのですが、その後状況は変わってきました。復帰したベテランのテサスコの方がじりじりと得点を伸ばしてきたのです。
そしてオリンピックシーズンの今シーズン、2つのカップルの評価は拮抗してきました。テッサとスコットは28歳と30歳。いったん引退したとはいえ、まだまだアイスダンスの選手としては現役で十分戦える年齢です。

私はパパシゼを偏愛してきたとはいえ、テサスコはその技術、調和性において人間界を超えたアイスダンスカップルだと思っているので、今回はどちらにも勝ってもらいたいという気持ちで悶々としてました。パパシゼはまだまだ若い。これからがある。でもテサスコはこれが最後の五輪、最後の競技シーズンだと明言してる。おまけに今シーズンのテサスコのプログラムの仕上がりの凄まじいことといったら!

まずは昨日のショートダンス。
テサスコが歴代最高得点を出してトップに立ちました。
まさに鳥肌ものの演技。こんなラテンは誰にも滑れない。テッサの新衣装は、大阪の全マダムがひれ伏すゴージャス豹柄です。

(動画はいずれも最初にCMが入るのでそのまましばしお待ちを。あと、画面左下の音声ボタンをクリックして消音をオフにしてくださいね。あと、このサイトの動画は時間がたてば消えてしまうと思うので、その場合は別のところから動画を探して貼るようにします)

かたやパパシゼのショートダンスは、演技の最初のあたりでガブリエラちゃんの衣装にアクシデントが起きました。演技を中断できないと思ったガブリエラちゃんはそのまま続行。もちろんギヨームくんも気づいていたはずで、そのせいもあってかツイズルで近づきすぎるなどいつもより若干不安定な演技に。衣装がはだけたためにガブリエラちゃんは精神的な傷も負うことになり、ほんとうに残念でした。
とはいっても、そんな中ですばらしい得点を出したのはさすが若きカリスマカップル。テサスコとは、わずか1.74点という僅差につけました。

さて。
3位以下とは大きく差をつけて臨んだ、今日のフリーダンス。
滑走順はパパシゼの方が先でした。
彼らのオリンピックシーズンのプログラム、ベートーベンのピアノソナタ「月光」。
歴代最高得点を叩き出した、神々しいほどの端正な演技、ひとつの作品をつくりあげた2人の美しいムーブメントをごらんください。

そしてテサスコは、最終滑走。
もっとも重圧がかかる順番です。
なのになのに、結果、パパシゼの歴代最高得点を速攻で更新してしまった彼ら。
フリープログラムは「ムーランルージュ」。狂おしいまでの男女の愛のよろこび、苦しみが迫ってくる圧巻の演技です。
こんなものを観たらもう何も観たくないというくらい、アイスダンスでこんなことができるんだというひとつの究極を見せられた思い。

もしパパシゼにショートダンスでのアクシデントがなかったら…とか、滑走順が違っていたら…とか、たくさんの《もしも》はあるにせよ、テサスコのフリー演技は「ああ、彼らが世界最高なんだ」としか納得しようのない、圧倒的なものでした。

今のテサスコを見ていて思うのは、カップル競技における《ユニゾン》についてです。
同調性とか、調和性とか訳される《ユニゾン》。
つまり二人がいかに息を合わせ、ひとつに溶け合うように演技ができるかということなのですが、私が思うにテサスコの持つ《ユニゾン》は、ほかのアイスダンスカップルと完全に一線を画しています。彼らの演技における《ユニゾン》は、合せるとかではなくて、まるでひとつの身体を共有しているかのようです。
スコットが「テッサと心臓の鼓動すら合わせたい」と話したことがあるそうですが、この二人は7歳と9歳のときにカップルを組んで以来、ずっと組み替えなしで緊密な関係を作り上げてきました。心も身体も、お互いこれほど知り尽くしている相手はいないのではないかと思います。試合前に二人が必ずおこなう、恒例の長いハグ。それは他者を寄せつけない空気に満ちています。
でも、彼らはプライベートではリアルカップルではないそうです。あまりに仲がよく、あまりに息がぴったりなのでしばしば誤解されるみたいですが。
私はむしろ、この二人が恋愛関係でないがゆえに、たぐいまれな《ユニゾン》が壊れることなく育ってきたのではないかと思うのです。そして、男女が恋愛感情を介さずにここまで信頼しあい、大切に思いあうことができるということ。これもまたゆるぎない《愛》なんだな、こういう愛が存在するなら、この世にも希望があるな、と。
たぶん、こんな《ユニゾン》を持つ二人は、これから先も出てくることはないんじゃないかとも思うのですが。

