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ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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キャンプを前に

横浜と東京に行ってきて、参院選が終わって、今はあと数日で突入する保養キャンプの追い込み準備。
福島県から、今年も30人ほどの子どもとお母さんたちがやってくる。7月28日から15日間、また最高に忙しく、凝縮された日々が待っているのだろう。
私はキャンプの事務局担当。事務局っていっても事務所もなければ事務員も私ひとりなんですけど。
そして、キャンプのブログもずっと担当しているので、期間中は子どもたちの動きに張りついて大量の写真を撮り、記事を書いて毎日ブログを更新する。だんだん子どもたちとも仲よくなり、お母さんたちともじっくり話をし、とてもやりがいはあるけれど、責任も重い。

そもそも、なぜこの子たちを関西に呼ぶことになったのか、そのことを思い返すと心は沈む。私たち大人がしてきたことの結果だからだ。
端的にいって、大地震があっても原発がなければ、この子たちは福島で、ふつうの子どもらしい日々を生きていけた。首から線量計をぶら下げさせられることもなければ、避難するか福島にとどまるかで家族や友だちと引き裂かれることも、家や遊び場や学校の放射線量におびえることもなかった。
県外から取り寄せた食品を食べ、側溝や茂みに入らないよう厳しく親から言いつけられ、将来いつの日か、《健康被害》が形をもってあらわれる不安を背中にしょっている子どもたち。
去年もおととしも、地元ではできない自然と一体になった遊びに、しんそこ夢中になる子どもたちの様子を見ていると、ときどき立ち尽くしてしまった。
私たち大人が、この子たちから安心と自由を奪ったんだと。
この地震国に、廃棄物の処理方法も定まらない、事故が起きれば大規模な汚染をひきおこす原発というものを50基以上もつくり、それを受けいれてきた。それは、この国で権利をもつすべての大人に責任があることだ。

事故からたった2年あまり。福島第一原発は、今も制御できない状態が続いている。高濃度に汚染された水も、地中へ、海へと漏れている。
福島県周辺の子どもたちは、今もほとんど放射線量の変わらない多くの場所で暮らしている。除染は、移染に過ぎない。そもそも山林は除染できない。

そしてそんな現実の中、参院選はおこなわれた。
原発の問題を争点にした政党、立候補者は、数えるほどだった。
景気回復、経済復興をとなえた政党が大勝した。彼らは原発を再稼働し、輸出する。福島で子どもたちがさらされている現実は、《ないこと》にされる。そういうマジックが、現実になるのだ。
圧倒的な有権者が、彼らを選んだからだ。この国の大人の大多数が、原発のことよりも、未来の子どもたちの安全よりも、目の前の経済的安定を選んだ。


投票を終え、結果を見た今。
私にできるのは、今年も関西にやってくる、たった30人ほどの子どもたちを迎えることだけ。
福島ではできないことのできる、豊かな日々を過ごさせてやってください、というお母さんたちの言葉とともに、子どもたちはきらきらした眼で長旅を越えてくる。
私が大人であることの責任を、この子たちの眼が照らし出しているといつも思う。



8月半ばのキャンプ終了まで、ひぐらしだよりは休業します。
キャンプでの子どもたちの様子を、7月28日からこちら(「明石であそぼう!たこ焼きキャンプ」ブログ)で見ていただければ幸いです。
by higurashizoshi | 2013-07-25 00:22 | 雑感

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