ひぐらしだより
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亀は意外と速く泳ぐ
何度かレンタルで借りそこねてきたこの映画、やっと観ることができた。
これで三木聡監督の映画は『図鑑に載ってない虫』『イン・ザ・プール』に続いて3本観たことになる。
そもそも友だちが絶賛していた『転々』を観るがために、過去の三木聡作品を観てから、という予習のつもりで深みにはまった…という感じ。
主人公の平凡で目立たない主婦が、上野樹里。その幼なじみに蒼井優。
いま売れに売れている若手女優ふたり、せいぜい3、4年前なのになんとも幼く、ふたりともすごくふっくらしてる。みんな売れるとどうしてカリカリにやせるんだろう?
ほんとうにバカバカしいんだけど、なんとなくなつかしくなるような、やるせないような映画だった。
古ぼけた商店街のスピーカーから流れる、ふせえりの声。
「南国ムードで疲れたあなたをお出迎え。グランドキャバレーファイヤーダンスは冬でも熱気ムンムン。明日午後9時からはサービスタイムでハッスルタイム」
ところがこれが、スパイ召集の暗号だなんて、アンタ…。
主人公の主婦スズメはある日、階段でこけた拍子に電柱の下の方に貼られたビラに気づく。「スパイ募集、委細面談」?
しかもそのビラって、人差し指の先くらいの大きさなのだ。
で、それがきっかけでスズメは某国のスパイになり、与えられた任務が「目立たず普通に生活すること」。
次々と明らかになるスパイ仲間。え、あの人もこの人も? って、こんなせまい町に何人スパイがいるねん!
スズメにスパイ指南をする岩松了、ふせえりの夫婦がなんともキュート。
果てしなく続く、くだらなくもおかしい小ネタの連続のうちに物語は進んでいくのだけど、スズメと対照的な親友クジャクを演じる蒼井優の破綻ぶりに感心したり、スズメの憧れの先輩・要潤が思いっきり変で大笑いしたり、盛り上がりがあるようなないような、でもいつまでもこの中にひたっていたい気分になってくる。
スズメにはちょっと変わり者の父親がいて、実家を訪ねたスズメにいきなり後ろから飛び蹴りしたり、相撲を取ったりする(このとき行司をする向かいの家のおじさんが舞踏家のギリヤーク尼ヶ崎さんで驚いた)。
この父親が、「電話ぐらい引いてよ、何かあったときどうすんのよ」といかにも普通の意見をするスズメに向かって、
「オレが死んですぐ連絡がいったらおまえ悲しいだろ。だけどしばらくたってからだったら、ああ父さんはしばらく前に死んでたんだなあって思うだろ」
と言う。
あんがい三木聡という人の真骨頂は、こういうところにあるのかもなあと思うのだ。
で、このまったり感あふれる映画のエンディングに流れるのが、なんでレミオロメンの「南風」ね? この場違いな爽やかさは何?
という違和感を残して映画は終わったのだけど、実はほんとの主人公は亀だったんだ、そうかなるほどなあ。とちゃんと思わせてはくれたのだった。
これで三木聡監督の映画は『図鑑に載ってない虫』『イン・ザ・プール』に続いて3本観たことになる。
そもそも友だちが絶賛していた『転々』を観るがために、過去の三木聡作品を観てから、という予習のつもりで深みにはまった…という感じ。
主人公の平凡で目立たない主婦が、上野樹里。その幼なじみに蒼井優。
いま売れに売れている若手女優ふたり、せいぜい3、4年前なのになんとも幼く、ふたりともすごくふっくらしてる。みんな売れるとどうしてカリカリにやせるんだろう?
ほんとうにバカバカしいんだけど、なんとなくなつかしくなるような、やるせないような映画だった。
古ぼけた商店街のスピーカーから流れる、ふせえりの声。
「南国ムードで疲れたあなたをお出迎え。グランドキャバレーファイヤーダンスは冬でも熱気ムンムン。明日午後9時からはサービスタイムでハッスルタイム」
ところがこれが、スパイ召集の暗号だなんて、アンタ…。
主人公の主婦スズメはある日、階段でこけた拍子に電柱の下の方に貼られたビラに気づく。「スパイ募集、委細面談」?
しかもそのビラって、人差し指の先くらいの大きさなのだ。
で、それがきっかけでスズメは某国のスパイになり、与えられた任務が「目立たず普通に生活すること」。
次々と明らかになるスパイ仲間。え、あの人もこの人も? って、こんなせまい町に何人スパイがいるねん!
スズメにスパイ指南をする岩松了、ふせえりの夫婦がなんともキュート。
果てしなく続く、くだらなくもおかしい小ネタの連続のうちに物語は進んでいくのだけど、スズメと対照的な親友クジャクを演じる蒼井優の破綻ぶりに感心したり、スズメの憧れの先輩・要潤が思いっきり変で大笑いしたり、盛り上がりがあるようなないような、でもいつまでもこの中にひたっていたい気分になってくる。
スズメにはちょっと変わり者の父親がいて、実家を訪ねたスズメにいきなり後ろから飛び蹴りしたり、相撲を取ったりする(このとき行司をする向かいの家のおじさんが舞踏家のギリヤーク尼ヶ崎さんで驚いた)。
この父親が、「電話ぐらい引いてよ、何かあったときどうすんのよ」といかにも普通の意見をするスズメに向かって、
「オレが死んですぐ連絡がいったらおまえ悲しいだろ。だけどしばらくたってからだったら、ああ父さんはしばらく前に死んでたんだなあって思うだろ」
と言う。
あんがい三木聡という人の真骨頂は、こういうところにあるのかもなあと思うのだ。
で、このまったり感あふれる映画のエンディングに流れるのが、なんでレミオロメンの「南風」ね? この場違いな爽やかさは何?
という違和感を残して映画は終わったのだけど、実はほんとの主人公は亀だったんだ、そうかなるほどなあ。とちゃんと思わせてはくれたのだった。
by higurashizoshi
| 2008-05-01 18:19
| 観る・読む・書く・聴く