テサスコは、やっぱり今季でもう競技をほんとうに去ってしまうのかな…。念願の平昌での金メダルを手に入れて、歴代最高得点も更新して、もはや競技の世界ではこれ以上望むことはなくなったのかもしれないけれど、彼らがいなくなると考えるとさびしくてもったいなくて。
パパシゼは、ここからもっともっと進化していくでしょう。それが楽しみで仕方がないし、きっとテサスコとはまったく違う意味で、あとにも先にもないほど圧倒的なアイスダンスカップルになってくれると思います。



【ついにメダル!シブタニズ。そしてオリンピックの魔物】

ものすごく上手な日系のジュニアカップルがいる、という話が耳に入ったのはかれこれ10年近く前だったような。お人形さんのようにかわいらしいマイアとアレックスのシブタニ兄妹が、ついにシニアデビューしたのは2010-11年シーズンで、そのシーズンの全米選手権、四大陸選手権で2位、世界選手権でも銅メダルを獲得と、電撃的デビューを飾りました。
ただしその後はソチ五輪でも9位、世界選手権でも表彰台から遠ざかり、プログラムに関してもなかなか彼らにぴったり合うものが見つからず、高い技術と一定の評価は保ち続けるものの、世界のトップには届かない日々が続きました。

転機は2015-16シーズンのフリープログラム、コールドプレイの「Fix You」。やっと《これがシブタニズ》と言えるプログラムを得て、全米選手権で初優勝、世界選手権でも5年ぶりに表彰台に立ちました。
今シーズンは、同じコールドプレイの「Parachutes」をフリープログラムの曲に選んでオリンピックに臨みました。

今回のオリンピック、金メダル・銀メダルはテサスコとパパシゼのほかはなく、銅メダルがどのカップルになるかが注目でした。
銅メダル候補としては、同じアメリカのマディソン・ハベル&ザッカリー・ドノヒュー組とマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組、イタリアのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組などが挙がってました。

その中で、ハベル&ドノヒュー組がショートダンスで3位発進。僅差でシブタニズが4位につけました。
そんな中で、やっぱり出たんですね、いわゆる《オリンピックの魔物》が。
フリー最終グループの直前、チョック&ベイツ組はスピンに入るところで転倒。ふだんは大きなミスのない、技術力の高いカップルなのに…。今季「イマジン」のとてもすてきなプロで、好調でもあったのですが…。スピンがノーバリュー(0点)となり、2人とも転倒となったので2点減点。涙を流してのフィニッシュに、こちらも泣いてしまいました。

そして、シブタニズがノーミスで感動的な演技を終え、銅メダルを目の前にしたハベル&ドノヒュー組。初の全米選手権優勝をもぎ取った、自信のフリープログラム。
ところが、演技冒頭からいつもの彼ららしいパンチのきいたスピード感がなく、ツイズルでレベルも取りこぼした上、最後にザッカリーくんが氷に両手をついてしまい転倒扱いに。今季破竹の勢いだった彼らを襲った、これもオリンピックの魔物だったのでしょう。

