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ひぐらしだより


人生はその日暮らし。  映画、アート、音楽、フィギュアスケート…日々の思いをつづります。
by higurashizoshi
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『めがね』を観て10歳と語る

『めがね』を観て10歳と語る_d0153627_546774.jpg南の島にある一軒の宿、主人は中年の男と柴犬。そこへ都会から泊りにきたひとりの女、が主人公。彼女、妙にかたくなでリラックスしない様子。
この宿には不思議な女性サクラさんが出入りしていて、サクラさんは海辺で毎朝「メルシー体操」というのを地元の人たちとやっている。そして海辺でかき氷屋さんを開いている。
最初、主人公はサクラさんはじめ宿の人たちがかかわってくるのを拒否して、実につまらなさそうにしている。
宿のみなさんは「ここは、たそがれるために来るところ」なんて言って、なんとなくゆるーく和気あいあいに過ごしている。
ちょっと無愛想な教師の若い女や、主人公を追いかけてやってきた青年がそこにくわわる。みんなでビールを飲んだり、海をながめたり、おいしいごはんを食べたり。

温かく奇妙な女神サクラさんをめぐる人々の中に少しずつなじんでいく主人公が、いつか固く自分を覆っていたカラを、ゆるやかに脱いでいくまでを描くメルヘンだ。

観終わったあとの、ミミ(10歳)との会話。
私「…おもしろかったね。」
ミミ「うん。」
私「『かもめ食堂』に、似てたけど、だいぶちがってたね。」
ミミ「そうだね。」
私「なんで、登場人物みんな、めがねかけてるんかな。」
ミミ「『めがね』っていう題名だからでしょ(きっぱり)。」
私「…むむ(反論できず)。」
私「メルシー体操、いいね。」
しばし、二人でメルシー体操をやってみる。

私「あの主人公は、漫画家さんかな。作家かな。あとから来た青年に『先生』って言われてたやん。」
ミミ「そういうの、決まってないんじゃない。」
私「…ほう。」
ミミ「英語でなんか言ってた。」
私「ああ、あれはドイツ語の詩やと思う。中身はわからないけど。」
ミミ「もしかしたら、そういう…」
私「ああ、大学の先生とか?」
ミミ「かも。」
私「おおっなるほど。あの青年は弟子で。そういうのもありやなー。」
ミミ「(冷静に)決まってないと思うけど。」

ミミ「(主人公の)編み物、じょうずだったね。」
私「うん。結局あれは、何になったんかなあ?」
ミミ「…」
私「え?」
ミミ「…」
私「あっ! 今気がついたけど、最後のとこでサクラさんがしてた長いマフラー…あれかぁ! …ミミ、もしかしてわかってた?」
ミミ「…(あわれむようにうなずく)」

私「サクラさんはさあ、あの主人公の、お母さんだったんだねえ」
ミミ「(目を丸くして)エ、エェー!? そうだったの?」
私「いや、魂の。」
ミミ「…なーんだァ。」
私「主人公はさあ、島に来る前、地球がなくなっちゃえばいいような気持ちだったでしょ。」
ミミ「うん(遠い眼)。」
私「お母さんに会えて、よかったよねぇ。」
ミミ「…(さらに遠い眼)」

ミミよ、君はオトナだ…。
いろいろと言いたいこともある映画ではあったけれど、私としては、最後に流れた大貫妙子の歌声がとても懐かしく、観終わったときに少しだけ、呼吸が楽になっていた気がする。
少し、ペースをおとして、腰をおろして。そんなときに観たい映画だった。
by higurashizoshi | 2008-08-29 05:55 | 観る・読む・書く・聴く

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