ひぐらしだより
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世界フィギュア選手権2012(その2)
今回の男子フリーでは、あれよあれよと見ている間に四回転ジャンプに成功する選手が続出。
応援していたアダム・リッポン選手やジェレミー・アボット選手(なんといってもmuseの楽曲で滑った今季プログラムが素晴らしい)がミスに沈んだのは残念だったけれど、前回触れた羽生結弦選手をはじめ、ずっと不遇だったブライアン・ジュベール選手が、真骨頂の四回転はじめパーフェクトな演技だったのには思わずテレビの前で拍手! フローラン・アモディオ選手もこれまでで一番いい四回転を決め、ほぼクリーンプログラム。
そして男子フリーの最後は、ショートプログラム上位3人を残すだけとなった。今季負けなしのパトリック・チャン選手、若手の実力派ミハル・ブレジナ選手、そして高橋大輔選手。
高橋選手のことを書き出したらまたキリがないのだけど、まず昨年の世界選手権で彼に起きたこと。
フリーの演技中に靴のブレード(歯)がはずれ、中断。必死の修理ののち再開したものの、やはり感覚が違ってしまったのかミスが続き、メダルを取ることができなかった。
この悔しさが逆に、「ソチ五輪まで現役を続行する」という宣言につながって、引退の二文字にヒヤヒヤしていたこちらは胸をなでおろすことができた。
にしても、高橋選手、すでに26歳。個人差はあるものの、早い選手なら競技から退いていく年齢。すでにオリンピックのメダルも手にし、たとえばステファン・ランビエールみたいに早々とプロスケーターになって活躍する道も、彼なら保障されているはず。
そこを「ソチまで」というのは、うーん相当、漢(おとこ)だねえ…というしかない。
高橋選手はバンクーバー五輪シーズンのプログラム「eye」と「道」で、それまでからさらに進化した。で、それ以上どう進化するんだろう?と思っていたら、昨シーズンはマンボ踊りまくりのショートと、ピアソラの「ブエノスアイレスの冬」の精神性の高い素晴らしいフリーのプログラムの対比で「うおー」と言わされた。
そしていったい次は何? と思って待っていた今季のプログラム。
今季のタカハシは黒かった。何が黒いって、衣装が全部黒。ひとつのプログラムにもたくさん衣装を作る人なので、今季も競技会が進むにつれ「あ、また新調した」「あ、また新衣装」と気づき、それがどれも黒、黒、黒。しかもショート、フリーともすべて真っ黒。
原点に返る? シンプルの極みを目指す? 大人の渋さを強調?
ほんとのところはわからないが、少なくとも今季のプログラムはそんなところがあった。
ショートの「イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ」は瞑想的な楽曲に乗せて、まるで修行僧のようにタイトな、それでいて大人の色香がムンムンというプログラムで、フリーの「ブルース・フォー・クルック」は一転してルーズなブルース。上手くない人が滑ると絶対退屈になる、渋い地味なナンバーを自在に、実に自在に料理するさまはまさに絶品!
今回世界選手権で雪辱が果たせるかどうかは、そのフリープログラムに四回転が入るかにかかっていたといえる。この日は多くの選手が成功させ、高橋選手の出番までにすでにものすごいハイレベルな争いになっていて、けして今では四回転ジャンパーとはいえない大ちゃんがここで成功できるんか? と心臓バクバクで見ていた。
今季の彼の特徴は、氷の上での落ち着いたたたずまい。この世の雑音とは遠く、自分の内側をじっと見ているような。こんなところまで来たんだね、この人は…といつも思う。
だから、演技開始のすぐあと、まるで予定されていたことのように綺麗に四回転トゥループを降りてきたとき、ほっとすると同時になんだかとても納得できる気がしたのだ。
そしてそのあとは、アクセルもほかのジャンプもまったく不安なく降り、ステップは本人が楽しんでいることがわかる余裕ぶり。ここまで音楽をつかみ、踊り、表現できる選手はやっぱりいないよなあ…不世出の人だよ大ちゃん…と改めて思う。(動画はこちら)
次のブレジナ選手はショート2位発進で力みが出てしまったようで、本来のキレのいいダイナミックなジャンプが決まらず沈んだ。負けん気とガッツが裏目に出たか…来季がんばってほしい。
そして最終滑走のチャン選手。今季この人は他選手と別世界に生息しているので、もちろん四回転は2回決めるし、そのひとつは三回転とのコンビネーションだし、スケーティングなんてもうバターの上を滑ってるお人形みたい。と思ってたら最後のジャンプの前に転倒、ちょっと人間らしいところを見せてくれた。しかし、今の調子では誰がどう頑張ってもパトチャンの天文学的スコアを超えることなぞ不可能なり。
というわけで、結果はチャン選手金メダル、高橋選手が銀、羽生選手が銅となり、サプライズとしてはやっぱり羽生選手のメダルだった。フリーのロミジュリはyoutubeの閲覧数がえらいことになっているらしく、ちょっとこれからが心配である…。
女子には触れる余裕がなかったけれど、ずっと応援している鈴木明子選手が27歳の誕生日を迎えた直後にみごと銅メダルをとったのは、本当にうれしかった。あっこちゃんおめでとう。まだ引退しないでね。
浅田真央選手には、ともかくゆっくり休んでほしい。それだけ。