カッペリーニ&ラノッテ組は「ライフ・イズ・ビューティフル」のサントラで、まるで映画を氷上に写し出すような情感あふれるすばらしい演技でしたが、ツイズルなどでレベルを取れず得点はあまり伸びませんでした。
そして、私がずっと応援してきたエカテリーナ・ボブロワ&ドミトリー・ソロビヨフ組。長くロシアのアイスダンスを牽引してきた2人の、たぶん集大成のオリンピック。ぐっと引き込まれる演劇的なフリープログラムでほんとうにすばらしかったのですが、結果はソチ五輪と同じく5位にとどまりました。
さまざまなことがあった結果、銅メダルはシブタニズの手に。まだ若い彼らですが、低迷も苦労も垣間見てきただけにこちらも感慨ひとしおでした。

そして、村元哉中&クリス・リード組の大健闘も、もちろん忘れちゃいけません。
シングルの選手だった哉中ちゃんがアイスダンスの世界に飛び込み、クリスと組んでから、ものすごい勢いで二人は進化してきました。五輪での15位はほんとうに立派です。
哉中ちゃんがぐいぐいクリスを引っぱり、クリスはこれまでの経験で哉中ちゃんを支え、とってもいい関係の中で急成長してきたんだろうなと思います。これからもっともっとうまくなることでしょう。彼らがどこまでいけるのか楽しみです。

私がアイスダンスを本格的に観はじめたのはバンクーバー五輪からなので、ちょうど8年くらい。この間にもたくさんの変遷があり、引退、復帰、組み替え、コーチの変更、けっこうめまぐるしい変化がありました。そして、最初のころからずっと一緒に観てきた娘たちも、この8年で子どもから大人へ。
アイスダンスはシングルと違い、ファンが少なくてなかなか人に話が通じないこともあって、どんな選手がどのコーチからどのコーチに替わったとか、ステップの種類やらレベルがどうとか、そんな話が母娘の間でツーカーで通じるというのもなかなか珍しいことなんだろうなと思います。
今日テサスコが金メダルを決めた瞬間は、テレビの前で母娘3人で絶叫!そして落涙!でした。きっとこういう記憶は、ずっと心に残っていくんだろうなあ。

さて、明日から女子シングル。
いよいよ平昌オリンピック、フィギュアスケート最後の種目が始まります。
どうか選手たちみんなが、力を出し切れますように。魔物は、なるべくおとなしくしていてください。


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# by higurashizoshi | 2018-02-21 00:18 | フィギュアスケート | Comments(0)

平昌オリンピック フィギュアスケート 男子フリー

今日は家にいて、NHK地上波の生中継を最初から最後まで観てました。
途中で、もう観るのやめたいと何度か思うくらい、すごい試合でした。
ソチ五輪の男子フリーは最終グループに自滅演技が多く、モヤモヤが残った記憶があるのですが、今回平昌五輪の男子フリーは違いました。まっとうな激闘であり、結果も納得いくものでした。点数的なレベルが高すぎて、時代の変化をまざまざと感じた今日でした。

結果的には、ショートの上位3人がメダル。
勝つべくして勝った3人。心から讃えたいです。
ハビエル・フェルナンデス選手は、スペイン史上初めてのフィギュアスケートのメダリストとなりました。ほんとうにおめでとう!

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男子シングルの総合順位です。

1羽生結弦(日本)317.85
2宇野昌磨(日本)306.90
3ハビエル・フェルナンデス(スペイン)305.24
4ボーヤン・ジン(中国)297.77
5ネイサン・チェン(アメリカ)297.35
6ヴィンセント・ゾウ(アメリカ)276.69
7ドミトリー・アリエフ(ロシア)267.51
8ミハイル・コリヤダ(ロシア)264.25
9パトリック・チャン(カナダ)263.43
10アダム・リッポン(アメリカ)259.36
11アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)257.01
12 キーガン・メッシング(カナダ)255.43
13ダニエル・サモヒン(イスラエル)251.44
14ヨリク・ヘンドリクス(ベルギー)248.95
15チャ・ジュンファン(韓国)248.59
16ミハル・ブレジナ(チェコ)246.07
17ミーシャ・ジー(ウズベキスタン)244.94
18田中刑事(日本)244.83
19デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)234.58
20ブレンダン・ケリー(オーストラリア)233.81
21マテオ・リッツォ(イタリア)232.41
22パウル・フェンツ(ドイツ)214.55
23ハン・ヤン(中国)213.01
24モリス・クヴィテラシビリ(ジョージア)204.57


