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ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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世界フィギュア選手権2012(その1)

毎年、フィギュアスケートの競技シーズンは、開幕したと思ったら嵐のように時が駆け、あっという間に終わってしまう。
ウインタースポーツなのだから仕方ないが、ちょうどシーズン開幕のプロ野球が大々的に取り上げられているのに比べて、一年に一度の世界フィギュアスケート選手権なのに新聞の扱いはこんなに小さいよ? シーズンはもう終わってしまうというのに? こんなすごい試合がおこなわれたんだよ? と思ってしまう。フィギュアファンだったらみんな思うのだろう。

今シーズンの競技はあと、国別対抗戦を残すだけ。世界選手権が終わり、しばし怒涛の試合内容をリピートしつつ脱力感。ああ、終わったんだなあ。
去年は震災のため東京開催の予定がモスクワ開催に変更、時期も4月にずれ込んだ世界選手権。今年は例年通りこの時期に、フランスのニースでおこなわれた。
ただし、今年は全米選手権、ヨーロッパ選手権を生中継で放映してくれた素敵チャンネルJSPOTS4が、なんとなんと肝心の世界選手権を生中継しない! しかも録画放映は4月7日からってどうゆうこと!?
それが何を意味するかというと、開催時は地上波でしか観られない。ということは、ほぼ男女シングルしか観られない、ということ。ペアとアイスダンスは地上波放送ではほとんど無視されている(日本の選手が一握りしかいないため)。
あああ…一番待っていたアイスダンスが4月の半ばにならないと観られないとは! それまでに観たければyoutubeのちっこい荒い動画を観るしかないということだ。
ああ、ない金をつぎこんで契約してるのにJSPOTS4よ、こんなところで裏切るとは! もう素敵なんて言ってやんない!

…と、この理不尽にブーイングしつつ、地上波の放映はもちろんばっちり録画オン、かつテレビ前に女3人がかぶりつきで、ともかくも男女シングルをじっくりと見せていただきました。
なんといっても今回は男子でした。特にフリーでした。凄いものを見せていただきましたよ。

今季の最注目は17歳の羽生結弦選手。タタと同い年ということもあってジュニアのときから応援していたが、とにかくケタ外れの選手になりつつある。
去年の震災時は仙台のホームリンクで被災、自宅は半壊、その後夏にリンクが再開するまで各地のアイスショーに出ながら練習してきたという、羽生選手にとって忘れられない厳しいオフシーズンだったと思う。
被災地を背負って、という気持ちもあっただろうし、競技が始まってからはとにかく攻めて攻めて攻めまくる試合内容。この人、顔は優しくて身体は細くてクニャクニャで気が抜ける感じなんだけど、いったんリンクで演技に入ると別人化する。
特に今季のフリープログラム「ロミオとジュリエット」は彼に直球はまりプロで、あるブログで《これではジュリエットの一家全員殺してしまいそう》と言われていた(思わず納得)。
しかも四回転ジャンプの精度がどんどん上がってきて、彼のジャンプはスケールがすごく大きいのでとにかく迫力があり、かつ美しい(これは昨夏に大阪のアイスショーで実物を見ての感想。このときのトリプルアクセルの美しさは衝撃的だった)。

もちろん初出場だった今回の世界選手権、ショートプログラムは気負いが先に立った感じでいくつかミスをおかし、7位発進に。
まあいくら急成長してるとはいえ、まだ17歳になったばかりだし、初めての世界選手権だし、そんなもんちゃう? と思っていたのが大間違いだった。こやつはとてつもなく度胸と根性のある少年であった。おそれいりました。結果はなんとフリーだけなら2位、総合3位、夢の250点越え。羽生選手の細っこい首にメダルが飛んできてしまったのだ(動画はこちら)。

このフリーの内容が凄かった。会場大興奮。なんといってもジャンプ。最初に完璧な四回転を決め、次々に鮮やかにジャンプを成功。しかもそのあと、ストレートラインステップでいきなり転倒! フランスのお客さんが悲鳴をあげ、頭をかかえる! と、ロミオは直後に立ち上がり、何のダメージもなくいきなりトリプルアクセルのコンビネーションを決める! 怒号のようなどよめきと拍手。
最後の渾身のステップでは、確かにジュリエット一家が、いやジュリエットすら逃げ出しそうな(それではだめやんか…)鬼神のごとき迫力で舞い、そしてずっと課題だった、スタミナ切れで失敗してきた最後のトリプルサルコウも何とか成功させ、フィニッシュ。
ものすごいアドレナリン出っ放しの眼力ガッツポーズのあとは、突然別人化が終了。
全てを出し切った少年に戻って涙を流した。ふにゃふにゃになってコーチのところに戻って抱き合う元ロミオ。
このギャップの大きさ、実は意識してやってるんじゃないかと疑いたくなるほど。こういうところも含めて、とにかく人の目を引きつける力がハンパじゃないのである。

最後の右手を挙げて天を指差すガッツポーズは、彼があこがれているプルシェンコ選手を意識したものだと思えたし、これひそかに鏡の前でひとりで練習してたんじゃ…と考えてしまった。
リンクサイドでコーチに持ってもらうティッシュのボックスカバーが必ずくまのプーさんだったり、ドリンクのカバーがプログラムごとの衣装とおそろいで替わっていたりと、これはこだわりなのか、それともキャラクター作りなのか。私が思うのは、彼は実は非常に野心家でしたたかな作戦家であるということ。
あるインタビューで、「世界チャンピオンになるのはもちろんのこと、他の選手を突き放し続けるような選手になりたい」というようなことを言っていたのを読んで、なるほど…と思ったのだった。羽生選手はたぶん、うまくいけば世界で勝てるかもしれない、というこれまでの日本人選手の枠を軽く超えていく。そういう「予定」をすでに持っている。自分をリンク内でもリンク外でもどう「見せる」かについても、よく考えている。
いよいよこんな選手が出てきたんだな、という感慨と、これから実際にはいったいどんなふうに成長し、どこまで行くんだろうという期待と不安。しかもタタと同い年。これはもう来シーズンも眼が離せないなあ。

というところで高橋大輔選手をはじめ、ほかの選手については次回。
by higurashizoshi | 2012-04-06 21:35 | フィギュアスケート

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