肝心のアイスダンスについては、今月中旬の放映を観たら書こうと思っております。
応援していたアダム・リッポン選手やジェレミー・アボット選手(なんといってもmuseの楽曲で滑った今季プログラムが素晴らしい)がミスに沈んだのは残念だったけれど、前回触れた羽生結弦選手をはじめ、ずっと不遇だったブライアン・ジュベール選手が、真骨頂の四回転はじめパーフェクトな演技だったのには思わずテレビの前で拍手! フローラン・アモディオ選手もこれまでで一番いい四回転を決め、ほぼクリーンプログラム。
そして男子フリーの最後は、ショートプログラム上位3人を残すだけとなった。今季負けなしのパトリック・チャン選手、若手の実力派ミハル・ブレジナ選手、そして高橋大輔選手。
高橋選手のことを書き出したらまたキリがないのだけど、まず昨年の世界選手権で彼に起きたこと。
フリーの演技中に靴のブレード(歯)がはずれ、中断。必死の修理ののち再開したものの、やはり感覚が違ってしまったのかミスが続き、メダルを取ることができなかった。
この悔しさが逆に、「ソチ五輪まで現役を続行する」という宣言につながって、引退の二文字にヒヤヒヤしていたこちらは胸をなでおろすことができた。
にしても、高橋選手、すでに26歳。個人差はあるものの、早い選手なら競技から退いていく年齢。すでにオリンピックのメダルも手にし、たとえばステファン・ランビエールみたいに早々とプロスケーターになって活躍する道も、彼なら保障されているはず。
そこを「ソチまで」というのは、うーん相当、漢(おとこ)だねえ…というしかない。
高橋選手はバンクーバー五輪シーズンのプログラム「eye」と「道」で、それまでからさらに進化した。で、それ以上どう進化するんだろう?と思っていたら、昨シーズンはマンボ踊りまくりのショートと、ピアソラの「ブエノスアイレスの冬」の精神性の高い素晴らしいフリーのプログラムの対比で「うおー」と言わされた。
そしていったい次は何? と思って待っていた今季のプログラム。
今季のタカハシは黒かった。何が黒いって、衣装が全部黒。ひとつのプログラムにもたくさん衣装を作る人なので、今季も競技会が進むにつれ「あ、また新調した」「あ、また新衣装」と気づき、それがどれも黒、黒、黒。しかもショート、フリーともすべて真っ黒。
原点に返る? シンプルの極みを目指す? 大人の渋さを強調?
ほんとのところはわからないが、少なくとも今季のプログラムはそんなところがあった。
ショートの「イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ」は瞑想的な楽曲に乗せて、まるで修行僧のようにタイトな、それでいて大人の色香がムンムンというプログラムで、フリーの「ブルース・フォー・クルック」は一転してルーズなブルース。上手くない人が滑ると絶対退屈になる、渋い地味なナンバーを自在に、実に自在に料理するさまはまさに絶品!
今回世界選手権で雪辱が果たせるかどうかは、そのフリープログラムに四回転が入るかにかかっていたといえる。この日は多くの選手が成功させ、高橋選手の出番までにすでにものすごいハイレベルな争いになっていて、けして今では四回転ジャンパーとはいえない大ちゃんがここで成功できるんか? と心臓バクバクで見ていた。
今季の彼の特徴は、氷の上での落ち着いたたたずまい。この世の雑音とは遠く、自分の内側をじっと見ているような。こんなところまで来たんだね、この人は…といつも思う。
だから、演技開始のすぐあと、まるで予定されていたことのように綺麗に四回転トゥループを降りてきたとき、ほっとすると同時になんだかとても納得できる気がしたのだ。
そしてそのあとは、アクセルもほかのジャンプもまったく不安なく降り、ステップは本人が楽しんでいることがわかる余裕ぶり。ここまで音楽をつかみ、踊り、表現できる選手はやっぱりいないよなあ…不世出の人だよ大ちゃん…と改めて思う。(動画はこちら)
次のブレジナ選手はショート2位発進で力みが出てしまったようで、本来のキレのいいダイナミックなジャンプが決まらず沈んだ。負けん気とガッツが裏目に出たか…来季がんばってほしい。
そして最終滑走のチャン選手。今季この人は他選手と別世界に生息しているので、もちろん四回転は2回決めるし、そのひとつは三回転とのコンビネーションだし、スケーティングなんてもうバターの上を滑ってるお人形みたい。と思ってたら最後のジャンプの前に転倒、ちょっと人間らしいところを見せてくれた。しかし、今の調子では誰がどう頑張ってもパトチャンの天文学的スコアを超えることなぞ不可能なり。
というわけで、結果はチャン選手金メダル、高橋選手が銀、羽生選手が銅となり、サプライズとしてはやっぱり羽生選手のメダルだった。フリーのロミジュリはyoutubeの閲覧数がえらいことになっているらしく、ちょっとこれからが心配である…。
女子には触れる余裕がなかったけれど、ずっと応援している鈴木明子選手が27歳の誕生日を迎えた直後にみごと銅メダルをとったのは、本当にうれしかった。あっこちゃんおめでとう。まだ引退しないでね。
浅田真央選手には、ともかくゆっくり休んでほしい。それだけ。
肝心のアイスダンスについては、今月中旬の放映を観たら書こうと思っております。
by higurashizoshi
| 2012-04-07 23:30
| フィギュアスケート