羽生結弦選手の圧倒的な強さ。この心の強さはどこからくるのだろう。
奇跡的なものを観た、という思いがぬぐえません。
こんな人はこれまでもいなかったし、これから先もいないだろう。
と同時に、これがもし彼の集大成になるのだとしたら、あまりに早く、さびしいなとも。
この特別なスケーターがこれからさらに進化するさまを、見たい。そう思わせられたから。

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正直にいって、宇野昌磨選手が銀メダル、ということにいまだ実感がないんですよ。
私、ずっとショーマ推しで、すごく好きなスケーターなので応援もしてきたのだけど、
「ショーマ?メダル?それも、銀…?」
てキョトンとしてしまう。

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フリー最終滑走で、冒頭の四回転ループで転倒したときは「もうだめか」と思いました。
インタビューによると、本人はその転倒で《一番にはなれないな》って思ったそうで、そしたら笑えてきたんだそうです。「笑いがこみあげてきた」って言ってましたね。
笑える…?オリンピックのメダルのかかった最終滑走の演技中に、笑える…?
ショーマは試合のとき、他の選手の演技をモニターで全部観てる珍しい選手です。ふつうは動揺するので見ないと思うんだけど、彼は平気なんですね。だから最終滑走の自分までの全部の選手の演技も得点も知ってた。そのうえでリンクに出ていった。
確かに、ショーマの基礎点からすると、もし予定通りのクリーンな演技ができたら結弦くんを上回る可能性はあったんですよね(いや、今回はそうならなくてよかったと思うけど)。
でも冒頭に転倒したから、あ、一番は無理だなって思った。そしたら笑えてきた。「もう、がんばろ、って」思ったんだそうです。そして銀メダルです。
要するに、今の彼にとっては、ほんとにその言葉通り、オリンピックは特別なものではない。試合のひとつにすぎないんですね。つくづく、これまで見たことのないタイプの選手だなって思います。
そういう意味でも、これからのショーマがどう変化していくのかが楽しみです。

ハビーは、たったひとつ四回転サルコウが抜けて二回転になった、あの瞬間に金メダルを逃しました。たったひとつ。
それでもそのほかはほんとうによくまとめました。縦横無尽でのびやかな最高のハビーではなかったけど、これまでのすべてを出したい、なんとしても勝つんだという思いがあふれ出ていました。
結果が出たあと、あの優しい笑顔で結弦くんを抱きしめて讃えるハビーの様子を見て、涙が止まりませんでした。

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メダリスト全員が300点台という、4年前には想像もつかなかったハイスコアな五輪。
追い上げてあと一歩だった4位のボーヤン・ジン選手、奇跡のフリーを見せてくれたネイサン・チェン選手(フリーだけなら彼がダントツの1位でした)、そしてパトリック・チャン選手やミハル・ブレジナ選手など今季での引退を表明している選手たちの演技。
ヴィンセント・ゾウ選手やデニス・ヴァシリエフス選手など、4年後の進化が期待できる若い選手たちの姿も心に残りました。

実は今日はプライベートでは娘の天下分け目の試験当日で、そのことにハラハラし、男子フリーにハラハラし、一日中ちゃんと生きた心地がしませんでした。
でも娘も結果はわからないけど無事受験を終えて帰ってきたし、男子選手はみんなほんとうにすばらしい演技を見せてくれたし、ちょっと心を落ち着けてお風呂入って寝ようと思います。あ、録画してた表彰式見なきゃ。


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# by higurashizoshi | 2018-02-17 23:51 | フィギュアスケート | Comments(0)

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